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女神の憂鬱  作者: 灯星
23/86

23.動き出す恋愛模様

 

 レイヤが瞬間移動で連れてきてくれたのは、私の部屋だった。


「ありがとう。でも本当にすごかったね~。神ってあんなふうに産まれるんだ。神秘だね」


 彼が身体を離してくれた途端、私はさきほどまでの出来事を口にする。自分が興奮しているのは分かる。


「ウリュウもジューンに似ていてかっこよく生まれたね。31人目の神、誕生おめでとう!」


 レイヤに祝福を言うと驚いたようにこっちを見た。レイヤとゼノンが最初の神でこの世界の担い手のようなものだから、神誕生は彼らにとっても必要でうれしいことだと思う。だからあえてそう言ったのだ。

 レイヤはその意図をしばらくして理解してくれたようで、眼をすこし和らげながらありがとうと素直に言う。


「しかし、あの気の中に癒しの気もわずかに引っ付いていたようだけど何かしたか?」


 よく分かるな~。

 贈り物を渡したことを伝えると、レイヤは腕を組みながらすこし考えるようにしている。


「なるほど。だからあんなに安定してすぐ生まれたんだな。フウカ。できればこれからもだれかが妊娠したら気をすこし与えてやってくれないか?」


 へー。やっぱり私の癒しの力って出産に良いんだ。


「いいよ。そんなに難しくないし。あ、私のはじめての仕事だね」


 そう考えるとうれしくなる。だっていままでみんなにおんぶに抱っこで、神のやるべきこともわからず日々過ごしているだけだったもん。役に立つことができると私がここにいても良いんだと強く実感できた。


「匂い袋でいいの?普通に気を送るだけがいいのかな?」

「へえ~。匂い袋に気を送ったのか。ゼノンみたいなことするな。あいつもそんなことしてたっけ?」


 そう言われて突如昨日の夜のキスを思い出してします。

 唇の感触まで思い出して、思わず下を向いてしまう。レイヤの顔がはずかしくて見られない。だって造りは同じだし・・・。

 顔を真っ赤にして下を向く私にレイヤがすこし眉をひそめながら低い声で聞いてくる。


「なんだ?ゼノンとなにかあったのか?そういえば寝台のよこのテーブルから、あいつの気がわずかに感じられるが・・・」


 ひ~。そんなものまで感じることができるんだ。


「き・・昨日もらったの。その匂い袋。眠れないって言ったから・・・」


 キスのことはなんとしても隠すと強く決心する。


「ふ~ん。それだけでその態度はおかしいな。もしかしてこんな感じで迫られたのか?」


 腕をひっぱられたと思うと視界が反転し、気が付いたらベッドに寝かされていた。腕と肩を上から押さえつけられている。

 デ、デジャブ!

 昨日の晩、まったく同じ状態だったのだ。相手はレイヤでなくゼノンだったけど。


「それとももうあいつに身体を許してしまったか?」


 どんどん顔が近づいてくる。これまで一緒だ!


「き・・・キスだけだから!」


 そう叫んだ途端、唇をふさがれる。

 昨日と違って一瞬でなく、私の口の中に彼の舌が入ってくる。

 ディープキスだぁ。

 私の舌も吸われ彼の舌に絡ませられる。

 うぅ・・・抵抗するにもがっちり身体抑えられてて無理。

 それに上手いのだ。

 頭がぼーっとなってきたときにようやく離してくれる。


「悪い。ついやり過ぎてしまった」


 気が付いたら身体の上から押さえられていた重石がなくなっていた。


「ゼノンとキスしたと聞いて、我慢できなくなってしまった」


 私はゆっくりと上体を起こしながら、止まった思考を動かしてみる。

 我慢できなくって・・・ゼノンはただ触れる程度のキスだったのに・・・。

 そもそもなんでレイヤがそう言うのだろうか?


「分かってないと思うから言っとくが、俺はお前の夫かせめて恋人になりたいと思っている。それは分かっておいてくれ」


 え・・・。

 言葉を飾らない告白に純粋に嬉しいと思ってしまう。

 しかし、ちょっと待て。

 人間の恋愛観とは違うとダリヤに聞いたばかりだ。やはり子供がほしいと言う気持ちからであって私自身を見ているとは限らないわけで・・・。


「そ、それはうれしいけど、私はいくら子供の為でもやっぱり、私自身を好きになってくれる人でないとまだ相手として見られないの」


 そういうと、呆れたとばかりに軽くため息をついて、また顔を近づけてくる。

 え・・また???

 今度は一瞬だけ唇が触れる。優しい口付けだ。


「俺はお前自身を見ているが??だから嫉妬したんだろうが!子供がいらないとは言わないが、まずお前も俺自身を見てほしい」


 そ、そうなんだ。じゃあレイヤは少しは私のこと想ってくれているってこと?


「あせって悪かった。ライバルが多すぎるからつい・・・」


 本当に反省しているようで金色の頭を大きく下げている。

 いきなりされたのはびっくりしたし少し怖かったけど、そうされるとどうしても許してしまう。実際されて嫌どころか正直気持ちよかった。言うともっとされそうなので絶対言わないけど。


「もういいよ。レイヤの気持ちはうれしいよ。でも私は女神としてどうすればいいかで、いままで頭が一杯だったし、まだだれにたいしても恋愛してないの。だから今からレイヤ自身を見ながら考えさせて」


 ここまで純粋に気持ちをぶつけてくれる彼に、誠実でありたいと想ったままの気持ちを伝える。

 すると、彼は口元をあげて笑みを浮かべながら私の頭をごしごし撫でてくる。


「よし。いい返事だ。今はそれで上出来!」 

「で、でも、考えるだけだからね。いつまでかかるかわからないし・・・・」


 あまりにもうれしそうに言うので、慌てて釘をさすように言う。だって返事をイエスと取られても困る。まだ保留なのだ。


「わーっているって。よし、このままお食事しようぜ。一緒に食ってもいいだろ?」


 ここで告白の話は打ち切りになる。すぐにセレーナとノアを呼んで食事の準備をしてもらい、2人の晩餐会がはじまった。

 あいかわらず大食らいだ。でも見てて気持ちがいいな。

 パンを食べながら、あぁ・・・和食が恋しくなってきた。白いご飯がほしい・・・。卵焼きと一緒に食べたい。

 レイヤに食べさせてあげたら喜びそうだなぁ。

 今度、暇があったら食材探しして作ってみようかな。

 私はそんなことを考えながらどんどんお皿が空になるのを見ていた。






 しかし、本当に今日はいろいろなことがあったなぁ~~。

 ベッドに寝そべりながら考えてしまう。

 ウリュウの誕生にレイヤの告白。


「でも、いきなりあんなキスすること無いのに・・・」


 ついその感触を思い出して、唇を触ってしまう。

 ゼノンにもキスされたけど一瞬だったし、レイヤのはディープキスだったせいか、気持ちがものすごくこもっていた。


「嫌だと想わないってことはそれなりに好意があるってことだよね・・・」


 考えると言っただけで本当にうれしそうに笑ってくれていた。最高神なのに本当に気さくで考えていることがすぐに表情が出る。口は少し悪いけど性格はいいとまだ短いつきあいだけど理解していた。


「でも・・・ゼノンにされても大丈夫だったし、まだ誰とも恋愛してないんだと思う・・」


 まだ気持ちがそこまで高ぶっていないのだ。


「だから断ることも了承することもできないのよね~」


 どちらにしても女神としての修行と同時進行で、恋愛についても前向きに考えていこう!

 そう決意したところで、睡魔が襲ってきて小さくあくびをする。


「さぁ~寝よう。明日もがんばらないとだめだもんね」


 こうして、今日は匂い袋に頼ることなくすぐに夢の国に発つことができた。

 キスシーンでこんなに苦労するとは思わなかったです。

 こんなんでハグシーン書けるかしら・・・。

 頑張りますので応援おねがいします。

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