第17話 空は闇とともに戦地へ向かう
少し時間が空いたので書き上げました。本日三回目、供給過多の場合、申し訳ございません。
どうぞよろしくお願いいたします。
セレスは、戦場近くの砦に向かって、王族御用達の馬車に乗って移動していた。
カーネリアンは、アズライトと話をしながら向かいたいと言い、白い愛馬に乗って移動している。そのため、馬車の中にはセレスとスピネルの二人だけが乗っていた。
「うわ~~、セレス、見てごらんよ。大きい砦だよ!」
目の前にいる黒髪に紅い瞳をした少年は、はしゃいで過ごしていた。馬車の窓から身を乗り出し、外を観ている。肩先まで伸びた黒髪が風を受けてそよいでいる。彼は移動中、終始子どものように楽しそうだ。
「危ないですよ」
そう言って、彼の身体をセレスは支えていた。
国の第二王子が、落馬して死亡だのと話にならない。
「心配性だね、セレスは。僕は君よりも年上なんだから、少しは信用してほしいな」
彼はそう言って、セレスに話しかけた。
線が細く、十一のセレスよりも数歳年上だろう位に思っていたスピネル。しかし彼は、彼女よりも五つ年上の十六になるらしい。
陽に当たらず、ずっと暗い洞窟の中で過ごしていたそうだから、成長が阻害されたのかもしれない。そう思うと不憫だった。
それに初めて外に出た理由が、戦争だ。
(やはり、スピネルは第二王子様だった……)
思っていた通りの正体だったものの、境遇があまりにも王子のものとは思えなかった。
スピネルは外から、自身にしがみついているセレスに視線を向ける。そうして、彼女にふわりと微笑んだ。彼はとても端正な顔立ちをしているので、ふいに向けられた彼の笑顔にセレスは恥ずかしくなってしまった。
「カーネリアンにも言われたよ。何かあったら僕が君を護るから、戦地ではよろしくね」
スピネルにそう言われて、ますますセレスは恥ずかしくなって俯いた。彼が落ちない様にと身体を支えていたが、ぱっと離れる。
カーネリアンには、セレスはスピネルと極力二人で活動するようにと言われている。
どうも以前、スピネルに言われた『贄』という言葉が関与しているようだが、詳細は分からなかった。
遂に戦地だ。
気を引き締めないといけない。
(お兄様を生かすためにも――)
固く決意するセレスの様子を、微笑んだままスピネルは見ていた。




