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広い船室に、エルフの少女と、傍に黒色の毛並みの狐の姿があった。

少女と狐は周りには多くの人間が集まり、皆エルフ少女ことソラに注目していた。


ソラは太極拳を思わせるような動きでゆるやかに腕を大きく動かし、息を飲む。

「スゥー…セイッ!」

そして、腕を目の前に伸ばし叫ぶ。

すると、ソラの手の平から魔力の塊がほとばしり、魔力の光がみるみると形を変えていく。

そして、ボンベのような物から管が伸びた物体になり緩やかに地面に落ちて行った。


「「「おおっ」」」

っとソラを取り囲んでいた人々から喝采が起きる。


「いやいや、全然魔力を無駄にしてますから!いつもよりはマシですけど!」

喝采を受けているソラに黒い狐、ゴンは容赦なく指摘する。


「うーん、そうなのか?」

「そうですよ!最初の腕を動かしてる段階ではマシでしたけど、最後に無駄にドバーッと出てましたよ!て言うかなんでこんなにギャラリーがいるんですか!?」

ソラに指導しながら、ついでに現状についてのツッコミを入れるゴン。


「あー…ソラさんが毎回珍しい物を召喚するから面白がって集まってきたみたいだね。」

ギャラリーに紛れて様子を見ていたサクラが説明する。

「ん、ふねのなか、みんな暇だし?いいごらくてーきょーになってる。」

「まあ確かに変わったものを召喚してますけど…なんですかこれ?」

そう言ってソラの召喚した物を指差すゴン。


「ああ、これはコンプレッサーだな。まあこれだけじゃ特に何も出来んし説明はしねえぞ。練習がてら何が召喚できるか試してみたくなってな。」

ソラはどうやら実験を行なっているらしい。


「へー、それで試してみて何かわかりましたか?」

ソラの試みに興味が惹かれゴンは成果を尋ねる。


「んー、これ覚えてるか?」

そう言ってソラは単語帳のような羊皮紙の束を取り出した。


「召喚手帳ですよね?ソラさんのは普通じゃ無いですけど。」

「俺の持ってる資格手帳みたいになってるからな。で分かった事はだな…。」

とソラは自身の召喚についての考えをゴン達に語る。


「この手帳にある資格に関連したもので、見た事がある物ならだいたい出せるみてえだ。全く無関係な物なら無理だけど、こじつけレベルでも関わってると思われる物なら大体いけた。」

「こじつけレベルって?」

「例えば、今のがそれなんだがな…仕事で使ったりしたことある機械なんだわ。今の仕事の為に取った資格、建築士を意識したら仕事で使った事ある道具は大きい物じゃなければ召喚できたな。建築士現場で使うって事で召喚できるとか適当すぎんだろ。」

と自分で語りながら、自らの能力に若干呆れ気味のソラだった。


「見た事ある物で資格にちょっとでも関係あれば召喚できるって…なんだか凄いね。」

「ソラさん達の世界のものがどんなものがあるかサッパリですけど、滅茶苦茶凄いですよ!魔力操作を覚えたら大きい物でもいけるんじゃないですか?」

「すごいの、みたい…。」

とサクラ、ゴン、ルビィはソラを尊敬の眼差しで見つめる。


「はは、俺が凄いって言うかこれとこの世界が凄げぇんじゃねえかな。」

ソラ自身は、召喚魔法自体は借り物の力のように感じており、サクラたちの眼差しを受けて苦笑いを浮かべる。


「ははは、嬢ちゃんがもっと練習したらもっとおもしれえもんが見えるのか!」

「でっけえもの見せてくれよ!なあ!」

周りにいたギャラリーがと好き勝手な事を口走り始めた。


「おいおい、俺は練習してるだけで芸とかじゃねえんだぞ。リクエスト聞いたらおひねりでもくれるのか?」

とソラは声をかけてきた人たちにおどけてみせる。


「よっしゃ、じゃあ派手なの頼むぜ!」

そう言ってギャラリーは金貨を1枚ソラに投げる。


「おっと、マジでくれるってか。しゃあねえ、それじゃあご期待に応えますかね。あー、サクラもちょっと手伝ってくれ。」

本当におひねりを投げられるとは思っていなかったため、一瞬驚いたがノリの良いソラはそれを快く受け取る事にしてリクエストに応える事にした。

とびっきり派手な召喚を見せてやろうと。

だが、その為にはサクラの助力が不可欠であった。


「え、なになにソラさん。」

「お前さん、爆発に耐えれるあのバリアみたいなの出せるよな?俺が召喚したらその周りに分厚いのを張ってくれ。」

「ソラさん何を出すつもりなの…まあ良いけど。」

「おう、ありがとな。それじゃあ行くぜ…とびっきり派手なのを…な!」

言葉と共にソラが目の前の空間に手を翳すと、ごとりと音を立てて何かが落ちる。


「ソラさんこれって!もー!なんてものを召喚しちゃったの!?多重障壁展開!」

サクラは慌てて召喚された物の周りに大きく分厚い障壁を展開する。


「耳が良い奴は耳をふさいどけよー!リクエストにお応えしてかなり派手だぜ?」

そう言って両手で耳を塞ぐソラ。仲間達やギャラリーもそれに倣う。


数秒後、船室に爆音と色とりどりの閃光が轟いた。


ソラが召喚したもの、それは打ち上げ花火であった。


サクラの障壁により守られていた為、船体やギャラリーは皆無傷である。

「はははは!リクエスト通りだろ?」

「いいぞー!」「最高だぜ!」「え、えろいのも召喚してくれ!」「アンコールだ!」

とドヤ顔のソラにギャラリーは大喝采であった。

「いやー、火薬関係の資格も取っておくもんだな!ってうお!?」


あったのだが、爆音に驚いて船を曳く海龍が驚いて暴走し船体が大きく揺さぶられ、ソラを含む船室の全員が転げ回る。


そして、船の揺れが落ち着いた後に駆けつけた船員から大いに怒られるソラであった。

昨年末に引っ越しましたー

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