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2026年4月1日から自転車の道路交通法が変更されたよ!  作者: 星狼


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不信の視線

「えっとね?この問題の本質は、駐停車禁止の区間が何メートルか……つまり、5m区間をちゃんと認識できてるかどうかの問題なんだよ」


斎藤は穏やかな声で説明を続けようとした。


しかし、香川夏美は止まらなかった。


「それだったら『駐停車禁止の距離は何メートルですか?』って問題にしたらよくないですか?」


香川の声は少し震えていた。

周りの生徒達が不安そうな目で彼女を見つめている。


斎藤は少し戸惑った表情になった。

「それは……問題を作ったのは僕じゃないからさぁ……」


確かに、子供の言うこともわかる。

だが、教習所ではこういう問題が普通にある。細かい引っ掛けで「本質」を確かめるのが目的だ。


香川はさらに声を大きくした。


「私は『交差点の手前3m以内に停車するのが禁止か?』って聞かれたから、禁止ですって答えたんですよ!そんな場所に止めたら、曲がるときの邪魔になって危ないじゃないですか!」


彼女はもう一度、机を叩いた。


斎藤は慌てて言う。


「そう、そう!香川さんの言う通りだよ。交差点付近に駐停車が禁止されている理由は、まさに巻き込み事故を防ぐためなんだ。この前の授業で習ったよね?曲がる車に巻き込まれると危ないから……」


その言葉が、逆に香川の逆鱗に触れた。


「話を逸らさないでください!それがなんで『3m以内に止めるのが禁止』って答えが✕になるんですか!?」


香川は斎藤を強く睨みつけた。

目には本気の苛立ちが浮かんでいる。


「いや、だから……この問題の本質は、駐停車禁止の正確な距離を……」


「だから、それなら距離を直接聞けばいいじゃないですか!」


香川が再び机を叩こうとしたそのとき、隣の席の白木由美がそっと彼女の腕に手を置いた。


「夏美ちゃん、落ち着こうよ……私もこの問題、おかしいと思う……夏美ちゃんは間違ってないよ……」


白木の小さな声が、教室に響いた。

香川は唇を噛み、渋々ながら椅子に腰を下ろした。

しかし、頬はまだ膨らんだままで、目は明らかに納得していない。


(た、助かった……)


斎藤は胸の内で小さく安堵の息を吐いた。


だが、次の瞬間、彼は気づいた。


教室中の生徒たちの視線が、自分に集中している。

前の方も、後ろの方も。

その瞳には、はっきりとした不信感と苛立ちが宿っていた。


誰もが口を閉ざし、ただじっと斎藤を見つめている。


空気が、重く淀んでいた。


まだ、誰も動いてはいない。

しかし、教室全体が火薬庫のように張りつめていることだけは、はっきりわかった。

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