第二十四話《終焉連舞:必殺の咆哮、天を穿て》
夜空を切り裂く咆哮とともに、狂宴は終焉連舞へ移行する。戦士たちは死傷を恐れず、持てる全てを神楽へ叩き込んだ。
まず、かげろうの影がまたも神楽へ接近。今度は二本の暗黒杭が同時に神楽の両足を貫き、地をも抉る音すら立てぬ鋭い封縛が炸裂する。神楽が僅かに踵を打ち、一瞬よろめいた瞬間。
雨千羽の風牙火輪が、連星の如き軌跡で襲いかかる。瓦礫が弾け飛び、遠くの壁に轟音と共にヒビが走る。神楽の胸元まで焼け焦げ、衣が激しく剥がれ落ちた。だが彼女は、なお微笑む。
同時、多彩な攻撃が乱れ飛ぶ。
エルエルエルが紅焔・蒼焔を交互に噴出し、炎と風の剣のように神楽の両脇を猛進。空間を引き裂きつつ、肉体の強靭さを試す咆哮と魔力が同期する
その音はまるで大地が叫ぶよう。
ラギアルは吸血の牙を突き立てながら、背後に暗影を纏って背筋へ瞬間的な深手を入れ、呪縛の魔力で肉体の節々を硬直させた。神楽が低く唸るも、なお踏みとどまる。
アイリチャンが輝く瞳を開き、両手武器を構える。十の弾丸が嵐のように飛び交い、建物の柱を粉砕し、神楽の右腕に弾痕を刻む。爆風が吹き荒れ、眷属が盾と化しながら次々に吹き飛ばされていった
神楽を庇った眷属達が爆煙の中で倒れた。視界が赤く染まり、その頬に涙することはない。
イーサン・ハンドは影の狭間から二連狙撃。音もなく、光もなく。第一弾は頸筋を撫で、第二弾は側頭部に一致。神楽が一瞬硬直するが、冷たい笑みを残して何事もなかったかのように踏みとどまった。
刹那が加速して神楽の背後に襲いかかり、刃が衣を裂き肉を抉る。連続の乱舞斬り。しかし神楽はその度に体勢を崩しながらも中心を維持している。
次々と術式、拳撃、魔弾がぶつかる。
Beyondのストラディバリウスからはオペラ歌唱+熱狂的なソロ旋律が流れ、その波動が地面を震わせ、聴いている味方全員に攻撃精度とリフレクトを強化する魔力効果を付与。神楽には直接のダメージとして、不協和音が内臓を引き裂くかの圧迫感を与えた。
春野はなが狼咆哮とともに駆け、鋭い爪を振るって左脇腹を寸断。満月の光を背に受けたその爪は、衣装を切り裂き、血の筋を描いた。
トガ梵天が九尾化し、狐火の嵐を巻き起こす。火狐の尾が螺旋を描き、神楽の身体を包む。熱燗にも匹敵する焼きを内側から伝え、その痛覚が表情をわずかに歪めた。
圧巻の最後は、チルバニア令嬢が銀杖を掲げる詠唱。そして神器
王権印術が連動発動。金の光輪が天井高く舞い、神楽を取り巻く領域そのものを切り取るように圧縮し、頭上から光柱を噴射。
その瞬間、全員の攻撃が合流し
終焉の連撃
影術・忍術・呪術・魔術・火力・銃火・音楽・獣力・神降ろしが同時多発的に、乱れ打ちとなって神楽へと叩き込まれた。
瓦礫が吹き飛ぶ。地が裂ける。叫び、咆哮、魂の爆発が混ざり合い千の刃と閃光が神楽の身体に追い打ちされた。
神楽は宙を舞い、巨大な爆風の中心で、なお冷笑を浮かべた。だがその瞳の奥には、初めて“敗北の影”が宿っていた。
そして、戦士たちは今、硝煙と呪気の中で息を殺し、静かに見つめていた。
これが、我らの終焉連舞。