-11-
召喚魔法の練習を初めてから、2時間が経過した。
文鎮のみを召喚したり、別の資格ではそろばんを召喚したり、他にも空手の帯、木刀、模造刀、脚立など細かい道具等を召喚できた。
他に召喚手帳に自動車免許や危険物取扱などがあったので、これは使えるのでは無いかと試してみるも、全く使えず仕舞いだった。
「なんか込める力が足りてない感じがするんだよなあ…」
ソラはなんとなく、召喚に必要な魔力が足りないと感じていた。
傾向としては、大きい物、複雑な物、は魔力が大量に必要そうだった。
「自動車免許で…これならどうだ!」
自動車があれば便利だと思い、なんとか召喚したいと思っていたが、全く力が足りないのでいっそと思い、原付を召喚しようとするソラ。
「むむむむ…セェェェェェイ!!!!」
ひときわ大きな召喚陣が杖の先から現れ、イメージした白い原付が現れる。
ソラの記憶にある原付は、探偵が乗り回す白いベスパであった。
「よっしゃ!」
と大物の召喚成功でガッツポーズを作るソラ。
「「「おおー」」」
見た事もない召喚に驚くルビィ、ゴン、おばちゃん。
そのギャラリーに向けて振り返り、ソラは笑顔で告げる。
「これ、戦闘に使えないな!」
大量に転がってる文鎮、そろばん、黒帯、木刀、模造刀等々、普通に売ってる武器より攻撃力が無いものばかりである。
唯一の大物の原付も戦闘力は皆無、移動に便利なぐらいである。
「そうだねぇ…剣もあるみたいだけど、細くてすぐ折れちゃいそうだし…実戦向きのモノは無いねぇ。」
武器屋のおばちゃんの見立てでも無理である。
近代兵器などがあれば良かったのだが、残念ながらそんな資格は持っていない。
「えー、とりあえず杖はこれを買って持ち歩くとして、他に武器を買いましょうか。」
と提案するゴン。
「メイス、オススメ。」
自分も持っている武器をここぞとばかりにプッシュするルビィ。
「とりあえず色々見るかあ…」
がっくりと肩を落とすソラ。
魔法を使えるとかなり期待していた分、落胆が大きかった。
とぼとぼと武器屋の方に戻るソラ達をおばちゃんが呼び止める。
「ちょっと、出したモノは送還しておくれ!」
「送還…ですか?」
また知らない言葉に戸惑うソラだった。
送還はやってみたら簡単で、消えるよう念じるだけで問題なく全て消えた。
そして、全員で武器屋に戻り、新しい武器を物色するのだった。
「剣とか使えたらカッコいいよな…」
今度は剣を中心に探してみていた。
だが、ソラは小柄なエルフの少女である為、カッコいいと思われるロングソード等は大きすぎた。
とりあえず手に取ってみるが、振り回すのは無理だなとすぐに理解する。
かと言って短剣で妥協するのもなあと思い、手ごろなサイズをひたすら探し続けるのだった。
そんな事をしていると、ゴーグルをつけた職人っぽいドワーフの男が店内に入ってきた。
「あら、あんた!ちょうど良かったわ!」
そう言って、店員のおばちゃんが駆け寄って何か話している。
どうやら、おばちゃんの旦那で、ここの武器を作っている職人のようだ。
おばちゃんが話終わると、ソラの方を一瞥して、また店の外に出て行った。
しばらくして、再び店内にドワーフの男が大きな剣を持って戻ってきた。
ソラ達の元へ近づき、手にして居た剣を壁に立てかけた。
先端を床に向けて立てかけられた剣は、刃は四角く分厚く、刃渡りはソラの体程ある大剣であった。
「な、なんなんですか?」
突然、無言で巨大な剣を見せられてソラは困惑した。
「嬢ちゃん、サモナーだろ?この剣と契約してみな。」
そう言ってドワーフの男はニカリと笑った。




