初めて食したのは草
「ん…んぅ……」
木の小さな隙間から刺す温かい日の光に照らされながらパッチリと目が覚め、まだ倦怠感が強く残る身体を、大樹に寄りかかり立ち上がる。
「さてと…まずは確認だな」
まず、現状を確認すべと思い、自身の事を再確認するが昨日確認した以外特に確認すべきものはなかった。
「………何も分からないな」
起きたはいいが夢の内容以外何もわからない為、何をすれば良いのか決めかねていると。
「"生きて"…か、とりあえずそうしよう」
とりあえずで決めた目標だが、妙にしっくりとした為決まり、これからの行動方針が定まった所で突然腹部から激痛が走り、大樹に寄り掛かって立っていた為倒れ、地面の太い根に頭をぶつけるが気づかない。
「お腹痛い…悲しくて涙が出てきた…」
お腹をプルプルしている手で押さえ腹痛に耐えていると目から涙が突然流れ口からは大量の涎が出てきた。
「何か食べないと…」
激痛が空腹によるものだと分かり何かそばに食べ物がないか探すがなく、唯一目についたものは…残念ながら草だった。
「オェッ…ニガイ」
当然草はとても苦く不快感が喉の奥にこびりつき吐き出しそうになるが、飢餓感がそうはさせず飲み込んでいき地面にある葉っぱさえも口に放り込んだ。
「あ…これ甘い」
葉っぱは果物の様なさっぱりとした甘さで口の中で広がり苦味を綺麗さっぱり無くして甘さだけが残った。
だが、葉っぱ一枚で満足出来るはずもなく草を食べ続けて、度々葉っぱをたべるのを繰り返していた。
*
「……ハァ」
しかし、草を幾ら食べても腹が膨れるはずも無く、衝動的な食欲はある程度抑えられたが、このままだとこの辺り一帯の草を食べ尽くすというが容易に想像できる。
「何か…違う物を探さないと…しかし、これをどう持っていけば?」
森に行けば何か食べれる物が見つかるだろうが、大鎌を両手で持ってみるが引き摺ることしか出来ず四苦八苦していると、夢の内容が脳裏に浮かび上がった。
「ん〜…出来るか?」
物は試しと、大鎌を持ちながら感覚を探りながら念じると大鎌は蒼い焔が大鎌を包み込んでいき、消えた。そして、先程の感覚で出る様にすると大鎌が現れ重さに耐えきれず押し倒され骨が軋むがすぐ脱出する。
「危なかったが問題は無くなったな」
鈍く痛む胸部を押さえながら何事もなかったかのようによろめきながら立ち上がると、次の確認に取り掛かる。
幸いにも? 痛みは直ぐに治った。
「ローブ…に…カンテラは問題無いとして、それと…」
ローブの下はヘソが出ている下着で、ローブ共々非常に肌触りも良く、まだ明け方で肌寒い中、腹周りは全く寒くはならない。
次に、美麗な造りのカンテラの中に、これもまた吸い込まれそうな程澄んだ蒼い焔が煌々と輝いて照らしていた。しばらく惚けるように眺めていたが持ってみるとカンテラから熱が伝わって温かく感じた。
「準備は出来たが何処に行けば良いのか……いや…これは考えても分からないか…」
取り敢えず、大鎌をしまいカンテラを腰に止められそうなところがあったのでそこに留めた。
とりあえず身の回りの支度が終わり、此処から森の中に入り食べれるものを探す予定だが四方八方が森に囲まれており何処に向かえば見つかるのが分からないので取り敢えず適当に散策することにした。
草はマヨネーズかけても不味い
舌が緑色になって取れない
いつまでも臭い