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女神の憂鬱  作者: 灯星
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2.人、発見

 で、そのまま2日間さまよい続けています。

 それでも滝の音にすこし気持ちが浮上する。


 水が飲める!こんな田舎ならきれいなはず。水!水!水!


 どんどん近くなる滝の音。

 おそらくこの茂みの先だ。

 生い茂る草木を払いのけて前に進んだ瞬間、思わず息を飲んだ。

 なんてうつくしい景色だ。

 樹木や苔や石の間から何本もの白い降り注ぐ水。そこに小さな虹が架かっている。

 昔に旅行した白糸の滝を思い出す。


 とりあえず飲もう。


 なんとか滝に近づきがむしゃらに水をすくって飲む。


 ふう。なんとか一息つけた。


 と、波紋の落ち着いてきた水面に何気なく顔を近づける。


「え!」


 そこに映された顔は見慣れた自分の顔のはずなのに、どうみても見違える色彩をしていた。

 両方の眼とも黒だったはずなのに右は金色で、左は薄い紫色。いくら水面で見えにくくても明らかに違っている。それに先のほうが白髪になったのはわかっていたが、頭皮からも混じり気のない真っ白になっている。

 一連のショックですべて白髪になってしまったのか・・。

 よくみると自分の顔も違う感じがする。


「こんなにまつげ長くなかったし、たれ眼でもなかったし、唇もふっくらしたような・・・」


 元の造りはそのままだが、かなり整形したような感じだ。

 もともと整った顔立ちだと言われたこともあったが地味な印象がつよいはずなのに、この顔立ちはどう考えても派手になっているし、かなり美女になっている。


「っていうより美少女?」


 どうみても10代にしかみえない顔立ち。それなりにしみが出てきてあせっていたのが嘘のように、しみやしわひとつないような肌になっている。

 顔だけではない。

 水面からでもありえないほど豊満な胸が見える。


「なんで?ここはどこなの?」


 水面を両手で叩き水しぶきをあげる。

 これ以上水面に移る自分の顔を見たくなかった。触れる水の冷たさが夢でなく現実だと物語っている。それでも信じたくない。

 と、そのとき。いきなり声が聞こえてきた。


「君はだれ?」


 それは滝の中から聞こえてきたのだ。

 修行僧が行水修行でもしていたのか???っと人だ。ようやく人に会えた。


「ぅれしいよぉ・・・人だぁ・・・」


 これでこの山奥から出れる。

 しかし、次の瞬間思いもよらないことが起こった。


「僕は質問しているんだけど?君はだれ?なんで僕の領域にいるの?」

「!」


 あまりにも近い声にびっくりして思わず息を飲み込む。

 そりゃあだれでも驚くだろう。目の前にいきなり人の顔があるのだ。手のひらひとつ分ぐらいしか距離はない。

 青年と少年の間ぐらいの男性の顔。

 透明がかった水色の長い髪を一くくりにしばっている。すこしたれ眼がちな眼は青色をしている。派手な色彩だ。

 かなり整っている顔立ちだが今はそんなことより、日本人ではないことに落胆を隠せない。


「えーと。すみません。ここがどこなのかもわからないのです・・・・。なんでここにいるのかも・・・」


 目の前の彼は興味深そうにこちらを上から下まで観察する。


「もしかして、生まれたところ?その気配はどうみても女神っぽいけど・・・・。でもそれならなんでそんなに汚れているんだ?」


 何一つわからないことを彼はぶつぶつ言っている。こちらに話しかけている感じはまったくない。


「とりあえず、レイヤのところに連れて行けばいっか?えっと、君ちょっとこっちおいで?」


んー。さっぱりわからないけど、とりあえずここから連れ出してもらえるみたいだ。餓死と獣の食料になることだけは免れたようだ。

 手を差し出されたので、それに自分の手を添えると一気に引っ張られて、身体ごと抱きかかえられることになる。


「え!」


 羞恥心を覚える前に周りの景色が一瞬にてぼやけて、気がつけばどこかの建物の中にいた。

 テレポートだ。ドラクエで言えばルーラだ。

やはりここは異次元なのか、異世界なのか・・・。


 いやだぁ・・・。寝たら日本っておちにして。


 疲れた身体のまま瞬間テレポートしたせいか、体力に限界がきてだんだん視界が暗くなってきた。よく考えたらここにきてからほとんど睡眠とってなかった。


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