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第8話  我が家へ

遅くなりました。

「男を撃退することができてよかった」

「おつかれ、桜華。初めて精霊魔法はどう?」

「すごいと思う。それと、難しいとも思う」

「桜華ならすぐに精霊魔法も扱えるようになるさ」

「ありがとう。それより今、何時なの?」

「知らない。地上に上がらないとわからない」

「なら、急いで上がりましょう」


 神殿を出て、リビングに戻ると通路が一つ出来ていた。

 奥は小さな広間になっており床が光っていた。

 私は、それを気にせず扉の方に走って行った。


「桜華。こっちだ、この魔法陣を使えばいい」

「うん」


 紅火は私の手を引いて魔法陣の上に乗り、発動キースペル呪文ワードを唱える。


転移ワープ


 次の瞬間、私たちは地上へと出ていた。

 さらさらと風になびく草木の音、雲が浮かぶ青い空、小鳥たちのさえずり、眩しい太陽の日差し、

 たった一日の出来事だというのにとても長かったように感じたからだろうか、どれもが懐かしく感じてしまっている私がいた。


「朝だね」

「そうだな、天気もいい」

「帰ろう」

「別にかまわないが、私の事を忘れていないか?」

「あ...。」

「やっぱりな。」

「うっ...えーっと、普通に精霊だと紹介するのは?」

「なぜ、私に聞くのだ。私は桜華と供にくと決めている。桜華の好きにするといい」

「...そっか、わかったよ。じゃあ、家に帰ろう」

「ああ」


 紅火は文句を言う事も、意見を言う事もなく私について来た。

 でも、前のように気楽にしてほしいし、意見を言ったり、もう少し自由にしてほしいというか、なんて言うか。言いなりになって欲しくないかな。

 そう、思いながらも森の中に入って行き、泉の横を通り、家の中庭へと出て来た。すると、


桜華おうか嬢様じょうさま!」


 大声で叫んで走ってくる侍女が一人。私の専属侍女のフリーエルだ。

 彼女は、蒼い瞳を持っていて、ブルーグレー色でストレートの髪を胸のあたりまで伸ばしている。そして、13歳だというのにもかかわらず、掃除も料理も家事ならなんでもできるし接待だって上手な、優秀な侍女なのだ。


「お怪我などはございませんか?」

「ええ、大丈夫」

「どこに行っていたのですか。心配したのですよ」

「ごめんなさい、霊者の男に追われてしまい、隠れていたの」

「そうだったのですか。あら、そちらの方は?」

「ええと、これから説明する、お父様たちはいる?」

「はい、いらっしゃいますよ。」

「じゃあ、みんなをどこかに集めてくれる?その間に着替えるから」

「わかりました。すぐ皆様にお伝えします。」

「よろしく、紅火行こうか」

「ああ」


 二人は桜華の部屋に行った。桜華の部屋はニ階の中庭側にある。ベッドにクローゼット、鏡、机やイス、ソファー、本棚、冷蔵庫が入っているのにゆとりのある広々とした部屋だ。隣の部屋には風呂に個室のトイレ、洗面台も付いていた。

 桜華はクローゼットを開けるとドレスを手に取り鏡の前であわせ始めている。


「大きな屋敷だな」

「一応、伯爵家だからね」

光青龍こうせいりゅうの血筋だからか?」

「違うよ。表向きには光青龍家こうせいりゅうけではなくて、雪刃家せつはけだからね。そう言えば、なんで光青龍の血筋だとわかったの?」

「魔力の質と精霊とのリンク率からすぐにわかったぞ。あそこまではっきりと最低級精霊を見れるのはなかなかいないからな。」

「じゃあ、誰もがあの泉のきれいな光景を見る事が出来ないって事?」

「そうだ、知らなかったのか?」

「うん。精霊を見る事が出来ない人がいるのは知っていたけど級によって見えない人もいるんだね」

「魔法が上手いんだから、精霊についても学んだ方がいいぞ」

「頑張る、よし、これに決めた」


 桜華が選んだドレスは、若葉色のふわふわしていないアンクル系ドレス。リボンとレースが控えめに付いていてシンプルな感じが桜華を引き立てている。櫛を入れ淡いピンク色のリボンで髪をくくり直す。

 コンコンッ


「失礼します。お嬢様、皆様を食堂にお呼びしました」

「ありがとう、今から行く」


 三人で部屋を出て、一階の食堂に行った。中に入ると深紅しんくお父様とサリアお母様、優蘭ゆうらんお姉様、空季そらきお兄様、弟の星璃せいり、それぞれの侍女や執事がいた。

 

「桜華、話とは何だ」

「はい。まず、昨日は帰る事が出来なくてごめんなさい。それで、帰れなかった理由と紅火の事を説明します。」


桜華は昨日、紅火といるところを謎の集団に襲われた事、どうにか撃退したのだが中に一人男の霊者がいた事、その霊者を倒す事が出来なかった事、どうにか紅火の隠れ家に逃げた事を話した。


「それで、これからどうするべきなのかを考えたのですが今の私たちではどうやっても逃げ切る事、倒す事が出来ないと判断しました。そんなとき、男に隠れ家が見つかり紅火は決心してくれたのです。私と精霊契約をすることを。」

「そうか、やはり精霊だったか」

「はい。紅火は霊力を封印していて私に精霊だという事を隠していたのですが、地下にある聖殿に私を連れて行き精霊の力を開放しました。」


それから、紅火と精霊契約をした事、精霊魔法を使って男の霊者を撃退した事を伝えました。


 






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