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プラスチックへ愛を込めて  作者: 田中ドラゴン
硝子の巨人と白い殺し屋
25/85

飛んで火に入ってくれないなら

S覚醒・サイ○サリス、核ミサイル連射の動画、良いですよね!(地雷)


 〈対戦エリア〉の中でも純粋で公平な殴り合い・・・PVPをするための施設〈コロッセオ〉。

 その外観は〈コロッセオ〉というイメージその物ではある。

 石造りのドーム状。

 ドームの中心を観戦するため、階段状になっている観客席。

 しかし、イメージ通りなのは地上から生えている建物だけだ。


 異質なのはその上空。

 そこには近未来的な外観の、もう一つのドームが逆さに浮いている。

 ドーム天井の空洞を向かい合わせているこの二つのドームが『バープラ』における〈コロッセオ〉である。

 

 「んじゃ、手はず通りに頼むぜ」


 「任せろ、仕事はキッチリこなすさ」


 〈対戦エリア〉への移動中に大体の作戦は詰めた。

 驚くべきことに、この作戦の主軸は俺の〈スケルトン〉ではなく〈ロボキチ〉の〈ナパーム・スラッガー〉だ。


 「行くぜ!!」


 「おうよ!!」


 〈スケルトン〉と飛行形態の〈ナパーム・スラッガー〉がカタパルトからドームの中へと発進する。


 〈コロッセオ〉に来た時確認した。

 先に〈コロッセオ〉に来て、対戦の受付を任せた〈ジャン〉と〈スルメ〉が設定したバトルステージはランダム。

 試合が始まらないと、バトルステージはわからない。

 俺にとっては全てのステージは初見のため大差ないが、作戦を考えると・・・ここは運だな。


 「ステージは!?」


 「密林!!」


 悪くない!

 

 機体のエントリー・ゲート(入場口)から飛び出すと、背の高い木が生い茂るジャングルが飛び込んで来る。

 上空にある、もう一つのドームの中心からも緑が見えることを確認した。


 「作戦通り上げるぞ!!」


 「頼むぜ、殺し屋(ヒットマン)!!」


 〈スケルトン〉が飛行形態の〈ナパーム・スラッガー〉を掴み、そのまま上昇する。

 〈ナパーム・スラッガー〉の飛行能力は見たまんまで、かなり低い。

 落ちこそしないが、その機動力はハッキリ言って産廃扱いを受けても仕方ないほどだ。

 だからこそ、その機動力を〈スケルトン〉がカバーする。

 

 〈スケルトン〉は機動力偏重の機体。

 その機動力はスキルを使わなくても、〈ジーク〉の駆る〈ジードフリート〉を置き去りにするほどだ。

 荷物を抱えた、真上への上昇。

 それなりにスピードは落ちるが、それでも十分な速度は出ている。


 「本当に狙撃は無いんだろうな!!」


 「ああ!!多分な!!お前の〈反射〉を見てるなら、プレイヤースキルに任せた格闘戦で決めたいはずだ!!」


 この作戦最大の不安要素は、上昇中の狙撃だ。

 思い出されるのは、〈バスター・ゴリラ〉戦で俺を助けたあの狙撃。

 超必殺ウルトスキル〈リアクティブ・クリア・ミラー〉は被弾していない状態、つまり開幕から使用可能なスキルではあるが、攻撃に対してタイミングを合わせる必要がある。

 どこから撃ってくるかわからず、弾速の早い狙撃はミスる可能性が高い。

 しかも〈反射はじけ〉るのはビーム系の攻撃限定なので、実弾系の狙撃ならマジで打つ手なしだ。


 「奴等も来やがった!そろそろ、良いぞ!!」


 「しっかりやれよ!!爆撃魔ボンバー・ハッピー!!」


 現在位置は上空にあるドームの天井付近。

 

 空中で〈ナパーム・スラッガー〉を手放すことで、〈スケルトン〉の上昇スピードが上がる。

 〈スケルトン〉はそのまま、上空ドームの緑の中へと突っ込んで、後方から迫る敵機から姿を隠す。






 機体名〈ナパーム・スラッガー〉

 どう見ても火力重視で、機動力など皆無な機体。

 下位のエネミー(NPC)ならともかく、対人戦《PVP》においてはさほど手強いとは思えない機体。

 それでも、もし運用するならば・・・しなくてはならないなら、開幕直後の全弾ブッパだろう、と〈ジャン〉と〈スルメ〉は予想していた。

 

 「早い!あれが〈スケルトン〉か!!」


 「まずい、上空から爆撃する気だ!!」


 二人の予想自体は当っていた。

 想定外だったのは、そのスピードと位置。

 二人はステージに出た瞬間、もしくは自分達の姿を確認した瞬間、放射状に目の前を爆撃すると考えていた。

 それが上空に飛んだ。

 あの位置からの爆撃。

 それは炎の雨を意味する。


 「追うぞ!!地面から離れちまえば爆撃の威力は半減だ!!ミサイルとして使うにしても俺が迎撃できる!!後ろから着いて来い!!」


 そう言って〈ジャン〉が飛び上がる。


 「任せる!だが警戒しろ!!何かやるつもりだぞ!!」


 〈ジャン〉の駆る〈ゲーム内機体〉〈ガグル〉は二丁のライフルを武器とする中距離火力機体。

 〈スルメ〉は二振りの実体剣を装備した〈ジード〉。

 共に、機動力を重視したカスタムに変更している。


 理由は明確。

 〈ナパーム・スラッガー〉は初撃に気を付けさえすれば大した脅威ではない。

 無視しても良いし、片手間でも落とせる。

 それよりも、手に負えないのは〈スケルトン〉の機動力と、あの〈反射〉のスキル。

 そう考えたためだ。


 聞くところによれば、〈スケルトン〉の〈フルカゲ〉は『バープラ』始めたての初心者で明らかにプラモデラー。


 HPではなく、急所の破壊を『撃破』と判定する『バープラ』において、特に初見殺し性能の高い『狙撃』を使う、というのも考えた。

 しかし、あのスピードに加えて、配信で見たテナガサルの攻撃を避けたマニューバ、何より〈反射〉のスキルがチラつく。


 それならばゲーマーとしての経験で培ったプレイヤースキルによる格闘戦で差をつけ、圧倒する・・・そういう計画だった。



 〈スケルトン〉が〈ナパーム・スラッガー〉を切り離した。


 炎の雨が降り注ぐ。


 



 



 「いくぜぇぇぇぇぇ!!!ミサイル全弾発射ぁぁぁぁ!!!!」


 〈ナパーム・スラッガー〉の全身から猛烈な数のミサイルが発射される。

 

 このミサイルの弾頭は全てナパーム弾としての設定があるキットからミキシングしたもの。


 ナパーム弾。

 要するに、着弾したら激しく燃える弾。

 ガソリンをぶっかけて、火を付ける様な・・・そんな凶悪な性質をもつ弾。

 この機体は、そんな弾をあろうことかミサイルに搭載した。


 さらに、筋彫りで情報量を増やすことで、威力を限界まで引き上げることに成功している。

 〈ナパーム・スラッガー〉は、このミサイル軍に一番時間をかけて制作した。

 


 そこに二丁拳銃でミサイルを迎撃しながら迫る〈ガルグ〉と、その後ろにつく〈ジード〉が迫る。


 「爆風に気をつけろ!!ナパームだ!燃えるぞ!!」


 「わかってる!!集中しろ!!」


 ミサイルを二丁の拳銃で撃ち、起爆。


 爆風の薄い所を狙って通過しながら、こちらに迫るゲーマー二人。


 「・・・さすがのプレイヤースキル(PS)だな!だが、これはどうだ!?」


 〈ナパーム・スラッガー〉が装備しているのはミサイルだけではない。


 大砲が火を噴く。


 狙いは、自らが発射したミサイル。


 「ちぃっ!!野郎!!!」


 「ぐっぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 予期せぬ場所から突如発生した爆風で、機体の各所が燃える。

 しかし、距離はもう十分縮まっている。


 「耐えろぉ!!もうすぐだ!!」


 「まずはあいつを叩き落とす!!」


 銃が、剣が、あと数秒で届く距離。

 一機落とせば、後は二対一。


 勝ちを確信したその瞬間・・・





 ・・・名は体を表すという言葉がある。

 〈スケルトン〉が透明な外装を纏い、骨子たるフレームを可視化している様に。


 〈ナパーム・スラッガー〉


 『ナパーム()』はもう示された。


 では『スラッガー』とは何か?


 答えが今、示される。

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