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「またか…またなのか…。」

気合が空回りし続けてさすがにうんざりしてきたソラは大きくため息をつき、肩を落とす。

そんなソラの肩をルビィがぽんと叩いて慰める。

言葉は無かったがソラはその気遣いにぬくもりを感じた。


「いいえ!まだです!気をつけてください!」

そんな最中、ゴンが警告を発した。


まだとはなんの事か、ソラ達は一瞬の思考の後に嫌な気配を感じ取りその方角を睨む。

剣を突き立てられ倒れているライトの方角を。



それはまるで動画の逆再生のようであった。

倒れていた身体は不自然に起き上がり、突き刺さっていた剣は地に落ち、傷口が何もなかったかのように塞がっていく。


「うわ、気持ちわりぃ!」

「いや、そんな事より何が起きているんだ!ライト…君は…!」

「神の力です!運命の力で現実を改変して、剣で刺された事をなかった事にしてるんです!」

「へえ、中々いい力じゃないか。運命の力ね。」

起き上がったライトはなんともなかったかのように軽い口調で言う。


「なんてこったい…あんな致命傷でもなかった事になるなんて…一体どうしたらいいんだい!?」

「力の源を探して破壊するしかありません!でも一体どこなのかわかりませんし…。」

「探してる間にこっちが消耗しちまうよ…あいつの強さは尋常じゃ無い、アタシも…もう少しでやられちまうとこだったしね…。」

ラケルの声に絶望の色が浮かぶ。


「ゴン、わからないの?」

「神の力は感じますがどこが源になっているかまでは分かりませんね…。」

ルビィの問いにゴンは首を横に振る。


「なんだい?そんな絶望した顔しちゃってさ…まだやれるだろ?ねえ、もっと戦おうよ!」

そう言ってライトは自らの側に落ちていたグリンの剣を拾い上げる。


対するグリンは手ぶらである。

「なんで刺したままにしてたんだよ!」

「すまない…致命傷だと思って油断していた…本当にすまない…。」

ソラのツッコミにすまなさそうに謝るグリン。

「まあ仕方ないか、心臓貫かれてる奴が起き上がるとは思わないもんな…責めても仕方ないか。そんな事より力の源を壊せばいいんだろ?」

落ち込むグリンを他所に、ソラは簡単な事と言わんばかりに言い放つ。


「わかるんですか!?さすがソラさん…これが運命を壊す者の能力なんですか!」

「いや、これ見よがしに燃えてる腕だろ、身体は普通なのにめっちゃ目立つぞ。あとへんな肩書きつけんな。」

驚くゴンにソラは呆れた声を返す。


「言われてみれば…!胸の傷や服まで元に戻ってるのにアタシの攻撃が掠めた腕は治ってないね!」

「凄い…なんて洞察力なんだ…!」

驚くラケルとグリン。

その様子に

(いやそんな分かりやすい痕跡あったなら俺より先に分かれよ…)

と思いつつ口に出さない優しいソラであった。

誰だって凡ミスぐらいある、悪意が無いミスはできるだけキツく言わないのが管理職をしていたソラのモットーなのだ。


「ははは、弱点がわかったところで瀕死の女オークに武器のないグリン、逃げるしか能が無いソラちゃんにちみっこい殴り巫女、あとはビビってる精霊か…そんなメンツでなんとかできるとでも思うのかい?ははは、笑えてくるね!あははは!」


弱点が判明したからと言って、ライトは余裕を崩さなかった。

確かに、ソラたちは戦力的には心許ないのだ。

戦闘力が高いラケルが弱っており、グリンに至っては武器を奪われている。


「ん、ラケル、瀕死なの?」

「ああ、割と立ってるのか精一杯だねぇ…。」

「じゃあ、なおすよ?」

そう言ってルビィはラケルに回復魔法を施した。


「そういや…アタシらと組んでた時もメイス振り回してるばっかりだったから忘れてたけど回復魔法が使えるジョブだったねぇ。」

「ドヤァ。」

ライトが余裕をかまして笑っている隙に、ラケルが立ち直る。


「待ってよー!やっとついたー!あーもー!シンドーイ!」

さらにふわふわと吹き飛ばされていたリリスが舞い戻る。

「おかえり。」

「ふふ、これで懐かしのパーティが揃ったねぇ。」

にやりと微笑むラケル。

先ほどまでの疲れもどこへやら、長い間一緒に戦ってきた仲間がいるだけで負ける気はしなかった。


「お、いいねー!またそれなりに遊べそうじゃない?強敵が居ないと楽しくないもんね!」

そんなラケル達を見て、ライトは楽しくなってきたとばかりに唇を歪める。


「ほーら、グリン!返すよ!君も戦ってくれるよね?僕の武器は…これがちょうど良いかな。」

さらにライトはグリンに剣を投げて与え、自分はその辺りに落ちて居たオークリーの騎猪兵が振り回して居た大剣を拾い上げ、軽そうに振り回して居た。


グリンは投げたれた剣を掴み、ライトに向けて宣言する。

「…良いでしょう、今度こそ私がお前を止めてみせる!」


「ははは、良いねぇ良いねぇ!盛り上がってきたねぇ!それじゃあやろうか!」

「来いっ!」

「行くよっ!」

「今度こそクタバレー!」

「ぶん、殴る!」


それぞれの武器を手に、サーキュライトの未来をかけた戦いが再び始まった。

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