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殺意とシニガミ
『秋桜はお前に殺されたんだぜ?』
暴力より強く心臓を突き刺すその言葉。物理的な痛みは無いもののそれを超える痛みと殺意が沸いた。自然に右手に力が入る。そして、気付くとリーダー格の顔が歪み左側へ飛んでいく。他のふたりを睨むと構え殴りかかろうとしてきた。
『お、おい!逃げろッ!!』左から震えた声が飛んでくる。
声はリーダー格からだった。他2人も珍しいことに驚いたのかすぐさま逃げていく。
モヤモヤした気持ちの取れないまま屋上の扉を開く。扉の先には礼牙が真剣な表情で立っていた。
『やあ、待っていたよ。悠貴。』
いつもの優しい声色とはかけ離れた冷たく凍りついた声が耳を切り裂く。何かが違う...直感的にそれが感じられた。
『そんなに警戒しないでくれよ。敵意なんて無いからさ?』
礼牙は不意に左手を空中に伸ばす。すると、黒い何かを礼牙の手に収まっていた。直接見た事はないが理解は一瞬で出来た。黒い金属の塊、拳銃だ。
『悠貴、キミはシニガミとして生きていく覚悟はあるのかい?』
その、一言は今までのどの言葉より重みがあった。