表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の憂鬱  作者: 灯星
37/86

36.洞窟探検

 

「フウカ様。お待ちかねの植物の食料を手に入れましたわ!」


 部屋で休んでいると、いきなり扉をバタンとあけて勢いよくノアが駆け寄ってきた。

 植物ってお米のこと?

 ノアがそれなりに大きな鍋を私の目の前に突き出してくる。


「わお!」


 それはまさしくお米だった。それもそれなりに精米されている。どちらかと言えばタイ米っぽく長細いしすこし茶色がかっているけどそんなのはあまり問題ない。


 よかった!!!


 これでご飯を卵で食べれる!味を思い出して思わず唾を飲み込む。


「ありがと!さっそく、調理場に行って作ってもいい?」


 やはりさっそく作りたいと思ったのでそう聞くと、ノアもそのつもりだったようですぐに了承してくれる。

 と、なると・・・。そういえば次料理するときはウリュウに手助けしてもらう予定だっけ?時間空いていたらいいけど・・・。


「ウリュウに声かけないといけなかったわ。ちょっと行ってくるね」


 そう言って瞬間移動を試みる。いままでの経験上、場所を思い浮かべるより本人を思い浮かべたほうがいいのだよね。ウリュウの部屋って知らないしね。

 順調に景色が一転する。


 あ、あれ????


 気が付いたらまったく知らない暗闇にいた。


 え~ここどこ?


 あたりを見渡す。よくは見えないけど岩のトンネルもしくは洞窟の中にいる感じだ。地面を触ってみると湿っている。


 ま、またへんなとこに来ちゃった・・・。


 最近は多少ずれてもいい感じに跳べてたのでできるだろうと高をくくっていた。


「もしかしてこの近くにウリュウがいるのかな?少しだけ探してから跳んだらいいよね」


 すこし探索してみることにした。もちろん不安もあるのだが、最近いつもだれかと一緒だったし一人で自由に動けることが不謹慎ながらワクワクするのだ。

 いざとなったらまた移動すればいいと思っているから、こんなに悠長に構えてられるのだが。


「そもそもここはどこなんだろう?神殿の地下とかかな?」


 と自分で言ってみて否定する。神殿の近くであればあの膨大な神の気をすこしは感じるはずだ。でも、ここはまったく感じない。

 そう思って予想以上に違うところに来ていることに気が付いてしまった。


「も、もしかして人間界まできちゃった??」


 いままで神の国であればどこでも感じていたはずの気がまったく感じないのだ。と、なると人間界かもしくはまったくあまり足を踏み入れてはいけない場所ではないか。


「瞬間移動できるとこなのかな?やばい!のん気に歩いている場合でなかった」


 移動しようと気を集中する。とりあえず神殿の私の部屋を思い浮かべる。

 しかし、なにか巨大な壁に阻まれている感触を覚えてまったく瞬間移動できない。


「え~。いやな予感が当たっちゃった。できないの??」


 そういえばドラクエでも洞窟内ではルーラできなかったっけ?たしかリレミトと言った別の呪文が必要だっけ。


「ってドラクエ思い出しても仕方ないよ~」


 そもそもなんでここに跳んじゃったんだろう。


「なんの準備もできてないし、私ができるのって回復しかないのよ。へんな生き物とか出てきても一発でやられるわ~」


 やっぱりここはさきほどまで一緒にいたオリセントを呼んでみるべきだよね。戦神だから強いだろうし。

 心の中で呼んでみるがいつまでたっても返事も姿を現すこともない。


「そんなに簡単にできないか。しかたない、歩いて出口を探すしかないね」


 ため息を吐きながら、ふたたび歩き出す。

 今度は気を引き締めながらだ。

 私はおそるおそる歩く。ライトもないのだけど、不思議と足元が見えているのでそういう恐ろしさはない。でも、なにが飛び出してくるかわからないのでどうしても足の進みがゆっくりになる。


「お化け屋敷とかもどちらかと言えば苦手なのよね・・・」


 それでもしばらく進んでいると、道が二股に分かれていた。

 どちらに行くべきか迷う。


「あ、こっちのほうがなぜか暖かいんだ。じゃあ暖かいほうにしよう」


 右の道からは温かい風が吹いていた。と言うことは出口に近い?と、簡単に考えてそちらに決める。

 そこからもうしばらくゆっくりと歩く。怖いとか言ってる場合ではない。だって神殿にいるわけでないのでお腹もすくし水分も必要になるよね。つまりはこのままのたれ死ぬ可能性があると言うわけだ。


 一応女神なのにこんなわけの分からないところで死ぬの~~?

 それは勘弁して~~~。


「あ!」


 いままで暗かったのに前に紅い光がうっすらと見える。


 なにかな?あれ?


 そこに徐々に近づく。気持ちは急くけど、もしやばいものだったら逃げないといけないわけだから、体力は温存するべきよね。


「え・・・・」


 だんだん大きくなってた光が一瞬で消える。なんだったんだろうと思っていると、こんどはもっと明るい大きな光が洞窟内を照らす。

 そのおかげで前に赤の髪をした少年と、よく似た赤茶の髪の少年が向かい合わせに立っているのが分かった。

 ジューンとウリュウの親子だ。なるほど。一応きちんと移動できたんだ。


「まだまだだな、ウリュウ。せめてこのぐらいの火を出せなくてどうする。せっかくフウカが見てくれているのに・・・」


 ジューンがこちらを振り返ることなく、ウリュウに楽しそうに言う。言われたウリュウはびっくりしたようにこちらを振り返った。


「フウカ!なんでここまで?どうやって来れたんだ?」

「ウリュウを目標に跳んだらここに来ちゃったの」


 素直に答えるとようやくジューンがこちらを見た。ひどく楽しそうだ。

 二人の姿を見比べて人間の感覚的に、二人が親子とは到底見えないなと思ってしまう。兄弟にしか見えない。

 でも、改めて気を意識するとその気の大きさの違いに嫌でも気づく。やはり生まれたてのウリュウに比べて、ジューンのほうが火の神だけあって燃え上がるように巨大なのだ。


 さっき感じなかったのはなんでだろう?


「くっく。レイヤたちが過保護になるわけだな。力は有り余っているのにあまり制御が上手くできないってわけだ」


 分からず首を傾けると詳しく教えてくれる。

 この洞窟はウリュウの試練のために特別にジューンとダリヤが作ったもので、神のちからが届きにくい造りになっているらしい。だからなかなか移動しにくいし出て行くのも一苦労なのだそうだ。

 さっき飛べなかったり声が届かなかったのはその為だとか。


「それなのに、ウリュウを目指しただけで楽々と跳んでくるなんてすっげ~力だってことだ。でもって出られないって所は笑えるけどな」


 ずいぶん楽しそうに言われてしまった。


「ウリュウ。今日はここまでにしとくから送って行ってやれ。じゃあフウカ、またな」


 それだけ言うとジューンはさっさと姿を消してしまった。


 は、はやい。


「ウ、ウリュウ。訓練中にお邪魔しちゃってごめんね。私なら終わるまで待ってたんだけど・・・」


 隣で呆然という感じで突っ立っている少年に謝る。まだ試練の途中だったのに中断させちゃったな。


「いえいえ。父上の厳しい特訓に根を上げそうになってたのでちょうど助かったよ」


 ウリュウはようやく気を取り戻したようで、こちらに笑顔を見せながらそう言う。笑うと猫のような目がすこし細められてずいぶん可愛い表情になる。180cmもあるけど私にはかわいい弟にしか見えない。

 弟といえば風香のときにもいたけど、この可愛らしさはなかったな~とつい比べてしまった。


「で、なにか俺に用事あったの?もしかして調理のお誘いかな?」


 そう言われて大きく頷きながら答える。


「忙しくなければお願いしようと思ってたけど、訓練まだするだろうし遠慮するよ」


 ノアに頼めばなんとかできると思うしね。やはり神にそんな炊事の手伝いを頼むのはいかがなものかと思う。


「いや。今日はこれで休ませてもらうためにも、手伝わせてほしいな。これ以上されると俺の身体がぼろぼろになるから、逆にそれを理由に匿ってくれない?」

 よく見れば、ウリュウの服装はぼろぼろだしでている手足に無数のすり傷やあざが浮かんでいる。なかなかハードな特訓のようだ。

 せっかくなので手をかざして気をウリュウに送る。傷やあざぐらいは治せるだろう。

 予想通り、服はぼろぼろのままだけどす~と傷やあざが無くなっていく。


「やっぱりフウカは力強いね。ここで楽に力を出せるなんて」


 そういえば出しにくいって言ってたっけ?できたから結果オーライとしてもらおう。


「ありがとう。じゃあせっかくだし手伝ってもらえる?初めてなんでたしかに火加減とかみてほしいのね」


 お米炊くのに炊飯器なんかないから、たしかに見てもらえるのはうれしい。そう思ってお願いすると、ウリュウはいきなり私の身体を抱きしめる。


 え?なんでいきなり??


 びっくりして逃げるように身体を動かしながら彼を見上げると、


「移動するのに抱きかかえるのが一番でしょ?レイヤもそうしてたし」


 と楽しそうに言う。

 あ、なるほど。いきなりなのでびっくりした。意識しちゃった自分が恥ずかしい。

 紅くなる顔を抑えてじっとしている私を見下ろしながら、再び抱きかかえられる。

 じゃあ行くねと言うウリュウの掛け声とともに景色が一転した。

 今回のタイトル特になにもないので難しかったです。

 息子の教育とかにしようかとも思ったけど・・・。

 なんかテンポのいい文章を書きたいんだけどむずかしいですね。

 書いていけば執筆も上手くなれるかな~?

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ