一話{こんな腐れた世の中なんて}
毎日が楽しい日々だ。クラスの田島隆を2年からいじめ続けてもう卒業の年だ。卒業までの1年をまだまだ楽しいものにするために彼には犠牲になってもらおう。
現代の学校や社会なんてみんなそうだ。誰かや何かを犠牲に自ら守るのだ。
いじめるのはそいつが気に食わないからじゃない。自分が誰かや何かから攻撃されないようにするからだ。だから俺は率先して田島をいじめる。
皆が誰もいじめないからクラスは結束しないし楽しくもない授業だといってスマホをいじるのだ。
俺はみんなのために人と少しずれたあいつをいじめ続けている言わば俺は皆のヒーローだ。
今日から新学期になり皆憂鬱だろうから俺が憂さ晴らしをしてストレスを解消してやろうかな。と考えながら俺は
「さて今日は何をするかな・・・そうだあいつの教科書におにぎりを食べさせてやろう。」
とぼそりと独り言を言いながら学校へと向かう。
学校に着くと田島は席にいなかった。
そういえばテレビでは最近行方不明者が出ているといっていたがあいつも行方不明だったりして・・・
俺はにやにやとしていたがふとあることに気づく。
あいつがいなくなったら次は誰が標的なのか。
人と違う異様な物は排除されいじめの対象になる。
思い出したくもない1年の頃の思い出。
机の上には花が置かれ机の中からはぐちゃぐちゃになった自らの弁当がでてくる。
俺は唐突な吐き気に襲われて席を立った。
「おい佐原もう朝礼始めるぞチャイムは鳴ってるんだから座れ」
もうチャイムなってたのか気づかなかった。
「先生すみません吐き気がすごいのでトイレに・・・」
「ん?なんだ?大丈夫か誰か袋持ってたら佐原に渡せ行ってきて良いぞここで吐くなよ」
どよどよと教室の中が騒がしくなった。
「大丈夫?佐原君?はい!袋」
と田所晴美が袋を差し出してくる。
俺はそれを無視してよろよろと教室を出る。
糞偽善者め。あの女は普段から気に入らない。
俺が田島をいじめるのを毎回止めたり先生にちくったり調子を狂わされる。
どうせ裏ではSNSで悪口たれまくりのビッチなんだ。
一瞬教室を振り返る。この中に本当に俺のことを心配してくれてるやつなんていなんだ。
俺が作りだしたこの空気。
本当に心配してくれるのは・・・・
振り返り廊下を向いたと同時に唐突にずしんと大きな地響きがした。
「きゃっ」
誰かの悲鳴が聞こえた気がした。振り返る間もなく突然光に包まれた。
その瞬間すべての音も消えた。
「なんだこれ・・・俺・・・死ぬのか・・・天罰なのか・・・」
目を開けた先にあったのは見慣れない湖に面した城であった。