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しばらくお互いにしっくりくる服が見つかるまで着せ替えあったソラとグリン。
グリンの恰好は、胸元が少し広めのシャツにブルーのジャケット、ブルーのスカート、明るい色のストールにサングラスと言った格好になった。
一方ソラは、首元にフリルのついたピンク色のワンピース姿になっていた。
「ソラさん、可愛いよ…。」
「うー…柄じゃねえんだが仕方ないか。それにしてもグリンの恰好も我ながら良い感じにできたな。」
うんうんと腕を組んでグリンの恰好を見つめるソラ。
(お忍びのハリウッド女優って感じでいい感じだ)
と満足気であった。
「ふふ、そんなに見つめられると照れるね。」
まんざらでもないグリン。
「でも髪がそのまんまでちょっと目立つな。そうだ、グリン、そこに座ってくれよ。」
「ああ、わかったよ。」
そしてグリンが椅子に座ると、ソラはグリンの銀髪を三つ編みにしていく。
「器用なんだね、ソラさん。」
「まあな、昔色々とな。」
そう言って黙々と髪を編み込み続ける。
(こう言う事をしてあげる女性でもいたのだろうか)などと考えて少し複雑な気持ちになるグリン。
実際は、ヘアセット検定と言う資格試験があったので勉強していただけである。
「よし、良いんじゃないか?」
しばらくして、ソラによるヘアセットが完成した。
グリンの長い銀髪は、ティアラのように編み上げられていた。
その姿を鏡でまじまじと確認するグリン。
「すごい、なんて言うかお姫様みたい…だね。」
「ははは、似たようなもんだろ!可愛いぞ!」
「うん、ありがとうソラさん…。」
思いのほか、髪型一つで自分が自分でないように思えてしまい困惑、そして可愛くなったと言われた高揚を感じて困惑するも礼を述べるグリン。
「店員さんも見てやってくれないか?可愛いだろう?」
ドア近くに待機していた店員に声をかけるソラ。
「…ええ、とてもお美しいです。」
店員はそう言って深々と一礼する。
「そうだろそうだろ、それじゃあ服のお勘定頼むぜ。」
寿司屋で会計するような口ぶりで服の会計を済ませると、ソラたちは服屋を後にした。
ベテラン店員こと、この服飾店オーナーのリノンは一部始終を部屋の出口から見ていた。
お客様に困った事があればすぐさま対応できるように待機していたのだ。
彼女は済ました顔をしてじっと黙っているが、内心は激しく叫んでいた。
(美少女同士がキャッキャしてるの尊すぎます…しかも、羞恥心がない銀髪の麗人に照れるエルフの美少女とか最高すぎます…!)
(ああ、あのようなヘアスタイルが!?これは流行るのでは?それにしても、髪を触られて銀髪の麗人がくすぐったそうに悶えて…ああ、顔にエルフの美少女ちゃんのお胸が当たって赤面しておられる!?)
(一体どんな関係性なのでしょうか…親しい仲間のようですがお互い異性と接するようなぎこちない時もあり…なんでしょうか!なんでしょうか!)
(ああ、髪型が…これで完成!?まるでお姫様、いえ、姫そのものではないですか。銀髪のお姫様!夢の国に来てしまったのでしょうか?いえ私のお店でした。ああ、それにしても出来上がりを満足そうにみているエルフさんも可愛い。)
そのような事をすまし顔で考えていると、エルフの美少女から声をかけられる。
「店員さんも見てやってくれないか?可愛いだろう?」
「…ええ、(お二人のやりとり、関係性、そして見た目が)とてもお美しいです。」
(ありがとうございますごちそうさまです!)と思いを込めて深々と頭を下げる。
その後、彼女たちが購入した服を会計するのだが、特大の感謝を込めてオーナー権限で半額以下にするのだった。
後に、彼女はこの日見たヘアアレンジを元に、様々なヘアアレンジをザウスランドから発信するブティックオーナー兼トップスタイリストになるのだが、それはまた別の話。
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