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女神の憂鬱  作者: 灯星
55/86

53.気の交わり

しょっぱなからR15です。ご注意ください。

 オリセントの部屋についたが、オリセントは私の身体を放そうとせずに抱きしめたままだった。

 不思議と私も彼に抱きしめられていることが心地よく、気が付いたら黙って彼の身体に軽く手を回していた。


「フウカ・・・」


 私は耳元ですこしかすれた、それでいて艶っぽい声で呼ばれて身体が思わずビクンと身震いをしてしまう。


「もし、ダメなら遠慮なく言ってくれ。お前から拒否してくれないと俺は止めることができそうにない」


 すこし眉間に皺を寄せながら、私の額やおでこに軽い口付けを何度もほどこしてくる。すぐに唇を奪わないのは私の意思を確かめるためなのか。

 いつも流されるばかりで、意思を言えなかった私。でも、今回は違う。

 そういう意思をこめて、そっと彼の両頬を手のひらで包み込んでゆっくりと唇を彼の口元に近づけていった。

 触れるだけの口付けをする。

 離れようとした途端に、彼は私の頭を大きな手で抱え逃さないとばかりに私の唇を彼の唇で覆ってきた。

 頭を固定されているために動くこともままならないままに、深く交じり合うような口付けをされる。

 気が付いたら口付けをされたまま彼の大きなベッドに寝かせられていた。

 長い口付けが外されて思わず熱い吐息が私の口から漏れる。

 オリセントが優しい手つきで、服の上から身体をなでている。同時に顔を私の顔の下に沈めて、首筋から鎖骨にかけて何度も軽く口付けを施していった。

 だがそのまま行動をエスカレートしていかずにいったん、動きをとめて上から横たわっている私に顔を近づけて聞いてくる。


「フウカ。きちんと答えてくれ。このままお前を抱いてもいいか?」


 そういうオリセントの表情はすこし切羽詰っているように険しい表情をしていた。

 私は言葉に表すことができず、でもきちんと意思表示したくて肯定の意味で頭を上下に振る。

 心まで癒してあげたいと思ったときに、オリセントに向き合うことができると感じたのだ。

 オリセントは私の意思を汲み取って、小さくありがとうとつぶやきながら自分の上着を脱ぎ捨てる。

 そこから出てきた均整のとれたすばらしい体つきに思わず息を飲む。

 だが、その身体にはあちらこちらに傷あとが残っている。それが今まで彼が使命を果たすために身を削った痕なのだと思うと、早く彼のそばに来れなかった自分に対して、どうしようもなくジレンマを感じてしまう。

 私がじっと彼の身体を凝視していることに気が付いた彼は、左のわき腹にある一番大きい傷跡に触れる。


「ああ。見苦しかったか?だが、もう別に痛くもないしわざわざ治さなくていいぞ」


 オリセントは全て治したいと思っていた私に釘を刺すように忠告する。


「この傷跡はいままでの人間界の戦場の激しさを現している。それなのに俺だけが今更傷一つない身体になるわけにはいかない」


 なぜ彼がそう望むのか分かって、余計にその数々の傷跡が痛々しく感じてしまう。

 治すことができない代わりに彼が触っていた一番大きな傷跡に、気を送ってしまわないように注意しながらそっと口付けをした。

 オリセントはそれをただ静かに受け止めた後、再び深い口付けをされる。私に触る手も徐々に大胆になりじかに身体に愛撫をほどこしていった。

 長い時間をかけて私の身体をほぐしていき、やがてゆっくりとオリセントと私は一つに結ばれた。

 人間の時は数少ないなりにも経験があったのだが、身体が変貌を遂げたせいで初めての時とおなじような痛みがあり、その証拠として純潔の血がシーツを汚す。

 予期しなかった痛みに思わず自分の意思とは別に、目じりから涙があふれ出るがとめることができない。


「すまない。強引にしすぎたか?」


 オリセントは動きを止めてその涙に口付けをしながらそう聞いてくれる。


「大丈夫よ」


 充分すぎるほど優しく気を使いながらしてくれたのは分かっているので、頭を振って否定した。事実痛みがなくなったわけではないが、痛みよりのオリセントに抱かれ包まれることに、得もいえぬ心地よさを感じてしまう。


「ゆっくり動くから」


 オリセントは私の息が整うのを待ってから、ゆっくりと腰を動かし始める。それにより人間の時にはありえなかった身体だけでなく、神としてのお互いの心と気が混ざり合うような感覚に酔いしれながら、その至福の時間を過ごすことになった。






 気が付いたときには部屋も彼の部屋から移動して、私のベッドに寝かされていた。隣ではオリセントが私の身体を抱きしめながら眼を閉じて熟睡している。彼も私も身なりが整えられていて、私の身体はもうすでに清められていることに気が付いてすこし恥ずかしく感じてしまう。

 オリセントがやってくれたのかしら・・・。

 おそらくオリセントのベッドにはシーツに血が付いてしまっていたので、それでこちらに移動したのだろう。抱かれている最中に意識を手放してしまうなんてね。


 とうとう、オリセントと一線を越えてしまったわ。


 彼の腕の中でその寝顔を見ながら、さきほどまで激しく愛し合った場面を思い出して1人顔を紅くする。


 うん。こうなって後悔はない。今ならオリセントのことが好きだとはっきり言える。


 使命と言われて自分でも受け入れようと、言いきかせた部分がなかったわけではないけど、この青年に今抱きしめられて嬉しいと感じているのだ。

 もう一度寝顔をみようと顔を上に上げると私の視線と、愛おしそうにこちらを見ている赤と青の色違いの瞳とぶつかりあった。


「お、起きていたのね」


 恥ずかしくて思わず眼をそらしながらそう聞くと、オリセントはくすっとかすかに聞こえるぐらいに笑う。


「ああ。身体は大丈夫か?」


 彼はその状態のまま私に気遣ってそう質問してきた。気だるさはあるが、それほど深刻なものではない。


「うん。優しくしてくれたから・・・」


 そう言うとオリセントはベッドの中で私を抱きしめる腕にすこし力を込めながら、意外なことをつぶやいた。


「まさか初めてで授かるとはな・・・」 


 え?授かる?


 そう言われて初めて自分の気の違いを悟った。気の色が混ざっているのだ。クリーム色にうすい透明がかった黄色である。まだかすかにだが前に見たダリヤの気と同じようになっている。


 もう妊娠したの?


 使命といわれたことの達成に対する安堵より、早すぎるこの展開に戸惑いを感じてしまう。


「こうしてフウカを抱きしめて寝れるだけで俺としては充分ありがたかったのだが」


 オリセントはすこし照れくさそうにしながらも、表情は今まで見たことも無いほどうれしそうだ。


「やはりそれだけ守護の神がこの世界に求められていたってことだな。これほど嬉しく思うのは、お前が誕生して以来だ」

「ありがとう」


 やはり、自分の誕生も今回の授かりもこの戦神は大いに喜んでくれていたのだと分かって、嬉しくて心からお礼を言う。

 それに対して答えるように、オリセントは私の頭、額、頬と順番に口付けしたあと、唇にも触れるだけの優しい口付けを施していく。

 私はしばらくの間頭を撫でられ、オリセントの大きな身体に包まれながら、満たされる気持ちで再び眠りについた。

 R15ってこの程度はOKでしょうか?他の小説をみても様々なのでどれぐらいかわかりません。


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