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第六十八話 《サキュバスROOM構築開始♡夜の装飾、昼のカオス》

 アヴェル・オレアリィは、アマ研小隊の支援を受けて、昼間作ったROOMの模様替えに着手した。


 場所はアマ研ワールドの月影エリア薄闇に包まれ、昼と夜の境界が曖昧なゾーンだ。

 その微睡むような空間が、サキュバスの雰囲気にぴたりと噛み合った。


「まずは照明デビ♡ 光源は直接じゃなくて、布越しがいいデビ。あと、壁はピンクじゃなくて薔薇色、甘すぎない方が映えるデビ」


 部屋の構築にも、彼女はバズり視点を余すことなく注ぎ込んでいた。

 素材選びから照明配置、背景演出まで、すべてが「見せ場」になるよう練り込まれていく。


 アマ研はその手際の良さに思わず感心する。


「……このサキュバス、現場経験が段違いだな。全体の空間設計が配信としての映えに最適化されてる」


 ストロベリーホイップシンドロームは、自分のROOMと見比べながらぶつぶつと呟く。


「くっ……ベリー……あたしの部屋、可愛いけど実用性で負けてるベリー……!

 あの影の使い方、保存して参考にするベリー……悔しいけど、認めざるを得ないベリー……!」


 その横で、くまーるが机の上に座り、両手を組んで頷いた。


「……あれはプロフェッショナルクマ。

 背景と衣装のコントラスト、エフェクトのタイミング……全部考え尽くされてるクマ。

 夜の配信者ってより、夜の演出家クマ……!」


 琴吹神楽は静かにその部屋を眺めていた。


「ふふ……艶の中に品を宿すとは、なかなかに手練でござんすな。

 そこいらの花魁も裸足で逃げ出す色気、まこと見応えありんす」


 寿香久夜もまた微笑みながら頷く。


「これ、夜は静謐で妖艶、昼になればカオスへと変わる造り……

 あやかしと人の狭間で生きるには、よう似合う演出にござりましょう」


 アマ研小隊の支援により、必要な家具、エフェクト素材、そしてギミック用アイテムが次々と供給される。

 ROOM構築中もアヴェルは配信を続けており、建設風景ですら視聴者を虜にしていた。


「皆ぁ、見えてるデビ? この空間が完成したら、毎晩夢見せてあげるデビ♡

 さあ、一緒に作ってる気分になっていくデビ……!」


 コメント欄には「職人芸!」「これが配信界の最前線か…」「建築すらエロいのどうして」といった絶賛の声が並び、ギフトの雨が降る。


「確かに今は魅力で負けてるベリー。でも学ぶベリー!

 演出力、話し方、間、すべて吸収して……次は取り返すベリー!」


 そんなストホイに、アマ研がひと言だけ言った。


「吸収と適応が一番の近道だ。焦らずにいけ」


 その言葉にストホイはぐっと頷き、決意を新たにする。


 一方、アヴェルは部屋の中央に配置するステージの設計図を広げながら、ふと呟いた。


「メンテ明けの戦場?……まあ、戦う理由が出来たデビ。

 だって、守りたい居場所が出来たデビから」


 夜の帳がゆっくりと降りていく

 サキュバスROOMの完成は、間もなく。

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