第三十五話《試練の幕開け、闘志の火花》
仮拠点の静寂は一瞬にして破られた。画面に鳴り響く電子音が、拠点内に緊張の空気を瞬時に充満させる。運営からの特別ミッション配信通知が表示されたのだ。冷たく、しかし確かな文字列が視界に浮かび上がる。
模擬戦闘フェーズ開始
参加者は己の力を存分に証明せよ。勝者には限定報酬と次ステージへの切符が授与される。
その一文は、まるで挑発のように彼らを挑んだ。アマ研は無言で画面の文字を凝視し、仲間たちの反応を察した。すぅしぃの目は鋭く光り、愛琉‑meru‑の唇には戦いを心待ちにする笑みが浮かぶ。寿香久夜は静かに眷属たちを集め、その表情からは迷いの欠片も感じられなかった。みな、同じ覚悟を胸に秘めている。
「これはただのイベントじゃねぇ。これが、本当の戦いの幕開けだ」アマ研の声は低く、重く響いた。
彼らは武器を握りしめ、スキルを準備しながら拠点を後にした。戦場はすでに別の挑戦者たちの気配で満ちていた。そこに集う者たちは、ただのプレイヤーではない。己の実力を磨き、勝利の栄光を手に入れようとする強者たちだ。
「全力でぶつかるしかねぇ。負けは許されない」すぅしぃが力強く包丁を握りしめ、火花を散らすように叫ぶ。
「やったるわよ。今回こそは絶対に輝くんだから!」愛琉‑meru‑の目がキラキラと輝き、拳を高く掲げた。
寿香久夜は静かに微笑みながらも、その瞳は鋭く戦況を見据えていた。彼女の眷属たちも、まるで彼女の心を映すかのように結界を形成し、攻撃の準備を整えている。
彼らは互いの力を信じ合い、チームとしての結束を新たにした。連携は日々磨かれ、戦術は練り直されている。だが、それでも試練は容赦なく襲いかかる。次々と現れる敵は彼らの隙を狙い、巧みに攻撃を仕掛けてくる。
その中でアマ研は冷静に状況を分析し、仲間たちに指示を飛ばした。視界に映る敵の動きを瞬時に読み取り、戦局を有利に進めるための最善策を模索する。
「俺たちの力、ここで見せつけてやる。誰にも負けるわけにはいかねぇ」
その言葉に応えるように、仲間たちが頷き合う。すぅしぃの包丁が閃き、愛琉‑meru‑のバフが仲間の能力を引き上げる。
互いの信頼は深まり、絆は強固なものとなっていく。彼らの動きはまるで一つの生命体のようだ。
だが、戦いはまだ序章に過ぎない。これから待ち受ける試練が、彼らをさらに強く、さらに賢く変えていく。
アマ研の瞳に灯る炎は消えず、むしろ激しさを増していた。
「GMから直接のイベントだ。絶対に負けられねぇ。俺たちは、このサーバーの頂点に立つ」
その決意を胸に、彼らは新たな戦いの舞台へと歩みを進めた。激闘の物語は、今まさに熱く動き出そうとしている。