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6

 しばらく緊迫した表情で三人はソファに座っていた。

「割とすぐに解決したな」

「さすが朱雀家って感じかな」

 ジャックと月兎は並んでテレビを見ていた。

 ライムに持たせていた連絡用携帯は不通になっている。

 朱雀家かそれともテロリストが、何らかの妨害工作を行ったのかもしれない。

「あ、ライム映った」

 ほんの一瞬だが、ライムの姿が窓越しにテレビに映る。しかしすぐに隠れた。

「まあ、無事でよかったよね」

「よかったが、警察がからむとまずいな」

 ライムもジャックも警察に捕まったことはない、しかしそういうやつらがいると風の噂ぐらいは警察の耳に入っているかもしれない。

「厄介だな」

「こういう事情ならライムのところに行ってもいいよね、様子も聞きたいし」

 チャチャが軽く冷や汗をぬぐいながら言うと、ジャックが注文を付ける。

「適当に喫茶店でもつれ込め、何ならマクドでもいいとりあえず、朱雀家の連中のいないところで話を聞きたい」

「いざとなったらお手紙を書いてもらうかな?」

 そんなもんだろう。


 朱雀家と契約している警備保障会社の人たちは素晴らしい手際だった。

 あっという間に屋敷内に侵入してきた不審者たちを捕縛してしまった。

 相手が素人ではないのはライムにも分かったのだが、警備保障会社の社員の実力はそれを大きく上回っていた。

「格の違いを見せてもらった」

 思わず握り拳を握ってしまう。

 あれだけの妙技を披露してもらったにもかかわらず、朱雀家の面々の感動は薄い。

「だって見慣れているもの」

 とは詩子の弁だ。

 ああいうものを見慣れてしまう生活というのもいかがなもんだろうか。

 何でも派手に犯行声明を出していたので、警備保障会社の社員に捕縛された後、あっさりとすでに来ていた警察に連行されていった。

 もしかして彼らは幸運だったのかもしれない。

 朱雀家の人間に捕まることは警察に捕まるより悪いことなのかもしれないと、ライムは先程の一連の会話を思い起こすと考えてしまう。

「ああ、警察もきたねえ」

 智仁がモニターを見ながら言う。

「とりあえず父さんが応対してもらえる?」

「そうですねえ、おやおやご丁寧にマスコミも一緒ですよ」

 やれやれと手櫛で軽く髪を撫でつけると、昭仁は扉の前に立つと壁にはめ込まれた小さめの隠し扉を開けて、中のキーボードで暗証番号を打ち込んだ。

「一度閉鎖されると、こういう手順を踏まないと出られませんからね、気を付けてくださいね夢子さん」

 夢子さんかとライムは心中でつぶやく。

 この一家は互いを呼ぶときは詩子、智仁と名前を呼び捨てにする。夢子さんとつけるのはいまだ疑っているからだ。

 まあそれで正解なのだが。

 夢子として内部に入り、機密情報を盗み出してとんずらするつもりなのでそれで問題ない。うかつに信じられたほうが寝覚めが悪い。

 そういえば誰が行ったろう。好奇心猫を殺すと。

 ライムはこっそりとなんとなく様子を見たくて、外をみえる窓を探した。

 その時の様子をテレビカメラに収められ、それがさらなる波紋を呼ぶとは想像だにしていなかったのだ。

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