チュートリアル
初めての投稿です。末筆で申し訳ありません。始めに謝罪しておきます。
刻は世界歴3500年、今世界では3つの種族が世界の政権をかけて争っている。まあ、皆さんお分りいただいているだろう。そう、鬼、神、人間だ。
え?鬼とか神とか実在するのかって?もちろん!存在しなければこの語り部の僕が存在するはずはないからね。
おっと、そうだね、自己紹介をしよう。
僕は創造神××、うーん君たちの言語では発音しづらいな、まあ創造だし、クリエイト、エイト、8、ハチとでも呼んでくれ!犬みたい?可愛くていいじゃあないか。
はいはい、説明に戻ろう。
この3種族がなんで世界の政権をかけて争っているか、というと、まあ単純な話さ、どの種族が1番か決めよう。ただそれだけだ、どの種族も多くの年月をそれぞれの界層で過ごしてきた。それぞれの文化、暮らしがある。もちろんプライドもね。
君たちもあるだろう?自国のプライド、自分達が1番優秀な種族だという意識。そのプライドが招いている争いだ。
争い自体はさほど珍しくはない。大きな争いでいうと過去5回、小さなイザコザなんて数えきれないほどある。
なんでそんなことするんだ。そう思っただろう?互いに侵犯されてるわけでもない、だとすれば争う必要はない。そう思うだろう?
ふふ、そこがね、この世界の本質の違いさ。あ、頭がおかしい連中との認識は誤解なので訂正させてもらおう。争いにおいて、死者は出ない。うん、これでわかってもらえたかな、つまり、君たちの想像する血生臭い殺し合いとは別物。
争いって言いかたが悪かったかな、これはいわば競争だ。競い合い、認め合い、優劣をつける。ここに奪い合いは成立しない。気持ちがいい世界だろう?
全体の説明としてはこれで全部かな?あぁ!種族の説明がまだだね!
長いチュートリアルだな、そう言いたいのはすごくわかる。だが、もう少しだけお付き合い願うよ。
まず鬼、下界に住む種族、下界は地獄って呼ばれてたりもするね。力が強いが、悪知恵も強い。知能が高い。性別があり、感情があり、人間に近いかもしれないね、力以外は。
そして神、神界と呼ばれる界層に住む種族だね。君たちの世界では崇拝すべき存在なんだろう?こちらの世界の神も、それに値する力は持っているよ。神のみが持つ、魔力というもの、神通力と呼ばれたりもするね。肉体的強さはあまりないけど、知力は高いなんてもんじゃない。全知全能なんてやつもいるよ。いろんな奴がいる種族かな。
最後に人間。この世界では自然の体現者なんて呼ばれてる。自然と共存し、緑、海を愛し、生きとし者を愛した存在。自然を操る力を持つよ。
これで説明終わり!神だけ長くね?そう思った事だろう!それは僕も神だからさ!はは!まあそのうちもっと詳しく知れるさ!
ここまで一方的ですまないね、じゃあ君の名前を教えてくれるかい?
「…。」
ふむ!いい名前だね!…?あぁ、話してる気がしないって?そりゃあ今君精神体だから!!まあそんなわけで、この世界では君が主人公だ。世界をどうするかは君次第!この私に素晴らしい冒険ライフを見せ続けてくれたまえ!じゃあ着いたら自己紹介よろしく!いってらっしゃーい!
バタン!自称神"ハチ"の長い説明が終わり、何かのドアが閉まった。その瞬間頭が真っ白になった。
「おーい!大丈夫かー?おーい!」
うっすらとした意識の中、誰かの声が聞こえた。大丈夫って何がだろう。ん、なんか顔をぺちぺちされてるような、え、もしかして俺ですか??
がばっっ!!!俺は飛び起きた。
「わっ!!生きてた!」
歳は高校生くらいだろうか、かなり短いショートカットで顔は整っている、身体的には飛び出ているところはないが、一般的に可愛いと言われるような子が僕の顔を覗き込んでいた。
「えっとここは…?」
俺は少し顔を赤らめながら聞いた。
女の子は元気に立ち上がり、手を広げ言った。
「ここは人間界、土の精霊の森だよ!私はミト!君は?」
人間界?土の精霊の森?あぁ、さっきの夢みたいな神様の説明ってやつと少し一致する。
「俺はカケル。説明ありがとう。えっと、聞きたいことがたくさんある。まず聞きたいんだけど、ここは鬼、神、人間が存在する世界だよね?」
「うん!そうだよ!…そんなこと聞くなんて…まさか、余所者?」
少し低い声でそう言った。
うっ、やばい。余所者はやっぱり怪しさMAXだよな。どうしよう。なにも思い浮かばん。
額にうっすら汗をかきながら口を開こうとすると、
「あ!なるほどね。そういうことか。うんうん。」
なにか思いついたのか、1人で頷きながら納得している。
「あ、あのう…」
「言わなくていい!うんうん、わかるよ、きっと生まれた時に盗賊に攫われてしまって、幼くして悪いお婆さんにでも育てられたんでしょ?そのお婆さんは束縛が激しい人で家から一歩も出してもらえなかった。そうだよね!」
おそるおそる尋ねようとした俺の意見を断ち切り、自分の妄想を展開し始めた。さすがに否定しようと口を開こうとすると。
「皆まで言うな!!」
遮られた…、もうとりあえずこの子はこれでいい。だが、次に会う人がこんな変な話を信じるとはとても思えない。言い訳を考えておかないと。
そんなことを考えていると、ミトは目を潤ませながら
「大変だったね…もう大丈夫だからね。よく逃げてきたね。」
と言いながらじわじわと距離が近づいてくる。今にも飛びついてきそうだ。こいつは思い込みが激しいな。
いやでも待てよ…女の子に同情させ、抱きつく。悪気無しで行ったと見える合法エロ!不可抗力で柔らかい物が当たるだろう…
…だがしかし、この子はぺったんこ。そう、つまり、そんなことをする意味もない。
残念ながら俺は凹凸がはっきりしている方がタイプなのだ。もっと大きくなってから出直すんだな!
なぜか上から目線でそんなことを考えつつ、ミトに大丈夫、大丈夫だから。と言いながらなだめることに努めた。
「ミト、落ち着いた?」
「…ぐすん、うん、ありがとう。」
なぜか泣いているミトの背中をさすりながら慰めていた。この子やばいな。もう少しまともな人に色々聞きたいな。そう思い、ミトの住んでいる村まで案内してもらうことにした。
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