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第6話  彼女の力

一話の紅火の容姿を少し変更しています。

内容に大きく影響はしておりません。

「......。」


紅火は覚悟を決めたような顔をしている。


「桜華、こっちに来て!」

「えっ、でも...。」

「いいから、早く!」


紅火は今まで見た事がないほど真剣な顔をしている。


「う、うん。わかった。」


紅火は四つ目の物置へ続くドアを開けて左奥の壁に手を付けて魔力を込めた。

すると、魔法陣が浮かび上がり、隠し通路が現れた。

通路はぼんやりと魔力の光に照らされている。

私が通路に入ると入口は自動で閉じた。

少し歩いていくと、地下へと続く階段があった。

階段を下りると、そこは神殿のような神聖な雰囲気をしている。

白を中心として、薄い青や緑の壁と床。薄い黄色のランプが通路を照らしている。


「うわー。凄くキレイ。」


桜華は、追われている事も忘れて見とれていた。


「見てる暇なんてないから!急いで!」


桜華はうなずき、奥へと走って行く紅火の後を追った。

そして、紅火は通路の一番奥。通路の色よりも少し濃いめの青や緑色の大きな扉の前に立った。

扉には、複雑な紋様のレリーフが刻まれていた。


「ねえ、桜華は何があっても私の事嫌いにならない?」

「もちろんだよ。なんで嫌いになる必要があるの?」


紅火の瞳から雫がこぼれおちたが、すぐに笑みを浮かべた。


「ありがとう。それじゃあ、入ろっか。」


紅火が扉を開けた。

そこにはとても広い祭殿のようなところだった。

魔力を多く含んでいそうな水の湧き出る泉。大人が二人ほどは横になれるぐらいの大きさの長方形の薄いブルーグレー色をした石。水晶の聖杯。

どれもこれも神聖な儀式に使いそうなものばかり。

だが、ここの祭殿には祭られている神や精霊の像がないのだ。

ここの祭殿は物は用意されているが、崇めるべき神も、精霊もいないという事だ。


「ここは?」


どこなのか。と聞かれているわけではなく、どういうことなのか。と聞かれている事に気付いた紅火はあいまいな答えを返した。


「...。すぐにわかるよ。」

「そう。それで、紅火はここで何をするつもりなの?」

「ちょっと待ってて。」


紅火は魔力を開放し、詠唱を始めた。


『我は力を開放する。我は我の鎖を解き放つ。我が名は、青銅セイドウ 紅火コウヒ 零香レイカ 聖なる炎のワルキューレ 。我は雷の裁きを下すもの。』


詠唱が終わると、紅火の体が光に包まれた。

光が消えると、紅い髪と目を持ち、青みがかった銀色の靴、薄紫色のドレスを着ている紅火が現れた。

でも、いつもの紅火のような柔らかい雰囲気ではなく、威圧感のある冷たい雰囲気をしている。


「紅火?」

「ああ、紅火だ。ただ、力を開放しただけ。私は、炎、雷、鋼、の三つの適性属性を持つ、三種属性トリプルの精霊。」

「紅火は、精霊だったんだ。あなたが精霊だったとしても私はずっと一緒にいるから。それで、何のために私の前で力を開放したの?」

「私と契約してもらうため。」

「いいの?私なんかと契約しても。契約したら自由に過ごせないんだよ。嫌でもずっと一緒にいることになるんだよ。」

「桜華だからいいの。しかも、さっき自分でずっと一緒にいるって言ってただろ。」

「うん。そうだね。」

「じゃあ、契約の儀をしよう。」


そう言って紅火は水晶の聖杯を手に取り、泉の水を少し入れて、石の真ん中に聖杯を置いた。


「桜華、石を挟んで私の正面に立って。」

「うん。」

「そしたら、儀式を始める。」


紅火は聖杯に魔力を少し込めると聖杯はキラキラと光り輝いた。


『我、青銅セイドウ 紅火コウヒ 零香レイカ は、汝、光青龍コウセイリュウ 雪刃セツハ 桜華オウカ と契約を交わす。我はこの契約が続く限り、汝に力を貸し与え、汝と供に行こう。汝、我と契りを結びたまえ。』


すると、聖杯から一気に光が放たれた。紅火は指を噛み、聖杯の中に血を一滴垂らした。そして、桜華も血を一滴垂らした。

紅火は聖杯の水を一口飲み、桜華に渡すと、桜華も水を一口飲んだ。

紅火は、最後の言葉を紡いだ。


『汝に契約をする気があるのなら、契りは結ばれるであろう。』


言葉を言い終わるのと同時に桜華の全身が光に包まれた。

光の中で桜華の右手の甲に桜の花の形をした刻印が刻まれた。

光が消えると、桜華の目の色が群青色から、紅火と同じ紅い色に変わっていた。

だが、変わっていたのは見た目だけではなかった。

魔力の質もより高くなっていたのだ。

さらに、紅火との繋がりが出来たため、様々な精霊魔法の知識も送られていた。


「桜華、大丈夫か?」

「うん。大丈夫だよ。ちゃんと契約出来たね。」

「そうだな。これであいつに勝てるぞ。」

「うん。どこで戦うの?」

「ここがいい思うから、ここの扉を開いてあいつに来てもらおう。」

「わかった。」


紅火は、壁に魔力を流し込みここまでの扉を全て開いた。


「あいつのことだすぐに来るだろう。」


紅火の言う通り男はすぐにやって来た。


「わざわざ扉を開いてくれて感謝するよ。」

「いい加減決着をつけよう。これで最後だよ。負けるつもりはない。全力でかかって来るがいい。」

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