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第10話  我が家にて

とても遅くなってしまいました。

ごめんなさい。

「「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」」


ご飯を食べ終わるといつものように全員がそれぞれの従者を連れて食堂を出て行く。


「私たちも戻ろうか」


 紅火はコクンとうなずいた。私たちは自室に戻ると、私はベッドに、紅火はソファーに腰掛けた。フリーエルは、使用人ですので。と言って座ろうとはしなかったがフリーエルが立ったままだと話ずらい、話が進まないといって説得し、どうにかもう一つのソファーに座らせた。

 

「じゃあ、これから夕食の時間まで何する?」

「さすがだな、ノープランか」

「では、お屋敷を案内するのはどうでしょうか」

「さすがフリーエル良い案だすね。うん。それでいこう!」

「畏まりました」


 フリーエルは一度、チラッと時計を見た。


「3時には、お部屋にお戻り下さい。わたくしが、お菓子を作っておきますので」

「うん、わかった。お菓子、楽しみにしているわね。じゃあ、行きましょ」


 と言って立ち上がり、紅火を連れて部屋を出た。


「じゃあ、まずは、一階から。ここがリビング、この隣のここが応接間。....」


 こんな調子でどんどん案内して行った。この家の部屋を全て紹介し終わった頃には、3時近くにになっていた。


「もうこんな時間だね。部屋に戻ろっか」

「ああ、そうだな」


 私たちが部屋に戻ると時刻はちょうど3時ごろだった。

 二人ともソファーに腰掛けると、コンコンッ。


「失礼します」


 と言って、フリーエルが焼き菓子(クッキー抹茶とチョコチップ入りの二種)と紅茶を持ってきた。私たちは、クッキーを食べながら紅火の事や、どんな事があったのかなどと、様々な会話をして過ごした。クッキーを食べ終わると、フリーエルは食器を丁寧にまとめトレーに乗せた。


「私たちはお庭とか、残りの案内をしてくるね」

「かしこまりました。夕食のお時間にはお戻り下さいませ」

「うん、わかっている」


 私は紅火の手を引いて外に出た。


「次は、お庭と別館、離れを案内するよ」

「別館まであるのか」

「うん。静かで人はあんまり来ないけどきれいなとこだよ」

「へえー、それにしても広いな」

「そうかな?あ、ついたよ。ここが花園。季節によって全く違う雰囲気を出すんだよ。で、あっちの奥の方までが畑になってる。....」


 私たちは歩いて庭を回りながらそれぞれの場所を案内して行った。屋敷の裏側まで来たところでやっと別館が見えた。そこは薔薇園のように周りが薔薇に囲まれており中に入ると藤や百合ゆり、ベゴニア、薔薇などの花々が並んでいた。季節違いのため咲いていなかったり、枯れてしまっているものもいくつかあったがきれいな景色を損なわせない程度であった。また、そこは裏側だというのにとても日当たりがよいところであった。それがここをまるで別の世界のように輝かせている理由の一つであると思う。


「どう?ここきれいだよね」

「うん。とてもきれいだと思う」

「でしょう。とりあえず中に入ろうか」


 花々の間にできている通路を歩いて家の中に入った。家の中もモダンな感じで大人っぽくシンプル。全体的に落ち着いた暗めの色が使われている。


「ここも案内するね」

「ああ、頼む」

「ええと、ここがリビングになっていてあそこのドアを開けると隣の応接間につながっていて、こっちが応接間のもう一つの扉、それで.....」


私はこの家を一つ一つ丁寧に案内して行った。


「最後、ここが書斎だよ。」


 二階の一番奥にあるこの屋敷の中で一番広いと思われる部屋だ。小さな図書館のように本棚がズラッと並んでいる。比較的に日当たりのよい窓際にテーブル一つとイス六つが、壁の方にはソファーが一つ置いてある。


「広いな」

「だよね。その分たくさんの本があるよ。魔法書とか、物語とか、神話とかね」

「静かでどことなく落ち着くところだなここは」

「気に入ってくれた?」

「ああ、かなり居心地のいい場所だな」

「そう。よかった。私もここが好きなの」


 それから、少しの間それぞれが好きな本を手に取り読んだり、本の事について話をしてりして過ごしていた。


「そう言えば、なのだが。なぜ、ここに人がいないんだ?」

「ここは、召喚獣たちが好まないからほとんど人は来ないんだ。でも、清掃は行き届いているし、調べ物のために来る人もいるよ」

「召喚獣が好まない。か、」

「ひどいものだと勝手に具現化ぐげんかして、薔薇園に入るのを拒んだんだって」

「それは、どんな召喚獣だったんだ?」

「うーん。確か不死鳥みたいな鳥の召喚獣だったはず」

「なら、大丈夫だったのは?」

「嫌がったのもいるけど、狼とか、猫みたいなのとか、犬みたいなのとか、蝶も大丈夫だったはず」

「ふーん。不思議だな」

「あっ、そう言えば青色の不死鳥みたいな鳥は唯一鳥系で入れたはず」

「青色だけね。何が違うんだ」


 窓の外を見ると辺りが暗くなってきていたので気になって時計を見ると六時半を指していた。


「紅火、そろそろ戻らないと夕食始まっちゃうよ」

「ああ、じゃあ戻るか」


 そう言って持っていた本を本棚に戻してから急いで家に帰った。自室の前にフリーエルが立っていた。彼女は会話をしながらも扉を開けたりとテキパキと行動をしている。


「お帰りなさいませ、お嬢様。そろそろ夕食のお時間になります」

「わかった。着替えを選んでくれる?」

「もちろんです。お任せ下さい。どのような色になさいますか」

「明るめの色がいいかな」

「かしこまりました。それではこちらはどうでしょうか」

「ありがとう。これにする」

 

 私はピンク色のAラインドレスを着て、リボンをほどき、髪を梳かしてから水色のリボンで一つにくくりポニーテールにした。

 その後、三人で食堂に行った。そこにはもう、優蘭お姉さまと星璃がいた。


「二人とも早いね」

「僕はさっき優蘭姉ちゃんと一緒に来たんだよ」

「へえ。星璃はお姉さまと仲良いもんね」

「お兄ちゃんはいつも忙しそうだから」

「空季は長男だからね、大変なのよ」

「そうなんだ」


 話していると扉が開いた。お兄様とお父様とお母様が一緒にやって来て席に座った。その様子を見た使用人たちは、キッチンから料理を運んで来た。今日のメニューは、オムハヤシと、コンソメスープ、ポテトサラダ、後は各自好みの飲み物(私と紅火はアイスティー)だ。


「「「「「「「いただきます」」」」」」」


 オムハヤシは卵がふあふあで、特製デミグラスソースが卵とご飯にピッタリ合っていてソースにコクがある。コンソメスープはあっさりした味付けで野菜で色どりが考えられている。ポテトサラダは、ジャガイモの味を生かしつつも他の料理にあった味になっている。全体的にバランスがよくどれもおいしい。


「「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」」


 いつもならすぐにお父様たちが従者を連れて戻ってしまうのだが今日は誰ひとりとして席を立たなかった。

 使用人たちは食器を下げてテーブルを拭き、テキパキと片づけを終わらせた。

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