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テレビをもらったので、娯楽としても利用させてもらうことにした。
今は朝が早いのでニュースぐらいしかやっていないが、つらつらとみていると、不意にあの男の顔が映った。
昨日の夜変死体で発見されたとある。
ライムの血の気が一気に引いた。
あの男は機能の深夜遺体で発見されたとある。
いくつかの外傷があることから殺人の可能性が高いとされている。
男の名は山口真一、日雇いの肉体労働とホームレスを行き来しているような生活をしていたらしい。
人付き合いもあまりなく。知人とも音信不通になって久しいという。
十五年ほど前に、重大な殺人事件に関係したという話は全く出てこない。
いったい誰が殺したんだろう。
最大の容疑者は朱雀昭仁だ。
月子を殺した共犯者だ。同機はたっぷりとある。
しかしこれをだれに相談させてもらえばいいんだろう。
ライムはううんと首をかしげる。
ジャックはしばらく来ないだろう。それに、とんでもない勘違いが発生していないか。
その可能性に気付いた時、ライムはさらに悩んだ。
このままだと本当にライムが朱雀夢子だと周囲に思い込まれてしまうんじゃないだろうか。
あくまであの男を殺したのが朱雀昭仁だったというところにポイントがあるが。
他の容疑者というと、いろいろだろう。
後ろ暗いところに顔を突っ込んでいたから、知り合いすべてと音信不通になったのだろうし、そのつながりが切れていたとは断言できない。
「やめた」
これ以上考えてもどうしようもない、自分はいわゆるつなぎだ、適当なところでジャックに退避命令が出されたらとっとととんずらするだけだ。
もうこれでライムは山口真一のことを忘れることにした。