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第20話  入学

  試験結果は一時間後くらいにセリア先生が来て口頭で発表して下さった。

 合格したのはこのクラスのメンバーだと1~11番、13~15番、17~19番、22~28番、31~35番までの29名だった。

 

 主席の人は小鳥の精霊を使役している人で、18番のミライン・ルイスラートさん。次席は私だった。


 合格した生徒は全員食堂へと移動して昼食を食べてから入学式という式をやるのだという。昼食を食べ終わるとそれぞれのクラスが発表された。クラスはA~Eの五つあって1クラス15~25名で構成される。

 Aクラスがその学年で成績が優秀な者が、Eクラスがその学年で成績が悪かった者が入るように、クラス別にランクが決まっている。私は次席なのでAクラスだった。


 寮に入る者は男女別で、各部屋に2人づつとなっていて入学時の成績順にペアになり、卒業までペアが変わる事は問題が発生しない限りない。

 しかも、特別ルームというのが男女の寮どちらにも9部屋あって、その学年の主席と次席とそのペアが泊まるための部屋となっており、1度でも主席か次席になるとそのペアと一緒に他の部屋とは違い自室とペアと共用のリビングルームのついた広い部屋に卒業までずっと住む事が出来るようになっているんだそうです。もちろん、同じ人が主席、次席になる可能性は高いので、今まで特別ルームが全部屋埋まった事は一度もないのだそうです。

 

 クラスごとに整列し、そしていよいよ入学式。


 入場し、拍手され、来賓の偉い人たちの長いお話を聞き、主席が代表として前に出て入学を許可され、校長の挨拶は、


 「諸君、入学おめでとう。

 他の人がいろいろ話していたし、学校説明は資料に記載されているので、何も言うまい。

 最後に、諸君らの活躍を期待している。以上だ」


 ........。

  さらっと終わった。

 後は、退場し、拍手され、教室にて学校生活について話をされ、登校日について、持ち物や時間割などといった説明を聞き、各自解散となった。


 私は荷物を持ち、紅火と共に寮へ向かおうと教室を出たときに

「セツハさん。ちょっと待って」

 と声をかけられた。振り返ってみると首席のミライン・ルイスラートさんがバッグを持ち、私と同じように肩に精霊を乗せてこちらに向かってきていた。

 「なんでしょう?」

 「セツハさんは、寮に入るんですか?」

 「はい。そうですけど、」

 「私もなんです。私と同じ部屋になるでしょうし、良かったら一緒に行きませんか?」

 「えっと、はい、わかりました。そうします」

  そう答えると、ミラインさんは私の隣まで小走りでやって来て、二人並んで寮へと向かった。

 

 私たちが女子寮に入るとエプロンを付けたおばあさんが出迎えてくれた。

 

 「いらっしゃい。私はこの寮の寮長をしているアラベラよ。あなたたちはのお名前を教えていただけるかしら?」

 「私は1年Aクラスの雪刃桜華といいます」

 「私も同じくAクラスのミライン・ルイスラートです」

 「あら、今年の主席の人と次席の人じゃない。あなた方の部屋はここの3階にある2号室よ、これが部屋のカギになるわ」

  といって、私たちに1つずつ緑色のリボンのついたカギを渡してくれた。

 「一度荷物を置きに行ってからまた、ここに戻って来て。そうしたら、この寮について説明するからね」

 「「わかりました」」

   私たちは言われたとおりに物を置きに部屋へと向かう事にした。

 部屋に入ってみると、そこには解放感のある広いリビングダイニングだった。

 ソファーの上にバッグを置いて1階に戻ると、アラベラさんがお茶を用意して待っていた。

 私たちはアラベラさんの目の前の席に座った。


 「じゃあ、この寮の説明をするわね。ここは特別寮と言って、首席、次席とそのペア以外は来れない場所になっているわ。

 4階建てで1階には浴場と食堂、この休憩室兼フロント、スタッフルームがあるわ、まあ、私とあと4人しかいないけれどね。それで、2~5階は各3部屋あって生徒の部屋となっているわ。

 今、あなた方の他には5階が空室、4階に4学年1組、2階に3学年が2組、1階に2学年が2組いるわ。それで、あなた方の部屋の隣は空室よ。

 食堂と浴場はいつでも自由に使っていいわ。食事は部屋に持っていって食べても良いけれど、食堂で頼んだものは食堂に食器を戻してね。

 休日にダンジョンに行くとか、森での遠征訓練のときに食堂でお弁当を頼むことも出来るけど、たくさん必要なときは事前に知らせてね。

 もし、モンスターをテイムしたり、動物を飼う場合は私に申請してくれれば寮で飼えるし学院にも伝えるからいってね。

 何か質問あるかしら?」

  ここで、ミラインさんが質問した。

 「あの、精霊の申請は必要ですか?」

 「精霊なら基本的には必要ないわ」

 「じゃあ、私たちの相棒は大丈夫ですね」

 「ええ、そのはずよ」

 「そうですか。説明してくださりありがとうございます」

 「いえいえ、これも仕事のうちだしね。何かあったら気軽に相談してね」

 「はい、わかりました」

 「今日は、ありがとうございました」

 ミラインさんと私はアラベラさんに挨拶すると部屋へと戻って行った。


 部屋につくとミラインさんが、

  「どっちの部屋にします?」

 と、聞いてきた。


 「まず、見てから決めませんか?」

 「それも、そうですね」


  左の部屋の扉を開けようとしたときに、ミラインさんが

 「これからは、ルームメイトであり、クラスメイトになるので、敬語、やめませんか?私のことはミラインと呼んでください」

 「えっと、うん。わかったよ、ミライン。私のことは桜華って呼んで」

 「はい!わかりました、オウカ。」

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