第3話 霊者1
すいません。遅くなりました。
「やっと、出来た!」
「おめでとう! これで、 フレイムと、サンダーの、二つの基本と、応用が、出来たよ。」
「うん。色々教えてくれて、ありがとうね。」
紅火も、自分の事のように、喜んでくれている。
近くの茂みに近くに潜む者達が、
桜華と紅火を、囲んでゆっくりと近づいて来ている。
「どちらも、可愛い面をしていやがる。」
「しかも、どちらも魔法の才能がある。」
「それでいて、片方は 光青龍の血筋の者だろ。」
「ああ、だから、どちらも捕らえる。」
「そして、用が済んだら奴隷にする。高く売れるだろうからな。」
会話を、終えた彼らは、ゆっくり気付かれないように、散らばりながら距離を詰めて行く。
それに、紅火が気付いた。
「囲まれている。」
「えっ。」
「私たちが、狙われているの。10人ぐらいはいる。」
「どうしよう。狙われているのは、多分私の方なの。巻き込んでごめんね、紅火。」
「うん、大丈夫だよ。私が、狙われる理由だって、あるからね。」
「そうなんだ。とりあえずは、撃退かな。」
「そうだね。」
「ねえ、紅火。相手の強さ、大体でもいいからわかる?」
「全員は、わからないけど、そこまでは、強くないと思う。一対一なら勝てると思う。」
「そう、なら大丈夫そうだね。」
「じゃあ、私は右にいる人を。」
「なら、私は左にいる人を。」
“アイスボール”
桜華は、アイスボールを作りだして右にいる人に向けて放った。
すると、こちらに打ってくるとは思っていなかったその人は、アイスボールが直撃して意識を失い戦闘不能になった。
“サンダーボール”
紅火は、サンダーボールしていたを作りだして左にいる人に向けて放った。
後ろから不意打ちでサンダーボールを食らったその人は、瞬時に意識を刈り取られて戦闘不能となった。
彼らは、自分たちの仲間の居場所がばれていた事に驚き、混乱していた。
「次、いくよ。」
「うん。」
“全てを凍りつくせ フリーズ”
泉の近く一帯を、凍らせて敵の動きを封じた。
そして、
“全てを穿て サンダーボルト”
泉の近く一帯に雷電が放たれ、敵の意識を刈り取って行く。
雷電がおさまると、辺りには、凍った森の中に倒れている人が10人ほどいた。
「よし、撃退終了。」
「意外とあっさり終わちゃったね。」
「うん、そうだね。」
桜華は、一息着くと魔力を開放して フリーズ を、解いた。
次の瞬間
桜華と紅火の足元に魔法陣が展開された。
「えっ。」
「避けて!」
ゴウッ、魔法が発動し、魔法陣から大きな火柱が立った。
二人は左右に移動することで、ギリギリの所で避けた。
「びくっくりした。」
「本当に危なかった。」
「そうだね。」
「でも、まだ敵が潜んでいるっていうことだよ。」
「うん。気を付けないと。」
ヒュッ、カツ。
投げナイフが、桜華の頬を掠って後ろの木に刺さった。
桜華の頬が切れて血が出てくる。
「っ!」
痛みに顔をしかめた私は、次の投げナイフを避ける事ができなかった。
「桜華っ!」
ナイフは、私の左手に刺さった。
「痛っ!」
“炎よ、我を守る盾となれ ファイアーウォール”
紅火が、炎の壁を作りだした。
「桜華、回復魔法を、」
桜華は、ナイフを抜き、左手のけがの所に右手をそえた。
“ヒール”
ゆっくりと傷口が塞がっていった。
「戦える?」
「うん。魔法を使うだけなら問題はないよ。」
「よかった。」
「勝とうね。」
「もちろんだよ。」
ふっ と、炎の壁が消えた。
すると、そこにはフードを深く被った男の人が立っていた。
“ウィンド”
”ウォーターボール”
放たれた相手の攻撃を桜華がウォーターボールで、相殺する。
“ウィンドボム”
“ファイアーボム”
次の攻撃は、紅火がファイアーボムで、相殺する。
「君たち、強いんだね。」
「あなたもね。」
「あなたたちの目的は何?」
「君たちを捕まえる事。」
「言ってもよかったの?」
「やることは、変わらないから。」
「魔法であれば、相殺できるわよ。どうやって無力化するつもりなの?」
「今からわかるよ。」
『来たれ、風の使者 希風よ。』
「桜華、まずいよ。あの人 霊者 だよ。」
「えっ、私じゃ、精霊魔法を相殺する事ができないよ。」
「どうしよう...。」
風がより一層強くなると、男の隣に光の玉ができ、光の玉が大きくなって行き、風が光の玉に吸収されていき、風が収まると同時に光の玉がカマイタチの姿になった。
「これが、俺の契約精霊。希風だ。」
「無理だよ。逃げるしかないよ。」
「うん。わかった。」
“水よ我らを隠す障壁となれ ミスト”
桜華は、霧を作り出して自分達の姿を隠した。
二人は、急いで森の中を、走って行く。
「こんなもので、隠れれると思うなよ!」
「希風 “ 風の舞一ノ儀”」
希風が、風を起こして霧を払い、泉の近くの木々を切り倒していった。
「見ーつっけた。」
霧が晴れ、木々が切り倒されたため、桜華と紅火の姿が見えるようになってしまった。
「どうしよう。見つかっちゃたよ。」
“フラッシュ”
「桜華、逃げるよ。こっちに来て。」
「うん。」
紅火は、光を作りだして男の視界を奪った。
そして、桜華の手を引くと森の奥へと走って行く。
だが、
「逃がさないよ。」
光はすぐに打ち消されて、男がこちらに向かって走ってくる。
「希風 “ウィンドカッター”」
男は、精霊に風の刃を五つほど作らせて、それをこちらに向かって投げてくる。
グサッ、
飛んで来た風の刃の一つが、桜華の右足の太ももに刺さった。
「うっ。」
桜華は、太ももを抑えてその場に倒れた。
「桜華、大丈夫?」
「今だ。」
「希風 “ウィンドカッター”」
次は、十個の風の刃を作りだし放ってきた。
“ファイアーボール”
いくつかは、紅火の魔法によって防げたが、いくつかは、致命傷にはならないものの、二人に掠ったり、合ったたりした。
「無駄だよ。君たちのレベルでは、希風の精霊魔法に勝つ事は出来ない。」
紅火は、桜華を支えて逃げようとする。
「まだ、逃げるつもりか、面白い。後から追いかけてやるから、早く逃げろよ。」