第八話《一殺完了、ガチャチケ回収せよ》
アマ研の日本刀が、鋭くそのまんま西の動きを断ち切る。
切っ先がかすめるたび、火花のような緊張が走る。
「次ッ!」
続くのは、なぎ店長の連続酔拳。
重心の読めないステップと予測不能な拳が、確実にダメージを重ねていく。
酒気を帯びたその拳は、もはや舞いの域。
一撃ごとに、そのまんま西の動きが鈍っていく。
「スキル使えないの、ほんと不便なんだょだょ……」
moorは戦場の片隅で、石ころを拾っては全力投球。
拳大の石が、そのまんま西の顔面にクリーンヒットするたび、乾いた音が響いた。
moorの近くでは、アマ研の召喚獣フェンリルが鋭く睨みを利かせ、彼女を守る。
牙を剥き出しにしながら、敵の反撃に備えていた。
そのまんま西は防戦一方。
スキルは封じられ、体力も限界に近い。
そんな中空から
降ってきたのは、
ハート型の回復アイテムと、
星型の強化バフ。
「触らせるな! あれはmoorが拾う!」
アマ研が叫び、なぎ店長と共に前に出る。
二人の攻撃が連携し、星とハートへの接近を許さない。
moorは素早く走り、アイテムを次々と回収する。
「はい、強化アイテム、いただきだょだょ〜〜♪」
最後の一撃。
なぎ店長の拳が西の顎をとらえ、アマ研の斬撃が胴をかすめる。
そのまんま西、沈黙。
バタリと音を立てて、彼の体が倒れた。
周囲には、ガチャチケットとキラキラ光るコインが散らばる。
三人はそれを手際よく拾い集め、分配していく。
「リスナー12人もゲット……今日は当たり日かもな」
「デイリーミッション、《コラボで一殺》……完了だょ」
その瞬間だった。
少し離れた廃ビルの向こうから
澄んだバイオリンの音色が静かに流れ始めた。
三人は顔を見合わせる。
「……まだ終わりじゃなさそうだな」
次の戦いの予感が、音の余韻とともに忍び寄っていた。