第四十四話 《死者の宴、レーザー寿司乱舞!》カレピッピ全開放、超連携リンクで放たれる光の握り
アマ研が静かに手を挙げる。それだけで、チームの意思は通じた。
「……全展開、行くぞ」
次の瞬間、4人全員が
《カレピッピ召喚・激推しモード》
を発動。
愛琉-meru-のアイコンが中心核となり、光のエフェクトが弾けた。
召喚。
現れたのは、それぞれの過去の戦いで倒した戦力級配信者たちの影。魂は抜かれているが、肉体とスキルはそのまま。カレピッピとして、12体が地上に現れる。
「はいはーい♡ 集合写真みたく並んで並んでー!」
愛琉の号令で、彼らは規則的に整列し、同時に構えを取る。さらに、寿香久夜の背後で漆黒の煙がゆらめき、彼女の眷属4体が立ち上がる。
全員、無言。だが、それでいい。意思疎通は不要。
リンクが通じている。
アマ研の脳内に、無数の思考ノードが交差する。彼の視線が動いた瞬間、すぅしぃが包丁を構え、愛琉が寿司ネタを天に掲げ、香久夜が詠唱の気をまとい始めた。
「全寿司攻撃展開 始動」
アマ研の指先が天を指す。
20人の手が、一斉に寿司を握り始めた。
超高速。超精密。まるで生産ラインのように流れる寿司。しかし、これは料理ではない。投擲兵器である。
「よっしゃあぁぁぁ! 今日のネタは魂まで届くぞぉお!!」
すぅしぃの叫びと同時に
寿司が空を飛ぶ。
高速の軌道で、空間を裂くように放たれる寿司たち。シャリが震え、ネタが煌めき、巻き寿司がスピンしながら、まるでレーザーのように放射状に拡散する。
ターゲットは、真祖アラクネの巣。
ビーム状に放たれた寿司が、次々に巣の表面を焼き払い、貫き、爆発を引き起こす。
ドォォォンッ!!
巨大な蜘蛛の巣が、断末魔のような呻きを上げて爆散した。燃えた糸。千切れた繊維。内部構造が崩れ、拘束されていた人間たちの死体が無惨に落ちていく。
……助けるには遅すぎた。
香久夜は、静かに目を閉じる。そして短く言葉を打ち込んだ。
「ごめんなさい、間に合わなかった。でも、アラクネは
私たちが討伐します。よければリスナーになってください。二度と後悔はさせません。」
アマ研が肩を叩いた。
「……送ったか」
「ええ、推してくれるかは不明ですが、礼儀ですので」
一呼吸。
そして、再び戦術転換。
「眷属4、カレピッピ12、編成を変えろ。イカ握りモードに移行だ」
「イカかい? ほう、今日は変化球かい」とすぅしぃがニヤリ。
「かわいいイカ♡ 飛ばしてやる〜〜♡」と愛琉。
即座に変化が起きる。
20体の補助戦力が、それぞれの手に握った寿司をイカに切り替える。見た目は小さな握り寿司。だが、飛ばされた瞬間
キュイイイイイン……!
イカがホーミングする。
投げた寿司が、勝手に軌道を変えて敵を追尾するという狂気の仕様。威力は低い。だが当たり続ける。防御不能。被弾の蓄積によるスタッガー(怯み)発生。つまり、次の一撃が当たりやすくなる。
「寿司ってのはな、当たってナンボなんだよ!」
すぅしぃの言葉と共に、イカ握りの嵐がアラクネの生息域に襲いかかっていた