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第一章1『日常の異変』

―これは一体どうしたものか。


どうしようもなく、やる気が無くなってしまった。

いや、というより元々やる気が無いと言った方が正しいだろう。 昨日と変わらない散らかった部屋、同じ服、同じ光景。

どうやら、寝起きらしい。


「――生活習慣完全に終わってんな。」


長いため息をはき、自堕落な様を自覚している少年。いつも同じ上下黒のジャージで、背中に闘魂の文字。少し長めの黒髪で、割と整っている。少々つり目ではあるが、そこが本人のチャームポイントらしい。身長は高くやや筋肉質な方。名は彗 (ほうき)(そら)

一見、どこにでもいるような普通の高校生である。


「さすがに、ゲーム三徹はキツかったか。」


そう言いながら、時計を見たときにはつくづく落胆したようだ。

すでに昼の12時をまわっていた。


カーテンから差しこぼれる日の光が目元を照らし、何か考えがあるかのように掌を軽くぽんと叩いた。


「―超久々だが、太陽の光を浴びるか。」


カーテンを開ける感覚。どれだけ久しぶりか、もう覚えていない。


日の光が少しずつ曇りきった部屋の中を照らし出し、窓の外の光景を映し出す。

瞬間、ソラは口を開けたまま外を眺めたままだった。


―騒がしい車の音。ビルの立ち並んだ町の景色、人々の行き交う様。ソラにはどれも見えていなかった。


それもそのはず。何故なら、そこにあるはずの日常が、そこにあるはずの平和が、無くなってしまっていたのだから。

独特の髪の色、赤や青や金色銀色。様々な見た目の人々、ただ見たこともない景色が目に映っていた。


「―と、これは一体どういうことかな。」


目の前をものすごい勢いで飛んで行く飛行機、いや、よく見ると飛行機ではなく異形のもの。漫画やアニメでしか見たことがない、『ドラゴン』だった。





―少し、考える時間をください。


考える時間ならば言うまでもなく、たっぷりあった。引きこもりであるソラには時間という縛りが無いからだ。


ある程度考えをまとめ、落ち着きを取り戻すと両頬を強めに叩き、一世一代の決断をする。


「―行動するしかあるまい!」


事の状況を把握するならば、『行動あるのみ』がモットーのソラ。急いで、外に出る準備を始める。


―考えるな、感じろ!俺。


どこかで聞いたことのある言葉を心の中で唱え、ドアノブに手をかけ、深呼吸をした。


少しずつ扉をあけ、久々の外の光景を改めて見て、やはり、驚愕した。


「―つまりこれは、異世界転移?」


良くわからぬまま、とりあえず歩いてみることにした。


「やっぱ、ここってファンタジーゲームとかで出てくる世界に似てるな。」


風景が変わっていたが、何故か所々まばらであった。中世風の建物が続いたかと思えば、途中高層ビルもあって、異世界と現実世界がゴッチャになっているようだった。




―ある程度、町を見回った結果。何も分からなかった。

歩き回っていれば何かイベントが起こると思っていたソラはやはり現実ではうまくいかないことを改めて実感した。


完全に煮詰まってしまい、どうしようかと迷っていた所、かなり不本意ではあるが人に尋ねてみることにした。


「―なぁ、あんた。ちょっと聞きたいんだが、ここってどういう所?」


1人の中年男性に声をかけた。

だがしかし、こちらを一瞬見たかと思ったら無視してどこかへ行ってしまった。


―一層人間が嫌いになった。


そんな同族嫌悪を思いながら、仕方ないと、一度自宅に戻ることにした。




―帰宅して、すぐにテレビをつけてみた。

しかし、どこのチャンネルも全く放送されていなかった。


―まぁ、映るわけないか。


そう思っていた瞬間、急激な胸の痛みに襲われた。今までに経験したことのないような痛みだった。


「―あぐ!ぅあ!!」


なんとも耐え難い胸の苦しみ、身体中の熱が胸を集中して焼き尽くそうとしているようだった。


―熱い、熱い、苦しい、息が!


必死に飛びそうになる意識を引っ張って耐えていると、急に体が楽になった。


――。


何か頭の中で声が聞こえた気がする。

今までに聞いたことのないような言葉だった。


苦しみとの闘いで疲れ果てたソラはその場で眠ってしまった。





―――さい。


真っ暗な空間に響く、小さな声。

どこかで聞いたような声だった。しかし、思い出せない。


――。


声が聞こえなくなっていく。

だんだん、これを夢だと自覚してくる。今自分は起きようとしている。とてつもなく短い夢だったが、とても長くも感じる夢だった。


意識が遠のいていく。



―そして2度目の昼を迎えた。

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