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第三十話《共有災厄戦術壱型改・五色、完全起動》

 高台に設えられた仮拠点で、三人は静かに重く息を吸い込んだ。アマ研、すぅしぃ、神楽 愛琉‑meru‑がガチャチケット十連に指をかける。その先に潜む未知と覚悟を、それぞれの瞳が語っていた。


 すぅしぃが最初に動く。江戸前の魂を宿す女剣士、その刃を握る手は一切の迷いがない。

 刃の軌道予測、

 強化斬撃、

 自動回避、

 MP自然再生、

 毒付与、

 視覚強化、

 速度上昇、

 スタミナ供給、

 敵装備解析、

 装備への特攻付加。

 すべてが「江戸前特化壱型」に統合され、彼女は寿司を握るがごとく、戦場の気配と切っ先を操る。


 寿司も敵も、斬る所作は同じだと笑み交じりに呟き、その鋭さが周囲の空気すら震わせていた。


 続いて愛琉‑meru‑が十連を引く。彼女はまるでパーティの主役になったように、画面をキラキラに彩る。

 バフ付き爆裂スキル、

 魅了エフェクト、

 強制注目ギャルパッション、

 ボイスバフ、

 演出補助、

 応援特化、

 幻惑ダンス、

 属性ブースト、

 装備デコレーション、

 観客リアクション上昇。

 まさしく「ギャルビジュイ〜ネ術式壱型」が完成する瞬間だった。


 エモさ満点スキルに包まれる彼女の顔は、得意気に輝いている。


 最後にアマ研。その小さな十枚のチケットが光と情報に満ち、彼の脳へと新たな戦略回線を刻んだ。戦場予測を超え、戦術共有の扉が開く。

 仲間のスキルを自由にリンクし発動できる共有支援構造、

 コマンドモードでの意思同期、

 神楽からの加護を通じた全スキル借用機能「侘び寂び」、

 視覚系能力を極限まで底上げする「目力」、

 チーム全体に継続バフを付与する「リーダーシップ」、

 散らばるギフトや装備をHPやMPに変換する「ダイソン」、

 スキル再使用を即可能にする「タイムリー」、

 視線を一手に集める「カリスマ」、

 幸運率を常時向上させる「グッドラック」、

 思考しながら行動するとスキル効果が最大二倍になる「我思う故に我有り」。


 アマ研はすべての力を統合しながら黙って呟く。アマ研の型、共有戦術壱型は今まさに完成しようとしていた。さらに染色チケット五枚を投じ、五色の属性を帯びたスキル構造へと昇華させる。赤は攻撃、青は防御、緑は支援、白は感知、紫は借用。各色が重なり、新たな全能力構造を形作る。


 その瞬間、彼の身体は光に包まれ、共有戦術壱型は完全に“共有災厄戦術壱型五色”となった。


 スキル侘び寂び

 琴吹神楽の眷属召喚で琴吹神楽の並列存在サブアカウントを召喚する。


 寿香久夜 

 更にスキル最適化された奇跡で

 眷属召喚の中に懐かしい存在を発見する。 

 フェンリル再召喚

 寿香久夜と相互フォローを全員で交わして戦力増加を喜ぶ。


 アマ研は右手に鮪を召喚し、

 口に入れながら確信する。


「今日からは他人のスキルを

 羨むことなどない。」


 その言葉を吐くと、アマ研は笑いを含んだ眼差しで仲間を見返した。今この瞬間から四人は完全な戦術ユニットだ。すぅしぃの斬撃範囲も、

 愛琉‑meru‑の演出バフも、

 神楽と重複する香久夜のスキルもす べてシンクロし、フェンリルまで動くかのように息を合わせる。


 戦場は変わる。リスナーは注目し、ギフトは雨のように降り注ぐ。初期配信者たちは今、震えている。その視線の先にいるのは、五色に光る新たな王者だ。


 次なる戦いが待ち遠しい。4人➕一匹の戦術は、すでに舞台を踏み出していた。

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