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アフリカに日が昇る

作者: フランク太宰

眠れず身体中がいたい、こんなときは綺麗事抜きに、美しい女の胸のなかで眠りたい。


「そんな都合のいい、女はこの世から消えたわ、考えてみなさい人類が月に行ってから50年もたつのよ」


でも、二桁の人間が月に行ったからといって何が変ったというんだい?

相変わらずアフリカで灼熱の太陽が登り、僕は心の寒さと風が吹く旅に痛む関節から解放されない、

愛されたい欲求は餓死する子供の夢を見せない、自分の痛みは他人には供給されない。ナイトプールを夏に楽しみに、スノーボードを楽しむ若者たちは、死から遠くにいる。

放射能で汚染された町の隣町では、祭り囃子が鳴り響く。

甲状腺ガンの子供は病室で宇宙旅行の夢を見る。月で冷たい肌の女王とチークダンスを踊る。

彼の病室から見える、公園では休日の昼間、カップルが手を繋ぎ未来を語りあう。そして夜は男の部屋でおざなりなセックスをする。

地球は丸く高速で回り続ける、僕らは直線の道を 、誰にぶつかることもなく歩き続ける、もし別の道を歩く誰かが転び、その痛みを感じてしまう者は、遅かれ早かれ落とし穴に落ちる。

ゴールを目指していたはずが、気がつけば、また、振り出しに戻っている。

月の監視人は容易くこめかみを撃ち抜いてはくれない。

そして、朝になり太陽の光は人々の肌を痛々しく焼く。


「仕方ないわ、それが人間の定め」

月の女王は表情を変えず言う。

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