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女神の憂鬱  作者: 灯星
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14.ルーラするには最初歩いていかなければいけません。

 なにもかも違う朝の風景。広々とした白い空間が今の私のへやだった。そして橘風香ではなく私はフウカだった。

 昨日ゼノンと夕食後、お風呂をなんとか一人で入るとノアとセレーナに言い切って、のんびり入らせてもらった。

 その後すぐに寝たのだが、朝起きたら日本と間違ってしまったようだ。


「やっぱ、すぐには切り替えられないよね・・・」


 特に目覚めは30年間積み上げてきた生活と混乱してしまう。


 もうすこし時間かかるよね。だってまだこっち来て1週間経ってないもん。


「「おはようございます、フウカ様」」


 本当にいいタイミングで侍女の二人がやってくる。昨日と同じでセレーナはワゴン、ノアは衣装を持ってきている。

 あれ?黒の服と白に金の入った服2つだ。


「フウカ様!今日は金の服きてくださりますよね!」


 ノアが身を乗り出して聞いてくる。負けじとセレーナまで、口をはさんできた。


「いえ!黒の服ですわ。とってもステキなんですよ、フウカ様」


 もうすでに贈られてきたんだ・・・。本当に早い。

 でもそんな選択肢貰っても・・・どっちもいっぺんに着られないから困る。


んー。


「えっと、どちらが先に贈られてきたの?先に贈られたものを今日着るわ」


 これしかないだろう。これなら言い訳として正当だ。


「やった!!レイヤ様からのほうが早かったですわ。だから今日はこれです」


 そう言って広げてもらって、正直見てから答えればよかったと思ってしまった。

 白くサテンの光沢を活かしたギャザー使いのロングドレスだ。おもいっきり身体のラインが出る形だ。さらに深めのスリットが入ってるために動くたびに足が見える。とても上品な金の花刺繍が胸からすそに向かって施されている。

 確かにすごくステキだけど、自分が着るには勇気が必要だ。かなりセクシードレスだからだ。

 贈ってもらった以上着なければ失礼だと言い聞かせながら着替える。


「本当にステキです~。フウカ様。レイヤ様が見たら絶対見蕩れますわ」

 ・・・・・・

 さすが不二子ちゃんスタイル。自分でもよく似合っていると思う。しかし唯でさえでかい胸がもっと強調された感じで恥ずかしい。つくづくこの幼い顔にこのスタイルってエロいって思い知らされる。

 化粧とかばっちりしたほうがいいのかな・・・。

 でもいらないほど肌もつやつやだしまつげもクリクリだし、唇もグロスを塗ったように輝いている。

 せめてスイカ胸は隠そう。


「コレに合うカーデガンかストールないかしら。ちょっとさすがに恥ずかしいから・・・」


 そういうとノアがたいそう残念そうにしながらも、何度もおねがいする私に負けてと大き目の金の糸で編まれたレース柄のストールをくれた。


「すてきな胸が隠れてしまってもったいないです~」


 いや、胸隠すためにするんです。これでなんとか人前にたてる。足は気にしないでおこう。隠しようないし・・・。できることはおしとやかに歩くことぐらいだ。

 今日も髪型は昨日とおなじく細い三つ編みが数本入ったサイドに一くくりの髪型にしてもらう。これもゆずれません。

 お食事もすこしもらってセレーナにエダを呼んでもらった。


 今日はたしかテレポートの勉強だったよね。昨日見当ちがいのとこ飛んだけど飛べたしすぐ出来たらいいなあ。


「おはよう!フウカ」


 しばらく待っていると部屋の空間がぐらっとゆがみ、次の瞬間水色の髪をした少年が立っていた。エダだ。

 昨日まで見れなかった気が今日ははっきりと見える。

 彼の周りに青色の気の繭のようなものが覆っている。

 これが昨日教わった気なんだ。


「今日は光の衣装なんだね。やっぱりセクシー系か。レイヤだからそうなると思ったよ」


 彼の好みか!


 まあこの身体ならなんでも似合うだろうけど・・・。前の身体だとぜったい着られない種類だ。


「とっても似合っているよ。あまり他の人には見せなくないほどね」


 そう言われて瞬時に赤くなってしまう。日本人は褒められるのが苦手です。


「あ、ありがとう・・・」


 エダはそんな私をたのしそうな目つきで見ていた。


「さて!昨日ゼノンにも言われたけど、今日は瞬間移動をマスターしようね。少なくとも僕の部屋だけは完璧にね」


 こうして今日の授業は始まった。


「あんまり歩きたくないけど、まずは飛ぶ部屋を普通に歩いて案内するよ。そのほうが覚えやすいだろうから」


 そう言うと部屋から出るために扉を開けてくれる。

 なるほど、ドラクエのルーラと一緒でまず歩いていってみないとだめってことなのね。

 エダが歩くのに私も後から続く。

 

 ひさびさに歩くかも。また囲まれたら怖いけど、散歩できるのはうれしいな。


 廊下はしっかりした作りの石壁で天井近くにたくさんの窓があるので、明るい光が差し込んでいる。ヨーロッパの昔のお城みたいだ。

 数分歩くも思ったとおり、数人とすれ違うたびに見られて話しかけられようとしたがエダがやんわりと断ってくれた。


 よかった~。本当にたよりになります!エダくん!


「まず、一番近いオリセントの部屋から行くね」


 あ、昨日の大柄な戦神さんか。ちょっと顔こわい感じだったけど、歓迎してくれてたし仲良くなれるよね。


 2つほど曲がったところにある大きな扉で止まる。ほんとうに近い。


「ここだよ。戦と癒しはつながりが必要なのでうらやましいことに部屋が近いんだよ」


 あ、そうか。だから歓迎してくれたんだ。戦いのときに傷ついたら癒しが必要だから・・・。


 なるほど、そういうことかな?


 とんとんっとノックするが返事がない。留守なんだろう。


「あー留守か。入らなくても大丈夫だからいっか。この場所を覚えておいてね。じゃあ次は僕の部屋ね」


 そういって数分歩くとまた立ち止まる。


「ここだよ」


 そう言って開けてくれる。2日前にみた青で統一された部屋だ。

 なるほど。ここなのね。


「じゃあ最後はレイヤとゼノンのところね。ちょっと遠いからがんばってね」


 はーい。日ごろの運動不足を解消します。


 そういって彼の後を追った。

 ドラクエなつかしいです。いくつかはしました。PS2までの分で終わりましたけど・・・。ハード持ってないのであきらめました。テレポートはきちんと言えばルーラではありませんが、フウカはそう感じたってことでルーラと呼んでいます。


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