一言
あなたの幸せそうな顔。
満ち足りた顔を見るたび、
私の心が黒い何に支配されそうになった。
けれど私は自分を抑えた。
あなたが大切だったから。
自分に嘘をついた。
感情を殺し続けることだけが、あなたの近くにいることのできる唯一の方法だと知っていた。
ある日あなたは事もなげ言った。
「―――」
頭の中で壊れる音が聞こえた。
私が壊れる音だったのだろうか。
あなたが壊れる音だったのだろうか。
わからない。
けれど気づけば1人でいた。
そばにいたあなたがいなくなった。
言葉って重いですよね。
それがよくも悪くも、相手に伝わってしまうんですから。