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女神の憂鬱  作者: 灯星
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6.神は究極のエコ

 エダに連れられて、自分に当てられた部屋に戻る。

 さっきゼノンに連れられて普通に廊下を歩いたとき、人がつぎつぎと寄ってきたので瞬間移動でお願いする。3回目になると慣れてきた。と言っても毎回抱きしめられながら移動するので、照れてしまうのだけど。

 自分でできるようになるのかしら・・・。


「ねえ、エダ。私も自分で瞬間移動できるようになるのかなぁ?」


 毎回、抱きしめられてはちょっと嫌かも。そういうとエダはすこしうーんと考えてから教えてくれた。


「そうだね。たぶん今すぐでもできるだろうけど、場所をもうすこし把握してからにしないと知らない場所に行っちゃって、迷子になってしまうからやめといた方がいいね」


 その時にたちが悪い神や妖精に捕まったら大変だしね。

 やっぱり、まずは勉強ですか・・・。


「あ、精霊たちが君に挨拶したくてうずうずしてるから僕は今日は退散するよ。今日はご飯を食べてゆっくりお休み。また明日、神殿の中を案内するよ」


 そういうとさわやかに消えていった。

 ありがとう、エダ先生。


 そういえばレイヤが精霊をつけてくれるっていってたっけ?

 エダが消えたすぐ後ろに2人の女の子の姿が見える。一人は濃い蒼色の髪と眼ですこし年配の女性。20歳ぐらいかな?細身でおだやかそうな顔立ちをしている。美人さんだ。


「フウカ様ですね。わたくし、セレーナと申します。状況はレイヤ様よりうかがっております。なんでも申しつけください」


 そういって軽くお辞儀する。

 すると、すかさずもう1人も前に出てきた。


「私はノアです!よろしくおねがいします!」


 そう言うのは明るい栗色の髪と黒の眼の女の子。15歳ぐらいに見える。こちらも細身で活発そうな子だ。眼が大きいからそう見えるのかな。もちろん、可愛らしい美少女だ。

 言い終わると大きくお辞儀をする。


 ほんとうにこの世界は美形ぞろいだな。こっちの世界に来たときに整形加工してくれて本当によかったのかも。


「私はフウカです。本当になにも分からないことばかりなのでいろいろ教えてください」


 そういって私もお辞儀をする。礼儀正しい精霊さんでよかった。それに女性なのがなによりうれしい。友達みたいになりたいな。


「フ、フウカ様。私どもに頭を下げるなどもったいないです。どうか頭を上げてください」


 セレーナは意表をつかれたと言う感じであわてて手をあげる。


「え?礼儀にもったいないなんかないよ。だってこれからお世話になっちゃうだろうしね」


 日本人はお辞儀するなと言われてもしてしまう人種なのです。なんせ電話口でもしてしまうぐらいなんだから。

 そう思いながら言うと、ノアが本当にうれしそうな笑顔を浮かべて私を見る。


「お仕えできる女神さまがこんなにすばらしい方でとってもうれしいです!競争率高かったけど、がんばってよかった!!」


 競争率???


「はい。フウカ様の侍女や小使になりたい精霊。いっぱいだったのですから・・・。その中で私とセレーナが勝ち取ったのです」


 ノアは誇らしげに胸を張りながら言う。

 昨日来たばかりなのにすごい情報の伝達。

 よくわからない。なんで、私の侍女にそんなになりたいものなのだろう。


「なんで、競争率たかいの?新米の女神見習いのようなものなのに・・・」


 私がつい本音を言うと二人は即座に首を振りながら否定した。


「見習いだなんて!」


 ありえないです。って言葉がつきそうな口調なのはノア。

 それとは対照的にセレーナは冷静に私を諭すように言う。


「フウカ様。私たち精霊には神格と言うものが見えます。あなた様の気は本当にすばらしいものなのです。おそらくレイヤ様やゼノン様など自然を司る方々と同格でしょう」


 んー。そんなにすごいのか、わたしの気とやらは。自覚はまったくないんだけどね・・・。


 ともかく、二人はいやいやでなくなりたくて私の世話係になってくれたってことだけは分かった。

 それだけでも感謝しておこう。


「ほんとうによくわからないけど、世話係を買ってでてくれてありがとう」


 笑顔で私がそう言うと、二人はその笑顔に笑顔で返してくれた。


「とりあえず、お食事の用意をいたします。本来でしたらフウカ様の嗜好と量に合わせてお出しするのですけど、分かりませんでしたので一般的なものをそろえました」


 セレーナはそういうと軽く手を振る。

 一瞬にてテーブルの上に様々な食材が並んでいた。

 魔法のランプの精霊みたい!あっけにとられながら私は昔大好きだった童話を思い出す。

 便利だなあ。本当に。

 席に案内されておとなしく座る。目の前に1人ではとうてい食べ切れそうに無いごちそうが・・・。

 そういえば、よく考えたら森林にさまよってた2日と眠ってた1日で丸3日は何もご飯を食べていなかった。それなのに、さまよってた時の空腹感がいままったく感じないや。

 のどの渇きもない。過ぎると感じなくなるって言うがそういうのとはまるっきし違う。

 いくらあの滝で水をたくさん飲んだからといって、ありえない話だろう。


「わたし3日も食事してないのに、なんで大丈夫なの?」


 その質問にはノアが答えてくれる。


「あら?フウカ様。神は少なくとも基本この神殿では食物摂取は必要ないです。だって神々が集まっているのでエネルギーが飽和状態になっているから自然にそれを身体が吸収しているらしいです」


 そんなものなの?

 神が集まればお食事さえ必要なくなるとは、究極のエコだ。


「じゃあ、このお食事は?」


 と、なると食事は必要なくなるわけだからこの盛られたお食事の意味がわからない。セレーナが飲み物を注ぎながら答えてくれる。


「フウカ様はお食事をされる環境にいらっしゃったとお聞きいたしましたので、ご用意しました。神様方の中でもお食事される方は大勢いらっしゃいますよ。特にお酒や果実やデザートなどは人気ですね」


 つまりは嗜好品ってわけね。

 なるほど、よく見ると肉や魚はほとんど無く果実やデザートが主だ。

 偏食全然オッケーって感じだ。

 セレーナが注いでくれた紅いグラスを受け取る。なんの飲み物だろう。お酒かな?

 一口飲んでみる。

 あ、おいしい。甘いお酒だ。カシスオレンジみたいな味。


「太ったりしないの?甘いものばかり食べてたら・・・」


 さすがにこれだけは気になる。


「人間とちがってほとんど体型や容姿はかわりませんわ。ご安心してどんどん食べちゃってください」 


 そういいながらノアはどんっとでっかい果実の山を近づけてくれた。全て一口大に切られているので食べやすそうだ。


「あ、ありがとう」


 さすがにこの量は無理。でも少しは食べちゃおっと。

 そう思って果実の中からりんごっぽいものを取り出し口にいれる。


「お。おいしい!!」


 りんごの味ではなかったけどどちらかと言えば完熟した桃の味。果物の中で一番好きな味だ。


「セラと言う果物だよ。へえ、フウカはセラが好きなんだ」


 それは聞き覚えがある声。

 ちょっと、だからなんでここの人はいきなり現れて声かけるの!兄弟そろって同じ行動しないでほしい。

 案の定、果実の山の向こうからレイヤがおもしろそうにこっちを見ている。


「驚かせないでください。あ、せっかくなんで、ご一緒しません?私はこんなにたべれませんし・・・」


 と言いながらさっきノアの発言を思い出して途中でやめる。そういえば神に食事は必要なかったっけ?

 しかし、レイヤはうれしそうにさっさと目の前の席に座ってしまった。


「それはありがたい誘いだな。ゼノンを出し抜いてきてよかったぜ。セレーナ、俺にはタタンの酒を頼む」


 そう言うと、次から次へと食べ物を手に取り口に掘り込む。

 神はお食事いらないってのがうそのように思える速さだ。


「神ってお食事いらなかったのではないですか?」


 そういうとレイヤは少し不機嫌そうにしながら口の中に入ってたものを飲み込んでから言う。 


「おい。なんで、エダには普通で俺には敬語なんだよ。別に俺は食事好きだから食べてるだけだ。ゼノンだって酒には目がないぜ」

「だって最古の神だって言うし、それなら最高神ってことですよね?」


 エダは少年っぽい容姿だしつい弟を思い出して普通に話してしまう。それも失礼かなって思ったけど彼が嫌な顔しなかったのでそのままにしたのだ。


「別にそんなん関係ねえよ。これから敬語禁止な」


 一方的に言われてしまった。まあ本人が良いって言うならそちらのほうがいいのだろう。


「わかりま・・・わかったわ。普通でいいのね」


 そういうとようやく、不機嫌そうな表情が消えた。この人って表情がすぐでるんだなあ。


「よし。じゃあ明日からだけど、お前他の神や女神とどんどん会いたいか?このままだと次から次へとここにいろんな奴がやってきそうだけど・・」


 ・・・・。

 今朝のゼノンやさっきのレイヤみたいに、いきなり部屋にどんどん来るのはやめてほしいかも。


「女神は会ってみたいけど、まだまだこの世界が分からないからもっと先にしてほしいかも・・・」


 これ以上は名前覚えるのすらきついかも。それより先にもっとしらないといけないことあるだろうし。


「そういうと思ったよ。ただ、1人だけ紹介させてくれ。あいつだけは禁止令だしても出し抜いてきそうだし・・・。とりあえず俺とゼノンとエダともう1人以外はこの部屋にくることを当分禁止するから安心しとけ」


 4人は直接部屋にくるんだ・・・。一応レディの部屋なんだからせめてドアの向こうに移動してノックしてほしいよー。

 そんなことを考えていると、その考えを読んだかのような声がかかる。


「レイヤ様!フウカ様は女神です。いきなり部屋に飛び込むのではなく、外からお伺いするのが礼儀だとノアは思います!」


 ありがとう、ノアちゃん。心から感謝します。


「ちっ。わかったよ。こんなうるさい侍女つけたのは失敗だったな」


 せっかくいきなり声かけたときのびっくりする顔が面白くてくせになりそうだったのに・・・。

 すこし不貞腐れたようにぶつぶつ呟く。

 うぅ、やっぱりゼノンと兄弟だよ。ふたりともいじめっ子だ。


「あぁ。うまかった。またいつでも呼んでくれ。じゃあな!」


 ほとんどのメニューが彼の胃袋におさまったころ、そう言って再び一瞬で姿を消した。

 まあこっちもご飯終わったとこだけど、礼儀がなってないな。また教えないと・・。


「ご馳走様でした。セレーナさん、ノアちゃん。ありがとう」


 手を合わせて礼を言うと、動いてた手を止めてはじめて見るような表情でこっちを見ている。ないのかな?この習慣。


「私のところでの礼儀でさっきはちょっとできなかったけど、頂く前はいただきますって言って終わったらご馳走様って言うのがあたりまえなんだ。これからもするから慣れてね」


 そういって片付けの手伝いをしようとするが二人に止められる。

 結局その後、お風呂に連行されてそこでも辞退も聞き入れられず、二人に身体の端から端まで念入りに洗われてしまう。

 お風呂で抵抗した分、もう体力が残ってないのですこし早い気がするが、今日は昨日寝たベットに倒れこむように入ってすぐに寝てしまった。

 その端で侍女たちがこんな話をしていたのを私は知らない。


「レイヤ様が男の小使禁止にしたの、よくわかるね~。セレーナ」

「ふふっ。ゼノン様もこのわたくしに立候補するように言うぐらいですもの。ぜったい男を近寄らせたくないんだわ」

「さっきのだってフウカ様が他の神に会うのを断るって、分かっていながら聞いた感じですものね」

「フウカ様って本当に無垢でまさに癒しの女神ね」

「だれがその恋人となるのか楽しみ」 


 うわさの本人はすっかり夢の中。

 サブタイトル難しいです。話とはあんま関係ないのつけてますけど。

誤字やへんな文章あったらどしどし指摘してください。

 自分では気づかないもので助かります。

 たまーに前の文章をいじっている場合があります。話しの流れ変えるほどではないので読み返す必要はないです。分からない程度の変化なので。

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