表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

6.くらげとうみ

 くらげになりたかった。

 家につながっている風鈴ではなく、自由に海を泳げるくらげに……。


 海の家に行くと、風鈴が地面に落ちて割れていた。なつきはまだ来ていないようだった。

 あの風鈴は私だ。

 家に縛られていたから、大雨でも逃げることが出来ず、割れてしまった。

「そこ危ないからどいて」

 店員さんが箒をもって声をかけてきた。ゴミとなった風鈴を片付けるのだろう。私は海の家に背中を向けた。


 足が重いから歩くのは好きじゃない。とくに砂浜はとても歩きにくい。足を動かすと痛むから、引きずるように歩くしかない。

 なつきに会う前に海に入りたかった。なつきはまだ私の足が不自由なことを知らないと思う。なつきがこの醜い足を見たら海にいれてもらえないかもしれない。そしたら逃げられない。それは嫌だった。

 海に入ればこの足も軽くなる。そしたら、泳いで遠くに逃げることができる。どこに行くかは分からないけど、どこかここではない場所に行けたら十分だった。


 足を滑らせたのは一瞬だった。

 地面の感覚がなくなり、足がふわりと水中に浮いた。

 身体が軽くなれば、簡単に何処にでも行けると思っていた。でも違った。波に流されて行きたい場所に行けない。

 怖かった。

(助けて)

 薄れる視界の中で私はなつきらしい少女が浮き輪を持って海に飛び込むのを見た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ