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女神の憂鬱  作者: 灯星
13/86

13.怖いです、兄さん。

「なるほど。それでオリセントと先に会ったのですね」


 あれからエダに送ってもらって、すぐに夕食が始まる。ゼノンはちょうどのタイミングで部屋へ飛んできた。おそらくセレーナが呼んだのだろう。

 そして楽しい夕食タイム。話題としてさっき会った戦神のことを聞くと、逆になぜ彼を知っているのかと詰問されて正直に話すはめになる。

 だって目の前の兄さん、笑顔で怖いんだもん。真っ黒いオーラが漂ってますよ。


「しかし、感心しませんね。やり方もしらないで瞬間移動を試すなんて」


 ゼノンは説教しながら眉をわずかに吊り上げている。はい。目の前の最古神さんが怖いです。さすが、闇の神。

 まあ、たしかにあの落下は怖かった。オリセントが助けてくれなかったら絶対怪我してただろう。


「わかってないですね。会ったのが紹介する予定だったオリセントだったからよかったものの、いくら神の世界でも気のいい奴ばかりとは限らないのですよ。エダから聞いたと思いますが女神が少ない分、会った途端に君を閉じ込めて自分のものにしようと実力行使する奴が出てきてもおかしくないのですよ」


 え・・・・そっちの心配?たしかにそれはこわい!

 そんなにみんな飢えているの?夜道は一人で歩けないな・・・。


「わかって頂けました?」


 そう声だけやさしく訊ねてくるのに言葉にもできずにただ肯定の意味で頭を上下に振る。


「それはよかった。もし、理解してくれなかったら実践で私がフウカを閉じ込めて自分のものにしてしまおうと思っていましたから。すこし残念ですけど・・・」


 ひえーーー。怖いです。

 あなたが一番怖い。

 私の怯えるような表情を堪能して、クスクス笑い出す。


 冗談か。よかった!


 これでゼノンも機嫌直ったのか、黒いもやのかかったような笑顔から普通の笑顔に戻る。


「明日、さっそく瞬間移動の練習をしましょう。4人の部屋だけは確実にいけるようにすればこんなこと起きないでしょうから」

「え?4人?そういえばオリセントさん紹介していただける予定だったって・・・」


 レイヤももう一人だけ紹介すると言ってたっけ?それがオリセントだったんだ。


「そうです。彼はだれよりも癒しの神を待ち望んでいたので、さすがに会わせないわけにいかないのですよ」


 さっき会った彼も待っていたと言ってくれたっけ?そのあたりは本人に聞いたほうがいいのかな?


「分かりました。じゃあ明日お願いします」

「ああ、すみません。残念ですけど明日は私でなくエダが来る予定なので伝えときますね」


 順番があるんだ。そりゃあそうか。業務あるのに時間を私に割いて先生をしてくれているのだから。


「ありがとうございます。仕事があるのに手を煩わせちゃってごめんなさい。早くある程度のことできるようなりたいのですけど・・・」


 そういうと彼の笑みがより一層深いものになる。


「私としては一人で手取り足取り教えたいものですね。仕事は別に支障ありませんよ」


 ここまで言ってからすこし沈黙し、ふたたび口を開く。


「それより。なぜ、レイヤには親しい口調で私にはいつまでも敬語なのですか?」


 え?ゼノンまでそう言うの?


「でも、ゼノンも敬語ですよね?だから同じ言葉がいいと思いますけど・・・」


 敬語を使われるとつられるのだ。と言い訳する。しかし通用しなかった。


「私は誰に対してもそうなのでいいのです。でも貴女は違う。わたしだけ敬語だと一線おかれたように感じてしまうのです。普通に話してもらってる二人に妬けます」


 妬くって・・・。

 おそらく社交辞令だろうけどそう言われるとこっちが照れてしまう。


「わかり・・・わかったわ。普通にしゃべる。これでいい?」


 がんばって敬語をはずす。急に外すのはちょっと違和感がでてしまうのは仕方ないだろう。


「私のわがままを受け入れてくれてありがとうございます」


 本当にうれしそうに笑いかけられて、今度はべつの意味で固まってしまった。本当にゼノンの笑顔って破壊的だわ。自分の年齢と一緒でこれにも慣れる時がくるのかしら・・・。

 ゼノンはその後、私が食べている姿をみながらグラスに口付けていた。本当においしそうにお酒を飲む。レイヤと同じでタタンと言う酒だ。一口飲ませてもらったけどだいぶきつい。私には無理だ。諦めて私は軽くて甘い果実酒を頂いた。

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