第2話 お友達
「始めは、低級魔法の、ファイアーボールからに、しよっか。」
「桜花、手加減なし、最初から全力でいこう。」
「いいよ。」
二人は、一斉に息を、吸い込んで、
“ファイアーボール”
桜花の、ファイアーボールは、1メートルほどの大きさの玉が一気に縮小し、小さくなった玉が、的に向かって飛んで行き、的に当たると、爆発を起こし、的を粉々に粉砕した。
紅火の、ファイアーボールは、小さな玉に、周りの炎が吸収されていき、色が濃くなっていくが、玉の大きさは変わらず、炎を全て吸収し終わると、的に向かって飛んで行って、的にぶつかると、的の近くの氷を瞬時に溶かし、蒸発させた。
ちなみに、普通のファイアーボールだと、30センチメートルほどの玉で、氷の的を割れるだけである。
「えぇ~、私の負けじゃん。魔力コントロールは、得意だから、勝てると思っていたのに...。」
「ふふふっ、私の勝ち♪桜花も、すごかったけどね。」
「でも、負けだよ。」
「次は、低級魔法 サンダーボールで、いい?」
「望むところよ」
“サンダーボール”
紅火の、サンダーボールは、小さな雷の玉が、魔力によって、圧縮され、黄色から、水色に変化して行き、的に向かって飛んで行った。的に当たると、圧縮されていた、魔力が、解放されて、的を中心に半径30メートル以内にある氷を粉々にした。
桜花の、サンダーボールは、普通の大きさの雷の玉に、魔力をこめ圧縮させると、的に向かって飛んで行き、的を粉々にした。
「また、負けた...。」
「適性属性じゃないのに、あの威力は、凄いんだけどね。」
「なんか、納得いかないけど、そろそろ、昼食にしよっか。」
「うん、そうだね。私、お腹空いていたんだ。」
それを、聞いた私は、バケットの中から、大きな布を、取り出して、地面に敷いた。
そして、布の上にバケットを、おいた。
「汚れないように、この上で食べよっか。」
「わかった。」
二人は、布の上に座ると、私は、バケットの中から、包装紙に包まれているベーグルを、二つ取り出して、一つを紅火に、差し出した。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
紅火は、ベーグルを、受け取ると、包装紙を少しはがして、ベーグルを見ると、レタスと、ハム、クリームチーズ、玉ねぎが、挟まっていた。
「おいしそう。」
「そう、なら、よかった。じゃあ、食べよっか。」
「「いただきます。」」
はむっ
ベーグルの外側は、カリッとしていて、内側は、もちもち。レタスは、シャキシャキしていて、玉ねぎは、ちょっぴり、辛いけれども、歯ごたえがあり、ハムは、ちょうどいい、塩加減。そして、クリームチーズが、食材の味を、しっかりとまとめていて、とてもおいしい。
はむっ、はむっはむっ。
私も、紅火も、あっという間に、ベーグルを、完食した。
「ふう、とっても、おいしかった。」
「うん、そうだね。もう、お腹いっぱい。」
「少し休んでから、練習を始めようね。」
「うん。」
少し、休憩した、二人は、
「よし、それじゃあ、中級魔法 フレイムの、練習を、始めよっか。」
「うん、じゃあ、まずは、普通に、発動させてみよう。」
“ 全てを、燃やしつくせ フレイム ”
紅火の、フレイムは、的、二つと、的の下の氷を溶かした。
それに、対して、
桜華の、フレイムは、的、二つを溶かしただけ。
それなのに、紅火よりも、発動するスピードが、遅い。
「桜華の、フレイムは、最初に込める魔力が、少ないから、威力が、低いし、発動スピードが、落ちているんだと、思うよ。」
「なるほど。次は、魔力量に、気を付けてみるね。」
「うん、頑張って。」
“ 全てを燃やしつくせ フレイム ”
次は、紅火の時と同じように、的、二つと、的の下の氷まで溶かす事ができた。
「やった!」
「凄いね、一回で、しっかり、修正できているよ。じゃあ、次は、応用するのを、練習して、いこうか。」
「うん。」
そんな、二人の様子を、こっそりと、見ていた者がいた。
「...やっと、見つけた...。」