第12話 訓練
次話も二週間以内に上げる予定です。
不定期投稿ですがこれからもよろしくお願いします。
「おはようございます。桜華様、朝ですよ」
「んぅ...」
私は今だぼんやりとした視界のまま起き上がる。窓から差し込む光が眩しい。外から小鳥たちのさえずりが聞こえてくる。
「...おはよう。」
「桜華様、本日のご予定は剣の稽古、魔法の勉強となっています」
「...うん。わかった」
「朝食の用意が出来ましたらお呼びいたします」
「..ぅん。」
私がコクンとうなずくとフリーエルは一礼ををしてから部屋を出て行った。ふと、隣のベッドを見ると、とても強い精霊だとは思えないほど可愛らしい寝顔をして寝ている紅火の姿があった。寝かしておいてあげたい気持ちもあったのだが、顔を洗ったり服を着替えたりする必要があるので起こすことにした。
「紅火。起きて、朝だよ」
「....ぅん....」
「ねえ、起きて」
「...ん。.....ふぁあ。」
「おはよう」
「..おはよう」
「まずは着替えないと。そんな恰好じゃ、顔を洗いに行くことすらできないもの」
「うん」
私はクローゼットを開けて、自分のと紅火の服を選んだ。紅火は魔力を使って服を模る事も出来るのだが、魔力を使わずに生活が出来た方がいいし、毎日毎日、体を覆うほどの魔力を消費するのはどうかと思ったのだ。まあ、紅火は精霊なので魔力の心配は必要ないとは思うけどね。
紅火の服は薄いピンク色のワンピースで裾の方にレースとリボンが控えめに付いておりシンプルで可愛らしい服だ。私のは紅火の服の色違いで薄い水色のワンピースにした。
私はタオルを持ち、まだ眠そうな紅火を連れて井戸へ行き冷たい水で顔を洗った。冷たい水をかけたら紅火の眠気も吹き飛んだようだった。部屋に戻ろうとして振り返るとそこにはフリーエルがいた。
「お嬢様、朝食の用意ができましたのでお迎えにあがりました」
「わかったわ」
私たちはフリーエルの先導で食堂へ行き、全員がそろうと挨拶をして朝食を食べた。その時にお兄様から毎朝9時ごろから剣の稽古を始めると言われたので、食べ終わった後に部屋に戻り、髪を一本に結いヒールの低い靴に履き替えてから紅火を連れて中庭に行った。
まだ、お兄様が来ていなかったから準備運動として紅火と魔法の打ち合いをする事にした。楽しく時間をつぶせて練習にもなるなんてまさに、一石二(三)鳥である。
“ ファイアーボール ”
“ アイスボール ”
二人同時に上空へ向かって魔法を放つ、紅火が手加減しているからほぼ互角といった形で二つの魔法がぶつかり合う。炎が爆ぜて氷を砕き消滅する。砕かれた氷は日の光に照らされ輝き散っていく。とても美しい光景であるというのに二人はその光景に興味を示す事無く次の魔法を放つ。
“ 天をも貫き敵を滅する力となりて天の裁きを今ここに轟け電光 稲妻 ”
“ 全ては凍り時は止まる 氷の支配地 ”
“ 我を守る氷河の盾となれ 氷の守護盾 ”
私の魔法で地面を凍らせて紅火の足を凍らせた。冷気が漂う私の支配地は氷の威力が高まる。そのため氷の盾(実際にはアイスウォールの上位種なので壁だけど)は普通よりも強度の高い盾になっている。
紅火も直撃しても死なない程度に調節してあるけれども先ほどよりも魔力を込めて強めに魔法を放っていた。だからだろうか、紅火の魔法はしっかりと強化されているはずの氷の盾を貫き、砕いて、私にぶつかった。
「うっ....」
手加減はされていたし氷の盾のおかげで威力は弱まっていたものの、精霊の魔法であるから結構痛い。紅火は慌てて私の所に駆け寄り、私に手を当てて詠唱する。
“ 水よ。緑よ。光よ。今ここに生命の祝福を ハイヒール ”
紅火の手が青と緑と黄色の三色の淡い光を纏い私の体を光が包み込む。すると、一瞬にして痛みが消えて行った。
「桜華、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。回復ありがとう」
「お二人さんそろそろいいかな?」
「えっ?」
「ああ、いいぞ」
「....お兄様!?」
「ん?もちろん桜華のお兄ちゃんだよ。というか、今の模擬戦凄かった。あそこまで高威力、高レベルの魔法が使えるんだな」
「紅火は手加減してたけどね」
「紅火は精霊なんだから当たり前だと思うぞ」
「うん。でも、パートナーとしてもっと頑張らなきゃ」
「そうか。頑張れよ」
「うん!」
「じゃあ、剣の稽古を始めようか」
「はい!」
「我はここで見てるからな、回復が必要ならいつでも言うといい」
「まず、剣の構え方、振り方からな」
「はい」
「えっと、こうやって....」
―――――こうして、解説をしてもらいながら、素振りをしたり、軽く剣を打ち合わせたりすること三時間。
「ふぅ...そろそろ昼休憩にしようか」
「.....ぅん。つ、疲れたぁ」
「お疲れ」
ちょうどいい絶妙なタイミングで、昼食の知らせにフリーエルがやって来た。
「皆様、お疲れ様です。ご昼食の用意が出来ましたのでお迎えにあがりました」
「じゃあ、行こうか」
私たちは食堂に行き、挨拶をして昼食を取った。その後、紅火と共に中庭に戻り稽古の復習を行ってから魔法の練習を始めた。
「中級魔法はどれぐらい出来るようになった?」
「多分、全部出来ると思う」
「じゃあ、今日は魔法の威力上げと上級魔法を出来るように練習するか」
「魔法の打ち合いでいいの?」
「そうだ、低級から始めるぞ」
““ ファイアーボール ””
紅火のファイアーボールに私の魔法は飲み込まれてしまう。
私の魔法はどの属性の低級魔法であっても相殺することすらできず、全て紅火のファイアーボールに飲み込まれてしまう。
魔力の量やイメージの仕方を変えたりしてひたすら低級魔法を放ち続けるも、一回たりとも紅火の魔法を相殺する事は出来なかった。
上級魔法は、紅火に説明やコツを教えてもらいながら練習した事で、何とか発動する事は出来るようになったものの、まだ上手く調節することができないため消費魔力量が多く数回発動させるだけで魔力が枯渇してしまい、今日の練習は終了になった。
それから、部屋に戻って魔法についての勉強として紅火から話を聞いたり、魔道書を読んだりして、フリーエルに呼ばれたら夕食を食べに行き、お風呂に入ってから布団にもぐりこみ一日を終えた。
私はそんな毎日を過ごしていった。




