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プラスチックへ愛を込めて  作者: 田中ドラゴン
ブルーリベリオン
30/85

速度=射程


 『暴走ドローンの討伐』ミッションの時に見かけた半分サイボーグのありさそり


 名前を〈ハーフアント〉〈ハーフスコーピオン〉というらしい。


 半分機械の蟻(ハーフアント)半分機械の蠍(ハーフスコーピオン)ね・・・。


 ミッションのテキストを読んだ感じ、古代文明が人類へと侵攻を始めたさいに、空想から兵器を生み出す技術を起動した余波を浴びて、突然変異的な進化を遂げた種族、ということらしい。


 曰わく、人の持つ硬き道具に憧れた知恵無き生物達、らしい。


 

 少しかわいそうに思える設定だが、実物を目の前にすると可愛げなんて微塵も感じられない。


 まず、〈ハーフアント〉。

 〈スケルトン〉から見て、大きさは・・・大体、大型犬くらいだが、基本的に3~6匹、多いときは10匹程で固まって行動する群体エネミーだ。


 次に、〈ハーフスコーピオン〉。

 〈ハーフアント〉と違い、基本的には一匹で行動するがその分個の力に優れており、乗用車みたいな体躯に加えて、尻尾による広い攻撃範囲を有する。


 最低、3匹以上で襲いかかってくる大型犬(蟻)。

 人間大の尻尾をぶん回す乗用車(蠍)。


 害獣にしたって凶悪が過ぎる。

 リアルなら人間など、なす術も無く蹂躙されるしかないだろう。

 

 しかし、今の俺は硝子の外装を纏った高機動ロボット〈スケルトン〉。

 鋼の身体を半分得ただけの昆虫など、ものの数ではない。


 討伐目標ターゲットを見つけしだい、ブーストを吹かし、右手のブレードで切り伏せて行く。


 「うーん・・・蠍よりも蟻が面倒だな・・・」


 〈ハーフスコーピオン〉の調理方法は簡単だ。

 邪魔な尻尾を切り飛ばし、頭を刺す。

 それだけで、処理できる。


 問題は〈ハーフアント〉の方だ。

 撃破自体はどこを斬りつけても一撃でできる。

 だが、数が多いということは、撃破するための一振りを幾度もしなくてはならないということであり、〈スケルトン〉の性能上、足を止めたくないので、すれ違いさまに1、2体斬り、往復してもう一度、とシャトルランを強いられる。


 おまけに、群体エネミーのため討伐ノルマも多い。


 現在、


 〈ハーフアント〉19/50

 〈ハーフスコーピオン〉3/8


 と言ったところ。


 遠距離の攻撃手段があれば、もっと楽なのだが、残念ながら〈スケルトン〉の武装は牽制用のバルカンと右腕に内蔵されたブレードのみ。



 ・・・無い物ねだりをしても仕方が無い。



 〈スケルトン〉にはその代わり、過剰なほどの機動力がある。


 恐らく、出来映えと最低限の武装に加えて、クリア外装によるシステム的な重量軽減と稼働の可視化がこのスピードの種だと思う。


 もしかしたら、武器を持たせることでこのスピードは失われる可能性すらあるのだからこれはこれで強みだ。


 「・・・まぁなるべく最短で処理してくしかないか・・・」



 




 


 〈ジーク〉は〈荒野〉の右側のエリアにて〈ハーフバード〉10羽と〈ハーフワーム〉5匹を担当していた。

 

 空を飛ぶ半分機械の鳥と、地中を潜り、飛び出てくる大口を開けた巨大な虫。


 どちらも遠距離の攻撃手段がないと厳しいエネミーだ。


 〈ジーク〉は〈スケルトン〉には遠距離の武装が無いことを鑑み、〈ハーフバード〉と〈ハーフワーム〉のスポーン率の高いエリア右側を選んだ。

 

 しかし、その気遣いは無用だったのではないか・・・?と思い始めている。


 「〈ハーフアント〉の撃破数がもう30越えた・・・!」


 このミッションはパーティーリーダーである〈フルカゲ〉の受けたミッションであり、パーティーメンバーである〈ジーク〉や〈ロボキチ〉も進捗は確認することができる。


 現在確認した進捗率は


 〈ハーフアント〉31/50

 〈ハーフスコーピオン〉5/8

 〈ハーフバード〉7/10

 〈ハーフワーム〉3/5

 〈ドローン設置数〉1/4


 といった感じである。


 この〈荒野〉エリアは初心者エリアということもあり、遠距離から攻撃できる武器さえ持っていれば、野良エネミー程度なら容易に攻略できる。


 逆に言えば、遠距離武器を使わないのは縛りプレイをしている様なもののはずなのに・・・。

 

 恐らく、ブレード()という近づかなければ攻撃できない武器の弱点、『射程』を機動力のゴリ押しでカバーしている。


 というか、〈スケルトン〉にできるのはそれくらいだろう。


 初心者向けのエネミー相手だからできていることではあるんだろうが、それでもこんな力業ができてしまっているのが恐ろしい。


 「こっちも急がないと・・・」


 エネミーの討伐ノルマはこちらの方が少ないうえに、こちらは射撃武器を装備しているのだ。

 これで、先にノルマ達成ができないのは沽券にかかわる。


 






 「遅せーぞー〈ロボキチ〉-」


 「うるせぇー!こっちは機動力がウリの機体じゃねーんだよ!!」


 「ま、まあまあ・・・」


 〈廃都〉の入り口に三人で集合する。


 集合場所に一番乗りしていたのはさすがに〈ジーク〉だった。

 討伐ノルマの差こそあったが、あちらは見つけずらいエネミーを担当してくれていたらしいので、さすがはトッププレイヤーというべきだろう。


 〈ジーク〉から集合場所で待っていると連絡がきた時は、スタートダッシュの差で、「あれ?もしかしてこれドベある・・・!?」と焦ったものだがギリギリで俺の方が〈ロボキチ〉より早かった。


 「とりあえず、これでミッションはクリアですね」


 「キャリーされてる気分はどうだ?〈フルカゲ〉?」


 「初級ミッション一個(お使い)しか担当してねえドベが何か言ってるわ」


 〈スケルトン()〉と〈イン・ガリバー(ロボキチ)〉がつかみ合いの喧嘩をし出したので、慌てて止めに入る〈ジーク〉。


 「と、とりあえず、一度〈セントラルタウン〉に戻ってミッションの完了報告に行きますか?」


 「そうだな・・・なんなら中級のミッションも受けてきちゃうか」


 初級のミッションをある程度終わらせると、スコアが溜まって中級のミッションが解放される。

 今受けられる初級ミッションは片付けたから、中級ミッションも受けられる様になっているはずだ。


 しかし、じゃあ、一度戻ろうとした時、〈ロボキチ〉が待ったをかけた。

 

 「いや、その前にちょっと見て欲しいモンがあるんだが・・・」


 「見て欲しいもの?」


 「ドローンを設置している時に妙なもん見っけてよぉ・・・説明が難しいんだが・・・」


 「何だそれ?お前が引退していた間に追加されたものとかかな?」


 「わからねえ・・・少なくとも俺が『バープラ』やってた頃には確実に無かったと思う」


 となると、初心者でも復帰勢でもない〈ジーク〉に見てもらうしかない。


 「・・・先に〈ロボキチ〉さんの言う、それを確認してから戻りましょうか?」


 〈ジーク〉も心当たりが無いのか、気になっているようだ。


 「あ、でも〈フルカゲ〉さんは完了報告に戻っても大丈夫ですよ」


 まあ、中級のミッションをやるにしてもエリアはこの辺だろうし、二人をここに置いて俺だけ〈セントラルタウン〉に戻っても良いのだが・・・。


 「酷いなぁ、〈ジーク〉初心者をハブにしようだなんて・・・」


 「え!?いや・・・、そんなつもりじゃぁ・・・」


 ちょっとした冗談だったのだが、本気で困った様子の〈ジーク〉に〈ロボキチ〉が助け船をだした。


 「おい、からかってやんなよ・・・」


 「すまん、すまん・・・、先にそれを見に行こうぜ、面白そうだし」


 「ったく・・・たまにくだらねえことするよな、お前」


 「お前はよくわかったよな。さすが付き合いが長いだけある」


 「いや、見りゃわかる」


 「え?」


 〈イン・ガリバー〉が指さしているのは、〈スケルトン〉の胸部。

 その中。

 硝子お外装から透けて見える白い女ギャング。

 


 「ニヤついてんのが丸見えなんだよ」


 

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