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プラスチックへ愛を込めて  作者: 田中ドラゴン
ブルーリベリオン
41/85

大いなる黒へ蒼による逆襲3

軍服幼女(口悪)開幕即落ち2コマ


 「く!・・・、ちょっと厳しくなってきたかも!?」


 「くそぉ!あいつまだかよ!!」


 〈ジードフリート〉と〈ナパーム・スラッガー〉が一秒前にいた場所を太いビームが塗りつぶす。

 最初の内は余裕の色を見せていた〈ロボキチ〉にはもう焦りしかない。


 時間が経つに連れて、敵の砲撃が正確になってきている。

 狙撃をする余裕ももはやほとんど無い。

 それでも、何とか合間を見て狙撃を続けなければならない。


 〈ジードフリート〉の役目はヘイト誘導だ。

 はなから、この狙撃銃であの〈宇宙戦艦〉が撃破できるとは思っていない。

 これは敵の目をこちらに釘付けにするためだけの物だ。


 「〈ジーク〉!!ヘイト稼ぎはもう十分だ!!回避に専念しようぜ!!」


 通信で〈ロボキチ〉が叫ぶ声が頭に響く。

 〈ジーク〉の運搬を受け持っているがゆえに、回避行動に余裕が無くなって来たのを〈ジーク〉よりも感じているのだろう。

 確かに、もう放って置いても敵は自分達を撃墜するまで追い続けるだろう。

 

 「・・・ダメです!全く反撃しないのは敵に思考を許すことになります!!なるべく撃ち続けるべきです!!」


 これは半分詭弁だ。

 これだけ一方的な戦況なのだから、敵には飽きるほど考える時間があるだろう。

 だが、だからといって抵抗を止めるのはもっと悪手だ。

 それでは他に狙いがあると認めた様なものなのだから。


 「でもこのままじゃ、もたねえぞ!!」


 「・・・〈ロボキチ〉さんは回避に専念してください!僕が掴まれる様にスピードを落とさなくて大丈夫です!こちらで合わせます!!」


 「はぁ!?マジで言ってんのか!?普段の〈ナパーム・スラッガー〉なら余裕だろうが今は身軽なうえにスキルで補正をかけてんだぞ!?〈ジードフリート〉でできんのかよ!?」


 〈ナパーム・スラッガー〉と〈ジードフリート〉は先程から合流と分離を繰り返している。

 〈ナパーム・スラッガー〉の羽の付け根に〈ジードフリート〉手をかけて捕まり、移動を任せることで足を止めずに狙撃を行なうためだ。

 その状態では速度がどうしても落ちるので、回避に専念する時は分離して、二機の機動力を元に戻し、スピードに緩急をつけるという多少の足掻きも含まれている。

 〈ロボキチ〉は〈ジードフリート〉と合流する時、わずかだがスピードを落とし、〈ジーク〉が捕まりやすい様にしてくれていた。

 何しろ、〈ナパーム・スラッガー〉はそんなことを想定した機体では無いので、〈ジードフリート〉がただ無理矢理、捕まっているだけという状態だからだ。

 それも羽の付け根に手を引っかける形で。

 

 「・・・僕達が止まってしまったら、〈フルカゲ〉さんのリスクが跳ね上がります!今回は・・・いえ、今回もあの人に負担をかけてしまっています・・・、負けてられないんですよ!!」


 〈宇宙ここ〉に来た時は三人でリスクに飛び込んだ。

 バグかもしれない。

 ヘタをしたら今乗っている機体は使えなくなるかもしれない。

 そんなリスクに三人で飛び込んだのだ。

 でも、今、三人の中で一人だけ、飛び抜けてリスクを背負っている人がいる。


 それだけじゃない。

 〈バスターゴリラ〉の時、〈フルカゲ〉は完全なる初心者だった。

 『これはダメだろうな、でも足掻かないのは違うしな』という負け犬根性だった〈ジーク〉と違い、やってみせたのだ。

 本来なら古参プレイヤーである〈ジーク〉が担うべきことを譲ってしまった。


 この作戦も原案は〈フルカゲ〉が持って来たものだ。

 言うほどブラッシュアップもしていない。

 こんなザマで先輩面などおこがましい。

 

 もはやナンバーエイト(第八位)の称号など虚しいだけだ。

 誇りは密かに打ち砕かれた。


 認めよう。

 彼・・・いや、彼女は、〈フルカゲ〉は自分よりも先を行く者だ。

 新しく目指すべき目標を認めなければ、望んだ英雄になどなれはしない。


 ならば、せめて、まずは、


 「〈フルカゲ〉さんに負けるわけにはいきません!!《《その程度はやってみせます》》!!」


 卑屈な気持ちは胸に無い。

 そんなものに構っている暇は無いのだ。


 プラモ作り(現実)で劣るのは仕方ない。

 積上げたものの種類が違うのだから。

 だけど、『バープラ(この世界)』で劣る言い訳は通らない。

 〈ジーク(お前)〉は『バープラ(この世界)』で積上げてきたのだろう?


 「ふはは!!その程度って・・・やっぱイカレてんなぁ、トッププレイヤーは・・・!!」


 〈ロボキチ〉も笑っている。

 そうですよね。

 あなただって、あの人に劣ると言われるのは我慢ならないでしょう。






 ・・・・・・・・・・・・・・・






 問題プロブレムだ。

 もしも感情があればイラついていたと自らを分析したのかもしれないが自分に感情は無い。 

 だからこれはただの問題視だ。

 たかが二匹のハエを排除するのに時間をかけすぎている。

 先刻から自らの周りをグルグルと回っているだけで向ってくる気配が無い。

 いや、近づいて来ようとはしている。

 しかし、そう、当艦にすらあるものが奴等からは感じられない。

 撃滅の意思。

 感情で言うところの殺意。

 砲撃を恐れるあまり、近づけていないのだ。

 殺戮よりも生存を重視している。

 それでは当艦は殺せない。

 そんな豆鉄砲では例えブリッジやエンジンに命中しても意味はない。

 回避を優先し、逃げ続けるだけでは当艦は死詰められない(沈められない)

 先程から意味の無い狙撃を続けているあの機体。

 あれは前にも来た奴だ。

 ならばわかるはずだ。

 知っているはずだ。

 それともデータをとっていないのか?

 当艦を殺すには危険を承知で突き進む必要があることを。

 そう、あの透明な外装の機体の様に。

 一番最初の接敵時、当艦をして”凄まじい”と称さざるを得ない速度で接近して来たあの機体だ。

 あそこまで接近されるのは、この戦術を採用している当艦にとっては失態の部類に入る。

 そのせいで当艦の意識が覚|醒した直後の接敵だったから反応が悪かった《寝起きでラグった》、という釈明の一文をデータに残しておくことになってしまった。

 それだけで済んだ、とも言える。

 あの機体には射撃兵装が装備されていない様だったが、もしも、あの機体が遠距離攻撃力を保有していたらくだらない言い訳すら綴れなかったかもしれない。

 余りにも|時間の無駄なのでデータの解析に思考を回《おっと、よそ見をしていた》してしまった。

 |敵機の進行ルートを予測《集中》、精密砲撃準備《集中》。

 回避に専念するなら構わない。

 安全に撃退させてもらうだけだ。

 躱すなら当るまで撃ち続ければいい。

 考え様によっては、ただ石ころを見続けるだけの時間よりは有意義かもしれない。

 ハエどもの結末は変らないが精々頑張ってもらおう。

 あの透明な機体がいた時ほどの危機感《警報》は訪れないだろうけれど。

 

 精密砲撃、発し・・・

 


 ・・・・・・・・・・・・・・・




 カッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!


 と、一瞬、黒い世界が蒼色の閃光にに塗りつぶされる。


 黒い世界はすぐに戻って来た。


 ただし、劇的な変化が一つ。


 《《二機》》の〈宇宙戦艦〉。


 その片方。


 護衛艦〈イジス〉が二つに割れて、撃沈していた。


 それをやった当人以外の全ての人間がこう思った。


 反撃が始まった、と。


狙撃銃はメインで使ってないとか言いつつ、ちゃっかり全弾当ててはいる第八位。

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