グラビティジャスティス! 発進!
ついカッとなって勢いで書いた。特に反省はしていない。
ブイーン! ブイーン! ブイーン!
超重硬合金製、巨大兵器研究所。
通称グラ研の情報部のモニターが真っ赤に染まる。
第二次戦闘態勢を知らせるアラートが耳に響く。
グラビティジャスティスの秘密を盗むために、今日も帝国のゴレコンがグラ研周辺に出没しているらしい。
ゴレコンっていうのはゴーレムコンソールの略だ。全高15mぐらいの操縦できるゴーレム。手には戦艦の主砲並みの威力のライフルを持ち、戦車の砲撃を跳ね返す装甲と強力な攻撃力、敏捷性を併せ持っている。
だけど……、だ。そんなゴレコンも、僕のグラビティジャスティスの敵じゃない!
グラビティジャスティスは、おじいちゃんが作った、全高55mの巨大ロボだ。地震を起こす超重パンチに、まとめて敵を一掃するビル投げ、大勢の敵を踏み潰す地団駄、それに岩をも吹き飛ばすサッカーボールキック。これらの必殺技があれば、僕のグラビティージャスティスは無敵だ!
「正義! 早くグラビティジャスティスに乗れ!」
「わかってるよ! じいちゃん!」
「正義くん! がんばって!」
おさげの幼馴染のオペ子ちゃんが、応援してくれるッ!
ほっぺがカーっと熱くなった。しょうがないだろ? かわいいんだよ。オペ子ちゃん。
オペ子ちゃんを守るためにも頑張るぞ!
――グラビティジャスティス、起動シークエンス。生体認証OK。搭乗者、重盛正義と確認。
起動します。――
システムオールグリーン。グラビティジャスティス発進!
3・2・1・ゼロ!
研究所の滝が割れ、カタパルトから、グラビティジャスティスが発進する。
よし、周辺に敵はいないな!
「正義くん! 敵ゴレコンの場所を送るわ!」
「ありがとう。オペ子ちゃん!」
「……、敵は3機よ! 気をつけてね」
「まかせろ!」
敵は、……と、森の中か。そんなに遠くないな。
――、森のなかについた。
なるほど。ここなら木が邪魔で、必殺の大技、ビル投げはできない。
悪のゴレコンめ、一方的にチクチクとライフルで攻撃するつもりか?
ガァン!
グラビティージャスティスに強烈な振動が走り、跪いてしまう。
「オペ子! 被害報告を」
「正義くん! 膝関節部分にライフル攻撃を受けたわ。損傷率5%、軽微よ!」
「にゃろう。どこからの攻撃だ!」
「正義! 泉の近くの木の後ろじゃ!」
赤外線センサー、オンッ!
ふん。丸見えだぞ! 悪のゴレコンめ! 眼の前の岩をシュートして泉に叩き込んでやる!
いくぞ! 必殺サッカーボールキック!
僕は足の操作盤を思いっきりけとばす!
ズゴォン!
強烈な勢いで岩が飛び出し、木々をへし折りゴレコンにヒットした!
ゴレコンは泉の中央まで吹き飛び、沈んでいった。
残りの敵は、……と。
馬鹿な! 赤外線センサーに映る点が消えた!? どういうことだ?
「正義! アイスフィールドの魔石じゃ! 敵め、赤外線センサーの欠点をついてきたわい」
「正義くん! がんばって!」
クソっ! 動きを止めてアイスフィールドの魔石を使ってゴレコンの温度を下げたのか?
こうなっては敵の場所を目視で探すしかない。
右側にマズルフラッシュを確認した!
ガァン! ガァン!
膝を狙ってくるのはわかってたよ!
僕はステップしてライフルを躱す。
ガァン!
頭を中心にグラビティジャスティスが激しく揺さぶられる。
ちくしょう! 目がチカチカするぜ。
頭にライフルをもらったようだ。
「何をやっとる正義! はやく残りを片付けい!」
足に気を取られてたから仕方ない。これは僕のミスじゃないはずだ。
全天周囲モニターの右側3分の1の視界がなくなった。
「正義くん! モニターカメラに被弾したわ。視野は欠けてない? 損傷率15%よ」
「右が見えなくなった。レーダーを使う」
「了解。正義くん。敵位置情報を送るわ」
「おう」
確実に膝を撃ち抜こうというのだろう。右側から回り込むように、ゴレコンが接近してきている。赤外線センサーに映らないように、アイスフィールドの魔石を展開し、ジリジリゆっくり前進して……。
浅はかなんだよッ! 踏み潰してやるッ!
ズゥんんっ!
グラビティジャスティスの重さを思い知れ!
ゴレコンはぺしゃんこになった!
あと一機! そこだな! 死角から来るなんて真っ先に読んでるんだよ!
そいや! 超重力プレス!
僕はフライングボディアタックをゴレコンにぶちかました!
べこぉ!
これでゴレコンは全滅だ!
「オペ子ちゃん! 今日も勝てたよ!」
「さすがね! 正義くん! (チッ! また失敗か!)」
ゴーゴー、ジャスティス! グラビティージャスティス!
重盛正義の戦いは、明日も続く!
~完~