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-22- サーキュライト王国の休日1日目

サーキュライト王国の最高級宿、夢魔の枕亭の一室。

本来要人が滞在する時に使われているらしい。

内装はそこまで派手ではなく、それなりの絵画、よくわからない壺、ティータイムでも始めれそうなテーブルと椅子。

さらに、リラックスできそうなでかいふかふかのソファ。

キングサイズと言うべきか、巨大なベッドが一つ。

他にもクローゼットや浴場などがある。


ソラは、カーテンの隙間から差し込む光を受けて目を覚まし、キングサイズのベッドから身体を起こした。

「ふわぁ…寝ちまったか…」

大きな欠伸をしてぐーっと腕を伸ばす。

そして顔を横に向けると、そこには女子高生が眠っていた。

「なんか良くない事をした気分だな…」なんて言って苦笑いする。


続けて女子高生、サクラの眠っている反対側を見る。

小柄が赤毛の少女、ルビィと、真っ黒い狐の姿をしたゴンが眠っていた。

ゴンは狐形態になるとソラにしこたまもふられるので、普段は少女の姿をしているが、眠る時は省スペースにもなるので狐の姿になる癖がついていた。


みんな寝坊助だなと思いつつ、無意識にゴンを撫でるソラ。

気持ちよさそうなので軽く、もふらずに優しく背中を撫でていた。


ソラがひたすらゴンを撫でて毛並みを楽しんでいると、反対側のサクラが目を覚ました。

「ふわ…んー…おはようございます…」

眠たげに目をこすりながら身を起こす。

「おう、おはようサクラ。」

ソラは、ゴンから手を放して、サクラの方に向き直った。

サクラはまだ頭が覚醒しきっておらずぼんやりとソラの方を見つめている。

そして、ハッと気が付いた。

「わ、わ、私寝ちゃってました!?」

「おう、俺も気づいたら寝てたみたいだわ…」

サクラは顔を真っ赤にして叫び、ソラも照れくさそうに頭をかいた。

「んあ、おはようございます。」

「んー、あと5ふん…」

その声でよく眠っていたルビィとゴンも目を覚ましたようだ。

「あわわ!私男の人の隣で寝て…って言ってもソラさんは今女の子だし…あれ、いいのかな?」

顔を赤くしてわたわたしていたサクラは、そんな事に気づけないぐらい混乱していた。


昨夜、ソラ達は宿屋に戻った後、サクラの部屋をどうするかで話し合っていた。

一緒に泊めてやればタダになるんじゃないかと言って宿に交渉したところ、すんなりOKが出た。

ただ、他の部屋は空いていないのでソラ達と同じ部屋と言う事になった。

日本の女子高校生、しかもソラの事をちゃんと男と認識しているサクラと同じベッドで寝るのは多少の気まずさがあったため、ソラは少し話したら自分はソファで寝ようと思っていた。

サクラの方もそう感じてはいたのだが、取り敢えずはさておいて、兎に角日本人であるソラと元の世界の話がしたかった。

それほどまでに同郷の者に飢えていたのだった。

そして、夜遅くまで広くてくつろげる場所、つまりどでかいベッドの上で語り合っていた結果がノックダウン、要するに全員寝落ちである。

因みにルビィとゴンは、ソラ達の話はよくわからないが、吟遊詩人の創作の話を聞いているようで面白いと、ひたすら聞き入っていたら途中で寝てしまったらしい。


全員なんとか目が覚めたようで、宿の人に部屋で食べられる朝食としてサンドイッチとフルーツジュースを用意してもらい、食べながら今日の予定を話す事にした。

「えっと、今日は観光するんだったよね?街を案内してあげたいけど私は西の方しか詳しくないんだ。」

サクラが言う。

なんでも、魔女のお使いでしか街に来る事が無く、殆どが街の西側で済んでしまう為、街をぶらぶらしたりはするものの西の方止まりでわざわざ遠くまで散策などはした事が無いらしい。

「まあ、その街に住んでても割と行かない場所とかあるもんなあ…」とソラは納得していた。


「私は知識としてこの国の事は知って居ますけど、割とメインシナリオから外れてましたのであんまり街中には詳しくないですね。ルビィさんと一緒に冒険者のお仕事で立ち寄った事はありますけどねえ。」

ゴンが言う。

「冒険者ギルドの場所とか…一度かかわったとこなら少しわかる?観光地とかはしらない。たのしみ。」

ゴンもルビィも観光となると、殆ど知らないらしい。


「ふむ、まあ大丈夫だ。俺は結構出張とかの経験あるからな。」

任せろ、とばかりに男らしく胸を叩くソラ。

しかし、胸板がドン、とは言わす仄かな膨らみがふにっと揺れた。

思ったのと違う感触は気にせずソラは続ける。

「だいたい前情報無くても観光して楽しめる方法はあるんだ。任せろ!」

「おー、頼もしいですね!」

「ソラ、すごい…」

「さすが大人だね。」

口々にソラを称賛する。

「おう、コツはな、だいたいデカい建物方面に行けばなんかあるんだ!あと途中で買い物しながら店の人に聞くとかな!」

ドヤ顔で語るソラ。

「なるほど、なるほど。」と頷くゴンとルビィ。

しかし、サクラは少しあきれ顔だった。

「あのー、ソラさん、つまりそれって…」

「おう、別名ノープラン、街ブラとも言うな。」

「ですよね!」


そんなこんなで、朝食の後に、とりあえず一番デカい建物の王城目指して観光に繰り出す事が決定した。

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