女神様の宝石箱23
朝も早よから神父様の奥様を捕まえて商売の駆引き講座を開いていた。
何故かそんな私達のやり取りをアルが楽しそうに見ている。
「つまり、飴と鞭……損したと見せて得を取れ。とても勉強になりますわ」
神父様の奥様ことイザベラは意外と飲み込みの良い方で、2時間程お茶を飲みながら講義した内容を理解してくれた。
これで蝋をお客にけちったりする事はもうないだろうし、トイレットペーパーも制限しないだろう。(それはここじゃないだろうー)
私は清々しい達成感にひたりながら残ったお茶を飲み干した。
「今日のお話は大変勉強になりましたわ。早速実施してみようと思いますの」
イザベラはそう言うと私を見つめて妖しく笑む。
「ジュリアお嬢様は来月デビュタントでしたわよね」
イザベラのその質問に、確か入学して直ぐにあった夜会でヒロインと王子のイベントあったな……と何処か他人事のように思い出した。
あれが確かデビュタント。
「ええ。確かに」
おデブ令嬢を相手にもしてくれない王子のせいで、誰とも踊らなかったんだよね。
確か「私のような高貴な者を相手に出来るのは王子のみよ。オホホホホ」とかって馬鹿言ったんだ。
でもさ、確か悪役令嬢のジュリアってダンスも真面目にやってないからどちらにしろ踊れないよね。
こりゃ、うけるわ。
踊れないくせに王子と踊れると思っている所が。
それに、エスコートしてくれた兄はジュリアのダンスの下手さを知っている為にファーストダンスすら踊ってくれなかったって言うおまけ付き。
何せダンスを失敗すると、エスコートした男性のリードにケチがつくからだ。
「では、小さいですが我が教会からコサージュを贈りますわ」
そう言ってイザベラは棚から木箱を取ると蓋を開けて幾つかの飾りを出す。
「特別な特産品もないので、こんな内職のような物を作ってはチャリティーしていましたの。夜会で宣伝して頂きたいですわ」
イザベラがそう言うとアルが隣から声をかける。
「結構綺麗だな。素人にしては良く出来ている。じゃあ、私にもジュリアのコサージュと対になる物をお願い出来るかな?」
アルはそう言うと私を見つめて来る。
「婚約者にはエスコートが必要だろう?ファーストダンスから続けて2曲は踊って貰うからね」
そう言ってウインクして来るけど。
「えっ?私踊らなきゃいけないの?踊れないよ」
一瞬で部屋の空気が凍る。
そして、冷たい眼差しを送るイザベラと、この上なく妖しい笑みを称えるアル。
私のとんでもない発言のせいで、私は入学までの日々をアルとのダンスにつぎ込まれる事になったのだ。
それこそ飴と鞭で……
トホホ(;´д`)
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