表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/25

第21話

 なんとかHR内で決着を付けたかったが、結論は出せなそうだ。


 しかし、このまま終わっていいわけがない。


 幸い、二時間目は荒史あらし先生の国語だ。


 教卓の端で椅子に座って話を見守っていた荒史先生に目配せをすると、「なに?」とでも言いたそうなそっけない視線が帰ってきた。


 いい先生であるのだけど、公私混同をしない厳しい先生でもあるので無理かもしれない。


 ボクは山菓やまがに挙手をして教卓の前に立った。


 ざわつく教室内を見守る。


 なにか言いたそうにしているのを感じたのか、やがて教室内は静かになり、ボクに注目した。


「最後に、もう一度先生の言ったことを思い出してくれ。ボクらはもうこの学級会を開く前には戻れない。知らなかったでは済まされない。パンドラの箱を開けてしまったんだ。誰も傷つかない方法があればいい、でもそんな方法はあるのか? だったら、たとえ傷ついたとしても立ち上がれる強さを求めた、人の幸せを求めた結論に手を伸ばしてはダメなのか? 残念ながら結論は出なかった。だけど、ボクはこんな中途半端なままで終わりにしたくない」


 教室内のほとんどが、ボクに賛同するように頷いたが、それでも結構な数の生徒は顔をしかめて明らかに嫌そうな雰囲気を出す。


 はじめからこの話し合いに乗り気じゃなく、面倒くさいことやってるなぁくらいの気持ちでいた生徒はいたわけで、その生徒にしてみれば、「やっと終わりかと思ったらまだ延長する気かよ」くらいうんざりしてるのだろう。


 ボクの隣に担任の荒史先生が教壇に立つ。


「HRの時間はもう終わりです。どうします?」


 教室内に反対の声が上がる。


「二時間目が私の時間だからって、ちゃっかり延長できると思ってるんじゃないでしょうね、そんなに甘くないよ。授業をきちんとやるのが私の役割です。ただし、教育という点において、このまま終わらせるわけにはいきませんね。だから最初の10分だけ延長します。決を採ってそれで決めましょう。休み時間の間に各自考えをまとめておくように」


 先生がそう言い終わったのと同時に一時間目のHR終了のチャイムが鳴った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ