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短めです。

そのナイフは呪われていた。

刃には赤黒い文様が描かれており、そこからは禍々しいオーラがあふれていた。

呪いの効果は二つ、一つは人間の持つ負の感情を増幅させると言うもの。

その効果によってスイは自責の念や罪悪感などが強く圧し掛かり精神的に追い詰められていた。


そしてもう一つ、ナイフを突き立てる事により、ナイフに込められた邪気を突き立てた生物に送り込み、魔物へと変貌させると言う能力が秘められていた。


そんな呪いのナイフを何故スイが持っていたかと言うと、やはりアードベックのお遊びであった。


精神的にスイを追い詰め、自害させた上で魔物として人間達にけしかけると言った質の悪い遊戯である。


そんなアードベックの目論見が、遅効性の毒のようにアードベックの滅んだあとに発動しそうな所をソラが寸前の所で阻止していたのだった。


スイをどうにか落ち着かせたソラは、スイを伴って再び宴会の続く集会場へと戻って来た。


「おやおやー?ソラさん遅かったですねー、おっきい方でしたか?」

とまるで酔っ払いのおっさんのように絡むのはゴン。

口からは酒気をにおわせており、いつの間にか相当飲んでいたようだ。


「野暮用だ、つーかゴン、お前も酔うんだな。」

「精霊だって酔えますよぅ!と言っても疑似的になんですけどねぇ~…おめでたい席なんですし楽しい方が良いじゃないですかあ!ほらソラさんも飲んで飲んでー。」

「ったく…ガキみてえな身体だから飲めねーっての。」

呆れた様子でゴンを嗜めるソラ。


そんな風にだらしない表情をしていたゴンだったが、ソラの持つナイフを見た瞬間、顔色が赤から青にサーッと変化する。

「え、ソラさんなんて物持ってるんですか!」

「あー、この悪趣味なナイフな。スイに返さないとな。」

「いやいや!それ呪われてますから一般人に渡したらダメですよ!タチ悪いやつですよう!」

「え、まじかよえんがちょ…。」

そう言ってソラは汚いものを触るかのようにナイフを投げ捨てた。


「アードベックから無理やり渡された物でしたので…そうですか、呪いの道具でしたか…。」

「ええ、精神感応系の呪いがかかってるのはなんとなく分かりますけど、他にも邪気がぷんぷんで一癖も二癖もありそうな呪いのアイテムですねぇ…。」

はー、と思い当たる事があったのかスイは納得の表情を浮かべる。


「はあ、それじゃこんな所に置いておくわけには行かねえよな…どこか供養できるとこに持っていくか。お前さんもそれでいいか?」

「はい、私には必要ありませんし、そうして頂けると助かります。」

適当に捨ててあると誰が手に取るかわかったものでは無いのでソラはスイに回収して良いか確認を取り、投げ捨てたナイフを汚い物を摘むようにして持ち上げる。


「んじゃ、仕舞っておいてくれ。」

「うぇぇ…まあ、いいですけど…。」

そして、嫌そうな顔をしたゴンに押し付けるのだった。


「さて、スッキリした所で飲もうか、つっても俺はジュースだけどな。」

ソラはそう言ってスイに笑いかける。


「…はい!」

こうして、スイも交えて名もなき村での宴は続く。


村の大人達が飲みすぎて酔いつぶれるその時まで。

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