女神様の宝石箱22
前半はアル視点です。
宜しくお願いします。
ジュリアの事で知っている事を話そう。
名をジュリア・ウエンズ
公爵家の長女として生を受ける。
それは蝶よ花よと育てられた結果、自身では何もせず食べて寝てだけを繰り返すおデブ令嬢。
口を開けば無理難題や我が儘だけ言う扱い注意の令嬢。
何故なら機嫌を損ねれば即解雇、人を人とも思わぬ傍若無人なその態度。
いざお茶会へ行けば自身がモテるのは当たり前だと勘違いし、数多の令息を振り回すかなり迷惑な存在。
困った事に彼女は身分だけは良い。
そんな彼女の父親は生半可な王族より権力があると来た日には目も当てられない。
今年成人の義が終われば社交界へと進出し、その被害が危ぶまれていた人物。
勿論教養の教の字もなく、何も出来ない落ちこぼれ。
唯一誇れる物があるとすれば、ただただ高いだけの魔力しかなかった。
故に縁談もなかなかまとまらず、と言うのも父親が上昇志向の高い男で、娘を嫁がせるなら自身よりも高い身分の男を所望したのだ。
つまりこの国ではもう王子しか相手となる者はいないと言う事だ。
だから、彼女との縁談に渋っていたのは王族という事になる。
そんな彼女と出会ったのが、何故かあの噂の令嬢なら絶対近付かないだろう教会。
それも慰問に来ていたというのだから驚きだ。
挙げ句、こんな誰とも分からない男を助けて婚約者にしてしまうとか?
まぁ、あれはこちらが画策したのだからジュリアの本意ではなかっただろうけどね。
それに、ここ数日話をしてみた感じでも、彼女は質素で遠慮深い所を感じさせた。
本当に噂とは当てにならない。
呪いの事を分かって行動しているとしても、本来の気質までは変えられないからだ。
甲斐甲斐しく俺の看病をする所とか、あの初な反応なんか、本当に数多の令息を振り回した我が儘令嬢なのか?と疑問である。
大体、ある程度の魔力持ちは相手の魔力も感じるものだ、だから彼女の魔力が有り得ない程にオールマイティで、肌に馴染む位に使い慣れている事が直ぐに分かった。
それに、さっきなどは詠唱さえせずに事象に干渉していた。
「これは本格的に離せないな」
俺はそう思うと眠りについたジュリアをそっと胸に抱いた。
*******
朝目が覚めると、そこには既視感満載の光景が広がっていた。
サラサラのプラチナブロンド。
濃く長い睫毛。
整った鼻筋。
そして、何故か上半身裸の男……。
って、昨夜傷の手当てをしたまま寝たのだから当たり前か。
それにしても、何て美味しそうなスチルなんでしょうか……。
細マッチョという言葉が頭を過る。
「男の人の体もこんなに綺麗なんだ」
そっと上腕に触れてみると確かな固さを感じる。
なぞるように胸板まで指を這わせれば
「痴女」
ボソリと言われた言葉に顔を上げる。
「ジュリアって意外と大胆なんだな」
アルの言葉に目が点である。
そんな私を他所にアルはそう言うと思いっきり抱き締めて来た。
「なっ……そっちの方こそ!」
思いっきり抗議してやる。
「おはようジュリア」
アルは爽やかに朝の挨拶をするや、私を解放してくれた。
女神様の呪いより、心臓が持ちません。
お読み頂きありがとうございます。
また読んで頂けたら幸いです。




