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隠密のフードを被ったグリンがソラの手を引き街中を行く。
「お、おいグリン、どうしたんだよ急に!」
ソラがそう問いかけるとグリンはぴたりと立ち止まり、フードすこしずらしていたずらっぽく笑う。
「たまには2人だけで買い物をしてみたいなと思っただけさ。頑張ったんだしそれぐらいの我儘はだめかな?」
最高に格好をつけたイケメンセリフのつもりでそう言ったグリン。
だが、見た目が凛々しい女騎士である今ではどちらかと言えば男を弄ぶような仕草であった。
逆に、その妖艶さに気圧されて
「ったく…しょうがねえな…。」
とソラは思わず許してしまった。
「じゃあそこの服屋に行こうか、見繕ってくれるんだろう?」
「男に二言はないぜ、とびっきり美人にしてやるよ。」
こうして、ソラとグリンは2人で服を買いに行く事になった。
ソラとグリンは手近な女性物を多く取り扱っている服屋に入る。
グリンが隠密のフードを脱ぎ去ると、店員がすぐさま駆けつけてくる。
「いらっしゃいませ…あ!騎士様!」
グリンに気づいた女性店員達が色めき立つ。
「やあ、こんにちは。今どこに行ってもこんな感じで困っていてね、変装でもしようかと思って来たんだけど。」
グリンがパッと目ベテランそうな店員にそう言う。
「なるほど、承知致しました。ではこちらへ。」
ベテランそうな店員はそう言うと店の奥へとグリンとソラを案内する。
「こちらを貸切と致します、どうぞごゆっくり。」
そう言ってベテラン店員はドアの近くに待機する。
「良い店だね、色々あるみたいだし選ばせて貰おうか。」
「お、おう…流れるようにVIP待遇を受け入れたな…。」
「はは、慣れてるからね。さあ、私はどんな格好をしたら良いかな?」
「そうだな…。」
そう言ってソラは改めてグリンをじっと観察する。
特徴的なのは矢張り長く美しい銀髪と、鎧だろうか。
「うん…鎧が邪魔かな…。」
「ふむ、確かに。」
そう言うとグリンは鎧を脱ぎはじめる。
鎧の胸当て部分を外すと、美しい胸がぷるんと現れた。
「おわ!?いきなり脱ぐんじゃねえ!」
鎧の下に生乳と言うスタイルだったためか、いきなり現れたソレにソラは思わず顔を覆ってしまう。
「ああ、上半身裸になることが普通だったからうっかりしていたよ。今はこんなものがついているんだったね。」
そう言って自分の胸を持ち上げるグリン。
自身がエルフの少女の体になってからある程度慣れてはいるものの、突然だとどうしても意識してしまうソラ。
赤面しつつも「と、とりあえず下着と肌着だな。」となんとか取り繕う。
「ふふ、可愛いなソラさんは。」
「うるせえ、いいからなんか着ろ!俺は服を選んでおくからな!」
そう言ってソラは服を選ぶために背を向ける。
「わかったよ、うーむ、ブラと言うものはよくわからないな。」
とグリンはぎこちなく下着を着用する。
「よし、つけたよソラさん。」
「おう、服は今選んでるからちょっと待ってな。」
ぶっきらぼうに返事をするソラ。
「ついでにソラさんも着替えていかないかい?ほら、料理トーナメントでは活躍したんだし目立つかもしれないよ。」
「まあ、確かになあ…。でもスカートは苦手でなあ。」
基本的にパンツルックで過ごしているソラ。
「だからこそ、普段のイメージと違う服装がいいんじゃないかな?私も着るんだから、ね?」
そう言って下着姿で可愛いワンピースのあるところを物色するグリン。
「うーん、一理あるんだよなあ。」
「そうそう、一緒に着替えようじゃないか。」
単にソラの可愛い恰好が見たいグリン。
言葉巧みにソラが可愛い服を着られるように意識を誘導するのだった。
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次回は月曜日の朝6時投稿予定です。




