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女神の憂鬱  作者: 灯星
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12.4人目の神

 サブサブタイトル・・・ぬれぬれフウカ

 思っていたより疲れていたのか、ベッドに少し横になろうとしただけなのに気が付いたら寝てしまっていた。

 ご飯前にエダにお礼を言わないといけなかったのに・・・。

 起き上がって部屋を出ようとして、ふと気が付く。

 そういえば、部屋どこか知らない・・・。

 結局瞬間移動で連れていかれたし、勝手に出てこの大きな神殿を迷わない自信がないっていうより迷う自信がある。


「・・・・どうしよう。まだテレポートのやり方しらないし。ノアかセレーナに聞くのが一番かな・・」


 でも彼女たちはそばにいないしわざわざ呼ぶのもどうかと思う。

 一回やってみるか。

 眼を閉じて青色の少年を頭に浮かべて集中する。

 エダくんのところに行きたいー。行きたいー。

 そう考えた瞬間、ふわっと身体が浮く。


 やった!できた!


 しかし、次の瞬間一気に身体が下降する。いや、下降と言うより落下だ。


「きゃぁぁぁぁぁー」


 落ちる!落ちちゃうよー。


 ばしゃん!!


 水しぶきが顔にかかる。水の中に落ちちゃったよ。でも、派手に落ちたのに痛くない。下が柔らかく暖かいからだ。


 ん?暖かい?

 さすりさすり。


「すまないが、俺の上から退いてもらえないだろうか」


 触りまくっていた下のクッションは人だった。びっくりしてそこから飛びのく。水の中から男性が現れた。


「あ・・・オッドアイ」


 彼の瞳は深紅と青の色違いだった。髪は黒で短く刈り上げられている。レイヤたちも均整のとれた身体つきだったが、こちらはその一回りも大きくなったような大柄の男性だ。大柄というのは言いすぎかもしれないが、服の上から見ても硬い筋肉に覆われた身体つきなのは分かる。顔つきは少し強面だが十分整っているだろう。どこか軍人を思わせる風貌だ。外見年齢的にはレイヤやゼノンの数年年上という感じだ。実際は違うだろうけど。


「ふ。おかしなことを言う。自分もそうであろうに」


 言われて自分の容姿を思い出す。そういえばそうだった。


「とりあえず、この噴水から出よう。いきなり落ちてきたからびっくりしたぞ」


 よく見るとそこは大きな噴水だった。そのまわりは公園のように整備された木や花が並んでいる。

 この人が飛び込んで下敷きになってくれたのかな?


「危ないところ助けてくださってありがとうございます」


 神だから死なないかもしれないけど、怪我は免れなかっただろう。と、よく見ると彼の左の腕にかすり傷ができている。

 うわあ。もしかしてあわてて飛び込んでくれたときにできたのだろうか。申し訳ないなあ。

 自分でも無意識にその腕に触れる。なでた瞬間、傷が跡形もなく消える。


「例の評判になっている癒しの女神か」


 男性はこちらを凝視しながら言う。顔つきが先ほどまでより真剣そのものになっていた。

 できちゃったよ。なにも意識してないのに傷治してしまいました。


「俺はオリセント。戦を司っている。癒しの神の光臨を何よりも待ち望んでいた。歓迎するよ」


 噴水の中から出て、私にも手を伸ばしてくれながらそう言う。

 ありがとうと言いながらその手に自分の手を添える。歓迎してくれているのはうれしいことだ。実際彼の目つきはひどく優しげである。


「すみません、名乗り遅れました。フウカといいます」

「フウカ!」


 そのとき、いきなり私を呼ぶ声が降ってきたと同時にその姿を現す。青い髪が空を舞う。


「エダ」


 かなり切羽詰った表情をしていたが、私の姿を見つけてほっと表情がぬるむ。


「いきなり、瞬間移動しようとしてはだめだと言ったのに・・・」


 そう言えばそう言われていた。


「ごめんなさい。エダを探そうとしてて・・・」


 私が謝ろうとしてる最中に、となりで遮るようにオリセントが肩を揺らしながら笑いながらエダに言う。


「なかなか珍しいものを見た。エダがそんな慌てる顔初めてみたよ」


 その声に初めて私の隣の人を見てわずかに顔を歪ませる。


「オリセント。なぜ君がフウカといるんだい?」

「彼女が空から降ってきたのを助けたんだよ。だからほら、二人ともぬれているだろ。せっかくだから乾かしてくれ」


 私たちがびしょびしょに濡れているのを見て納得したのだろう。ため息を一回吐き、手を大きくかざす。服がふわっと浮いたかと思うと、今まで水浸しだったはずの服から水気がなくなった。同時に髪の毛からも水気が飛ぶ。

 エダがいれば乾燥機いらずだ・・・。


「では、フウカ。今度じっくり話ししよう。今日は水も滴る状態を見れて役得だったよ」


 軽く手をかざし笑いながらオリセントがその場から立ち去っていった。言われた意味を噛み砕いてはっとする。

 今気がついたけど、水で濡れてて服が透けた上にぴったり身体に張り付いていたから、ひどくやらしい姿になっていたのでは?今は乾燥してくれているから大丈夫だけど・・・。


 は、はずかしい!


 今度会ったら絶対平常心で会話できないよ。

 顔を紅くしながらあれこれ考えていると、エダが大きなため息をはく。


「フウカ。これから用事があれば誰かに伝言頼むか心で呼んでくれたら、すぐに行くからそうしてくれない?またこんなことあったら僕の心臓が止まってしまうよ」


 呆れた口調でエダが言う。神って心臓止まるのだろうかと思うが、とりあえず反省が先だろう。


「ごめんなさい」


 はい、しばらくはテレポートしません。また空を飛んだらこわいです。


「いいよ。僕を探してくれてたのはうれしいから。それより、その服装着てくれたんだね。精霊たちが喜んでいたからはやく見たいって思ってたんだ」


 そう言われてそもそもの目的を思い出す。そうだ。お礼を言わないと。


「すてきな服ありがとう。来たばかりだし服がないのでとっても助かったよ」


 うれしそうに私の姿をもう一度見ながらうんうんっとうなずいている。


「どういたしまして。やはり思ったとおりよく似合うね。気に入ってくれた?」


 正直に感想を言う。


「もちろん。私さすがにフリル多い服には抵抗あるんで、こういう形の服は大好き。すそも長いのも気に入っているよ。いいセンスしてるね、エダ」

「それはどうも。レイヤとゼノンに嫌味言われたよ。2人も贈るって言ってたから今頃クローゼットの中が大変なことになっているね」


 え?一着でないの?


「さあ?それはわからないけど、ずいぶん悔しそうにしていたから、数着おくるのだと踏んでいるけどね。まわりの精霊たちがだまってないだろうし」


 そういえばセレーナもノアもずいぶん喜んでいた。


「僕もちょくちょく贈るから着てね。水の精霊たちのためにもよろしく」


 そう言われてしまうと今朝と一緒で断れなくなる。まあ好意は素直に受け取っておこう。好意を返せるときがくれば返せばいいのだから。いつできるかまったく見当もつかないけど。


「そろそろ夕焼けも沈んできたころだし、部屋に戻ったほうがいいね。乾燥したとはいえ、身体は冷えているだろうし」


 手を差し出されたので、素直に手を添える。次の瞬間また周りが一転した。

 とうとう四人目です。

 戦神はこの世界の神の中で一番、癒しの神を求めていました。だからレイヤも彼だけはフウカに紹介するつもりでいたのです。紹介する前に逢ってしまいましたけど。

 服や外見の説明はむずかしい。


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