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プラスチックへ愛を込めて  作者: 田中ドラゴン
天剣を地に落とせ
59/85

闘争心の色は少し黒いくらいがちょうど良い

キーボード買いました。

青軸の押し心地が良い感じです。

誤字あったら、見て見ぬふりしてね!…ダメっすか?


 トーナメントという方式は一番強い者(頂点)を決める形をしているが、その頂点への到達は必ずしも”最強”を意味しない。

 というのも、物事には相性が存在する。

 トーナメントとはいくつかのルートを勝ち進み、上へと登っていく対戦方式。

 一見、より強い者と戦える方式だが、その実、戦わずに消えてくれる相手がいることも認めなければならない。

 要は、一回戦で敗退した相手がチャンピオンにとっては相性の悪い、敗色濃厚な相手だった、ということも考慮するべきなのだ。


 昔の人はこう言った。

 ”運も実力の内”だと。

 

 しかし、こう思う者もいたはずなのだ。

 もしも運がチャンピオンの味方をしなかったら?

 頂点には別の誰かが立っていたのではないか?、と。


 未だに一部のスポーツ競技でもトーナメント方式による優勝者の決定は行われているが、そこで得られる称号が”最強”ではなく”チャンピオン”という遠回しに一番を指す言葉に留まる理由はこの”運”という要素のせいだと俺は思う。


 ”最強”とは、外部の影響など関係無しに、その身、その実力のみを持ってして、並ぶ者がいないと明らかにわかるからこそ、”最も強い”と誇れる者なのだと、人々は心の奥底で理解しているからだと…俺は思っている。


 …まぁ、何が言いたいのかというと。

 トーナメントの順位ではその人物の強さは測れない。

 そして、”最強”と呼ばれるには”優勝”だけでは足りないと言うことだ。






…………………






 『さぁ!さぁ!さぁ!!これより始まりますは第一位ナンバー・ワンプレイヤー〈カロリッパー〉氏主催!!称号争奪トーナメント大会!!!優勝すれば”第一位”の称号が手に入り、本トーナメントに代表される様々な特典を行使できる!!なにより!『バープラ』で一番を名乗れます!!果たして、新たなチャンピオンは誕生するのか!?それとも!新機体をお披露目する〈カロリッパー〉氏がやはり最強であると再証明を果たすのか!?皆さん、観戦席にまだ空きはあります!!お見逃しなく!!』


 「え?個人開催のトーナメントなのに実況みたいな人いるの?」


 「公式主催なら有名なゲーム実況者とかが来ますけど…あれは勝手にやってるだけですね」


 「…まあ、自費で拡声アイテムとか揃えてるんだろうし、見上げたお祭り根性ではあんな…」


 〈コロッセオ〉内の選手控室として割り当てられた待機空間は壁に大きめのモニターと四つのソファの様な椅子に囲われているテーブルという、一言で言えば4~6人くらいで入るカラオケボックスの一室みたいだった。

 

 一人一室、同じような待機場所を割り当てられているが、〈ロボキチ〉の部屋に集まって(押しかけて)いる。


 『おおっと!〈コロッセオ〉のモニターに対戦表が映し出されました!!』


 「お、出たな」


 モニターから聞こえてくる実況(自称)の声に目を目を向ける。

 対戦表が出たということは、出場者が全員〈コロッセオ〉に揃ったということだ。


 「……」


 「……」


 「…ある意味、綺麗に分かれたと見るべきか」


 映しだされた対戦表を見て、声を発せたのは俺だけだった。

 


 一回戦の対戦組み合わせは左から順に


 〈ロック〉vs〈フルカゲ〉


 〈ロボキチ〉vs〈ネライ犬〉


 〈スタリアン〉vs〈T‐4〉


 そして、


 〈ジーク〉VS〈カロリッパー〉



 「…〈ジーク〉は一回戦目か…、まあ、ありえる話ではあったな」


 「逆に俺たちゃ二回戦で当たるな」


 〈ロボキチ〉の言う通り、順当に勝ち進めば俺と〈ロボキチ〉は二回戦で戦うことになる。

 〈カロリッパー(健堂)〉と戦うには決勝に進む必要があり、どちらかは確実に二回戦で消えることになるのだ。

 

 「ま、俺にとっちゃ都合が良い」


 好戦的な笑みを浮かべながら〈ロボキチ〉が俺を見る。


 「第一位の奴にリベンジすんのも確かに目的の一つだし、もちろん優勝も狙うけどよぉ…、お前とガチで闘りあえるかも…って方が俺には楽しみだったぜ」


 そう言えば、〈ロボキチ〉とは何度か共闘したり、プラモ談義をしたが、直接勝ち負けを競う機会というのは無かった。

 つまり…〈ロボキチ〉とは知り合ってから数えて、これが初勝負となるのだ。

 まあ、共通の趣味がプラモ作りで、本質的に競う様なジャンルでは無いのだから仕方のないことではある。


 何だか逃げてはいけない戦いが一つ追加された様で、目的地《決勝戦》までの道のりが少し遠くなった様な煩わしさを感じなくもない。

 しかし同時に、こいつを好敵手ライバルと呼ぶことにこれ以上なく、しっくりくることも実感する。

 ある意味、〈カロリッパー(健堂 斬加)〉よりも。


 「…ったく、そういうのは時と場所を考えて欲しいもんだぜ」


 そう言った俺の顔も〈ロボキチ〉と似たような表情になっているだろう。


 「安心しな、第一位はテメエを負かした後に俺が土ペロさせといてやっからよぉ」


 「ぬかせ、まずはテメエに土の味を教えてやるよ」

 

 俺と〈ロボキチ〉の視線がぶつかり合い、バチバチと火花を鳴らしている錯覚さえする。

 お互い、まずやるべきこと…最初のターゲットを完全に定めた。

 

 「…二人ともー、まずは一回戦ですからねー?」


 〈ジーク〉からの言葉に闘争心を一先ず(ひとまず)抑えるクソガキ二人(俺とロボキチ)


 「つっても問題ねえだろ、俺らの機体は他の連中と違うんだぜ?言っちまえばズルしてる様なもんだ。これで負けたら赤っ恥まであるぜ」


 確かに、俺達は〈アイギス〉攻略を成したことで他のプレイヤーより、一歩進んだ位置にいる。

 二週間経った今も〈アイギス〉は俺達三人以外は未到達のコンテンツで、現状独占状態だ。

 その〈アイギス〉の恩恵を受けた俺達の機体と他のプレイヤーの機体では、確かに公平なバトルと言えるか怪しいラインではある。

 格ゲーをやってるつもりの奴らからすれば憤慨ものの格差だろう。

 特に〈ジーク〉なんかは明らかに既存の〈ゲーム内機体〉の性能じゃないから、仮に〈ゲーム内機体〉同士の試合になっていた場合、マジでチートを疑われかねなかった。


 「まあ、めったなことが無ければ大丈夫でしょうけど…油断したら足元を《《刈られる》》相手ではありますよ?特に〈フルカゲ〉さんの対戦相手、〈ロック〉はかなりの実力者です」


 「というと?」


 「第二位ナンバー・ツーの称号持ちです」


 …実質的に『バープラ』二番目に強い使い手ってわけね。


 「〈ロボキチ〉さんの対戦相手である〈ネライ犬〉も第四位ナンバー・フォーですし、〈スタリアン〉と〈T‐4〉も私と同じ順位ランカー称号持ちです」


 俺と〈ロボキチ〉以外は全員トップ8以内の、名の通ったスゴ腕ってわけだ。

 しかも、数字だけ見れば全員〈ジーク〉よりも上の。


 健堂め…なんてラインナップ用意しやがる…!

 俺と〈ロボキチ〉が明らかに浮くじゃねえか。

 おお、良い感じに腹が立ってきたぞ…!

 この調子で(不当な)怒りをチャージしてエネルギーへと変えるのだ…!

 絶対殺す…絶殺。

 

 「なるほどな…確かに、舐めてかからない方が良さそうだが…一回戦の心配は俺達より明らかにあんただぜ、〈ジーク〉」


 内なる怒りを腹に溜め始めた俺をよそに〈ロボキチ〉が〈ジーク〉を心配する様なことを言い始めた。


 「俺とこのバカと違って、〈ゲーム内機体〉のあんたが第一位と当たるのはなるべく後半の方が良かったはずだ。正攻法で戦うしかねえんだからな。なるべく敵の動きを分析する必要があっただろ…このアホの情報だけでやれそうなのか?」


 「おいコラ、情報提供者様に向かってなんだその言いぐさは?せめてバカかアホのどっちかにしろ」


 「うるせえ、マヌケ」


 「よし、今殺す」


 ギャアギャアと、バカアホマヌケの三拍子が揃った二人が掴み合いの喧嘩を始めるが、〈ジーク〉も慣れたもので微笑ましいものを見る目だ。

 俺と〈ロボキチ〉が互いの頬を引っ張りあって、動きが幾分か収まったタイミングを見計らって〈ジーク〉が口を開く。


 どうしよう…声をかけるタイミングが完全に大人のそれだ…。

 クソガキ二人の中に一人大人がいるみたいなんだけど…?


 「ああ、そうでした。〈フルカゲ〉さん、先に謝っておきますね。〈カロリッパー〉氏との《《個人的な》》決着はまた別の機会にやってください。…あの女は一回戦で《《私》》が消しますから…!」


 …どうやら俺達は三人とも同類らしい。

主人公「覚悟決めてきましたわ」

軍服幼女「全力で闘って、楽しむ!ついでに優勝したる」

ジーク「全員殺す」

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