命の大地
ミトに村まで案内してもらっている最中、様々な植物、小動物を見ることができた。緑豊かで美しい自然、可愛らしい小動物、空気も美味しい。なんとまあ素晴らしい。
すぅっと深呼吸をしてみると、酸素が少し多めなのだろうか、目が冴え渡り、少しひんやりとした空気が口の中、肺へと流れ込んでくる。空気をもっと吸いたいと感じるほど空気が美味しい。
たくさん吸いたいと思ったからかスーハースーハーし始めてしまった俺を変な目で見てくるミト。視線に気付き、少しうつむきがちで早歩きで歩いた。そうしているうちに。
「さあ着いたよ!土の精霊"アース"が治める土地のその一角!私の故郷!大地の命"グラウンドオブライフ"!」
ミトは大きく手を広げ紹介した。
大地の命"グラウンドオブライフ"そう言って紹介された場所は、大きな村だった。
様々な場所に多くの種類の草花が美しく咲き誇っている。色とりどりの知らない綺麗な花が咲いていた。
木が多く育っているのだが、不思議な木のようで、木の内部が家のように住める空間になっている。木の階段で空間がある、つまり部屋がある場所へ登り、そこで生活しているようだ。風通しが良さそうだ。
中央部にあたる場所に大きな木造の城が建っている。西洋の城のように頂点は尖っている作りだ。大きさはどのくらいにあたるのだろう。1ヘクタール(100m×100m)はあるだろう。
建物の木の茶色の部分を除けば、ほぼ緑で埋め尽くされている。見渡す限り緑の楽園だ。
森ももちろん自然そのままの姿でとても美しかったが、この村は少し人の手が加えられているのだろう、綺麗に整えられている。とても美しい村だ。
なるほど、命の大地。納得だ。
「ほら!そろそろ行くぞ〜!」
ミトが村に見惚れていた俺を手で押しながら言った。
「ちょっ、どこに??」
「アースのとこに決まってるじゃん!」
アース??ん?精霊の??
「え、アースって土の精霊の? そんな簡単に会えるの?なんかこう、偉い人なんじゃないの?あ、精霊か。」
少し困惑気味に話す。
「まあ、偉いというか、なんというか、確かに忙しいんだけど、大丈夫なんだよ!まあ行けばわかる!」
色々情報収集したかったんだけど、まあいいか。周りの景色に毎度見惚れながら木造りの城へ向かった。
「へぇ、お城だけど、門とかは無いんだな。」
「うん!なんか結構昔はあったらしいんだけど、あんまりにも平和すぎて門とかいらなくね?ってなったらしいよ。」
「え、犯罪はまったく起きないの?」
「うん!まったく起きない!まあ私はこの村しか知らないけど、少なくともこの村では起きないよ!」
すごいなとあっけにとられながら、城に入ると、中は静まり返っていた。この城って精霊様しか住んでないのか??そんな疑問を持ったが、まあいい、精霊様にあったら直接聞こう。
それより、ミトはこの村しか知らないって言ってたが、あれは一度も村を出たことがないってことなのか。でも、もしもデリケートな問題だったら…とりあえずミトのこと聞くか。
「ミトは歳いくつなの?」
「んーと、今年で17かな〜。カケルは?」
「俺は今年で18。」
「なぬ!?私より年上だと…解せぬ…。」
「なんでだよ!」
こんなやり取りをしている内に城の中に入り、階段を登り、少し大きな広間のようなところに出た。
「へぇ〜、ほんとに中広いなぁ〜。というか精霊様はどこにいるの?」
「んーここにいると思ったんだけどな。」
辺りをキョロキョロとミトが見渡す。でもやっぱりいないのか、はぁーっとため息をついたと思ったら、そのまま息を大きく吸って叫んだ。
「アァーーーーースーゥーーー!!!!」
「っっ!!びっくりしたぁ!おい叫ぶときはもう少し周りを気遣え!叫ぶよーくらい言えないのか!」
少し耳鳴りを感じながらミトに説教していると、何かが迫ってくる音がした。




