表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/89

第十七話《【緊急イベント発令】イレギュラー・琴吹神楽、降臨》

 システムアラート発動。

 仮設拠点の警告灯が突如、赤く点滅した。

 《緊急イベント発令》

 イレギュラー

 琴吹神楽がリアリティズムに侵入しました。 全配信者は即時、討伐を開始してください。強制イベントです。回避不可。

「……なんだと……?」

 アマ研は飛び起き、すぐさま刀を手に取った。なぎ店長は酒瓶を抱えたまま寝ていたが、目を覚ますと無言で一口煽る。すぅしぃは寝巻きのままシャリとネタを握りはじめ、moorは枕の上で半泣きだったが、

「だょだょ……何が起きてんの……」とつぶやきながら端末をチェックした。

 直後チルバニアファミリーからのダイレクトメッセージがアマ研の視界に浮かぶ。


 Fromチルバニアファミリー

「このイベントには絶対に参加してはなりませんわ。討伐対象、琴吹神楽

 あの存在はイレギュラー、

 恐らくですが運営も制御できておりませんの。我がファミリーの構成員の半数以上が殺されました。

 特に、配信者が集まる拠点を重点的に狙っているようです。その拠点を勧めておいて申し訳ないのですが……今すぐ脱出を。急ぎなさい。」


「チルバニアが……壊滅寸前だと?」

 その言葉が意味するのはただ一つ。これは、ただの“イベント”ではない。

 殺戮のシナリオ。世界の浄化すら目的とする、“真なる異物”の侵入。

 即座に仲間たちへ情報を共有。装備を整え、扉を開けて外へ飛び出すその刹那だった。

 ズドォォォン!!!!

 拠点を囲んでいた外壁が、音もなく爆発四散した。爆風が押し寄せる中、アマ研は目を細めてスキルを発動する。

「《鑑定》!」


 名前:琴吹神楽ステータス&スキル:解析不能属性:大妖怪/イレギュラー補足:封印より解き放たれし古代妖。

 眷属一覧・おれんじ 悪魔

 ・べるべるんこ 悪霊

 ・東雷門 黒夜 死神

 ・西清翠 薫昼 リッチ

 ※その他データ

 文字化けにつき判読不能


「……ッ!」

 立っていたのは美しい少女の姿。

 細身の着物に、空間を纏うような妖気。だがその瞳は、世界を見下ろす

 神性と悪意の混ざった光を帯びていた。

 そして、その周囲には

 異形の四体。容姿も性別もまちまち、

 ただ一つ、共通しているのは

 絶対的な不気味さだった。

 なのに、眷属たちは微笑む。

 まるで遊びに来たように。まるで、これが“お祭り”かのように。

 だが、鑑定が告げていた。

 チルバニアファミリーの半壊。にもかかわらず、五人全員が無傷。

「……っは……マジかよ……」

 冷や汗が背筋を伝う。

 これは、“勝てるかどうか”の話ではない。生き残れるかどうかの問題だ。

 次の一瞬で、すべてが始まる。異常事態の幕開けが、今、目の前にある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ